ゼミの生徒が論文で引用していたので、読む機会を得た。
単なる、ケースの羅列である。
また、ケース間の重複感も否めない。
著者のコメントに関しても、”小児科医であり、小児精神科医では無い”、という事の限界を感じる内容であった。
虐待に対する理解・調査も、十分ではない。
虐待に至る過程についての洞察も、個人的憶測を一般論化してしまっている。
著者の子供達への対応についても、傷ついた子供をより傷つけているのでないかと思える箇所が見受けられ、正直、戸惑った。
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虐待される子どもたち (幻冬舎ルネッサンス新書 ま 1-1) 新書 – 2009/12/20
丸田 桂子
(著)
殴打を繰り返して息子の頭蓋骨を陥没させる父、わが子を餓死寸前にさせる親、4歳の娘を強姦する61歳の父、コインロッカーに3歳児を入れて外出する親……。数多くの壮絶な虐待の実例が登場する。どうすれば虐待がなくなるのか。苦悶している間にも、幼い命が親に奪われていく。のべ2,000件を超える虐待に向き合ってきた現役小児科医が、決死の覚悟で綴ったノンフィクション。
- 本の長さ224ページ
- 言語日本語
- 出版社幻冬舎ルネッサンス
- 発売日2009/12/20
- ISBN-104779060036
- ISBN-13978-4779060038
商品の説明
著者について
小児科医、診療所長。1985年に児童相談所嘱託医となる。保育園嘱託医、保健所検診医などを兼務する。
登録情報
- 出版社 : 幻冬舎ルネッサンス (2009/12/20)
- 発売日 : 2009/12/20
- 言語 : 日本語
- 新書 : 224ページ
- ISBN-10 : 4779060036
- ISBN-13 : 978-4779060038
- Amazon 売れ筋ランキング: - 149,586位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2010年12月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
虐待を扱う本の中でも、取り上げられている事例数がずば抜けて多い。
中には信じがたいような無残な事例もあり、「こんなにむごいことが、こんなに多く起こっている。もはや虐待は対岸の火事ではなく誰の身辺でも起こりうる身近なこと」というのを感じることはできるが…
ただ淡々と「私が医師として働く中でこんな子に出会った。こんなことがあった。かわいそうに。」というだけで完結している事例が多く、児童相談所の関係者が家族や友人に「今日こんなことがあってね」と話しているのを聞いてるだけ、のような印象が拭えないのが残念。
虐待がどのような背景で発生しているのか、防止するためにはどのような手立てがあるのか等、考察が少ない。「それでどうなったの?」「だから専門家のあなたはどう思うの?」と本書を読んでいて何度も問いたかった。
著者が「何人も未成年に手を出しまくってる男を警察に告発した」(その子自身もその男に手を出されている)という子に対し、「(告発するなんて男が)可哀想に」という旨の発言をして、告発した少女に「なんで?なんで!?」と問い詰められる下りがあり、唖然とした。
それを堂々と本に書くのもどうかと思うが、少女を傷つける行為を繰り返す男を擁護するというのは…著者の医師としての在り方にも疑問を感じる。
この本を読んで現実にショックを受けた、関心を持った方は、一つの事例を深く掘り下げた本(「ネグレクト」「殺さないで」等)も併せて読まれると、より子供たちを取り巻く現実や公的機関の動きなど理解が深まるだろう。
中には信じがたいような無残な事例もあり、「こんなにむごいことが、こんなに多く起こっている。もはや虐待は対岸の火事ではなく誰の身辺でも起こりうる身近なこと」というのを感じることはできるが…
ただ淡々と「私が医師として働く中でこんな子に出会った。こんなことがあった。かわいそうに。」というだけで完結している事例が多く、児童相談所の関係者が家族や友人に「今日こんなことがあってね」と話しているのを聞いてるだけ、のような印象が拭えないのが残念。
虐待がどのような背景で発生しているのか、防止するためにはどのような手立てがあるのか等、考察が少ない。「それでどうなったの?」「だから専門家のあなたはどう思うの?」と本書を読んでいて何度も問いたかった。
著者が「何人も未成年に手を出しまくってる男を警察に告発した」(その子自身もその男に手を出されている)という子に対し、「(告発するなんて男が)可哀想に」という旨の発言をして、告発した少女に「なんで?なんで!?」と問い詰められる下りがあり、唖然とした。
それを堂々と本に書くのもどうかと思うが、少女を傷つける行為を繰り返す男を擁護するというのは…著者の医師としての在り方にも疑問を感じる。
この本を読んで現実にショックを受けた、関心を持った方は、一つの事例を深く掘り下げた本(「ネグレクト」「殺さないで」等)も併せて読まれると、より子供たちを取り巻く現実や公的機関の動きなど理解が深まるだろう。
2017年11月16日に日本でレビュー済み
「虐待される子どもたち」(丸田桂子、幻冬舎ルネッサンス新書) 丸田氏は小児科医ではあるが、児童相談所委託医、保育園嘱託医、保健所検診医と言う肩書を持って、子どもたちと面接してきた。児童相談所とは児童に関するあらゆる相談にのることであり、施設内にある一時保護所では、事情があって家に帰れない子どもたちが保護されている。その子どもたちの健康管理をするのが、嘱託医である。そこで丸田氏が日々出会う子どもたちとの記録集だとも言える。言い換えると小児科医として医療の立場から子どもの診断・治療をしていたのではない。むしろ児童相談所や保育園の職員から持ち込まれた子どもたち、とりわけ、虐待状況に追い込まれていた多数の子どもたちに面していたと言える。その意味で「医師」と言うよりは、彼女がそこで出会った子どもたちとの非常に多くの会話集、丸田氏が経験した話の記録だと言える。
この書物は丸田氏が面した多くの子どもたちの状況であると同時に、その子どもたちが丸田氏に出会った時に、彼らが見せた姿の事例である。初めて出会った時には、互いに理解しがたいと思われやすい子どもたちとどう話し合えるのかの非常に多くの事例がある。同時にその多くの事例の中で、すぐには理解しがたいと思われる子どもたちが、どうやって信頼できる大人を見分けようとするのか、見分けるために発する反発挙動を乗り越えて理解し合える大人がどこにいるのか?そんな事も考えさせられる。
その意味で、ある種の「精神科医」のように、虐待の状況下で生きていた子どもたちの脳を含めた身体内に原因を求めて、かってな解釈や疑似専門家としての説明をしているのではない。そうした勝手な説明をできるだけ抑えて書かれている。言い換えれば、当該の子どもの主張を無視したままに書いた書物ではなく、当該の状況で生きてきた子供たちの生きざまをそのまま書いている。
まえがきにあるように「小児科医として四十年あまり、大勢の子どもたちと接してきた。若いころから子どもが大好きで、病院時代も医局にいるよりも大部屋にいて、子どもたちと話す方が性に合っていた。「本当に先生なの?」などと子どもたちは言い、私を仲間だと思って医者だとはなかなか認めてはくれなかった。そんな当時の気持ちを抱いたまま、私は地域に根をおろして小児科医を営んでいた。「児童相談所の嘱託医になってくれませんか」医師会の先輩からそう頼まれたのは、今から約二十年前の事だ」と言うのがこの書物の位置づけである。この書物の個々の事例記述から、虐待が生ずる構造への分析があまりないとの批判があるが、私にはいい加減な分析をやっている書物を読むぐらいなら、まず事態をしっかり把握することが重要であり、いい加減な分析込みの書物を読んでただただ事態を語りたがる読者向け書物ではないだけにより高く評価します。
この書物は丸田氏が面した多くの子どもたちの状況であると同時に、その子どもたちが丸田氏に出会った時に、彼らが見せた姿の事例である。初めて出会った時には、互いに理解しがたいと思われやすい子どもたちとどう話し合えるのかの非常に多くの事例がある。同時にその多くの事例の中で、すぐには理解しがたいと思われる子どもたちが、どうやって信頼できる大人を見分けようとするのか、見分けるために発する反発挙動を乗り越えて理解し合える大人がどこにいるのか?そんな事も考えさせられる。
その意味で、ある種の「精神科医」のように、虐待の状況下で生きていた子どもたちの脳を含めた身体内に原因を求めて、かってな解釈や疑似専門家としての説明をしているのではない。そうした勝手な説明をできるだけ抑えて書かれている。言い換えれば、当該の子どもの主張を無視したままに書いた書物ではなく、当該の状況で生きてきた子供たちの生きざまをそのまま書いている。
まえがきにあるように「小児科医として四十年あまり、大勢の子どもたちと接してきた。若いころから子どもが大好きで、病院時代も医局にいるよりも大部屋にいて、子どもたちと話す方が性に合っていた。「本当に先生なの?」などと子どもたちは言い、私を仲間だと思って医者だとはなかなか認めてはくれなかった。そんな当時の気持ちを抱いたまま、私は地域に根をおろして小児科医を営んでいた。「児童相談所の嘱託医になってくれませんか」医師会の先輩からそう頼まれたのは、今から約二十年前の事だ」と言うのがこの書物の位置づけである。この書物の個々の事例記述から、虐待が生ずる構造への分析があまりないとの批判があるが、私にはいい加減な分析をやっている書物を読むぐらいなら、まず事態をしっかり把握することが重要であり、いい加減な分析込みの書物を読んでただただ事態を語りたがる読者向け書物ではないだけにより高く評価します。
2010年7月26日に日本でレビュー済み
児童相談所の嘱託医として20年以上も経験のある医師による著。
「この事件は本当に日本で起こっているのか?」これを読んで、まず一番にそう感じた
耳を疑いたくなるような、悲しい虐待の実態。そして、連鎖。
不幸や、貧窮から抜け出せないアリ地獄。
解放されたと思えば、地獄かもしれない。また舞い戻ってくる。
しかしこれは現場に山積した事件のごく一部なんだろう。
こんな児童相談所の実態は、ほとんどの人に知られていない。
罪のない子供たちの未来を、平等に守るためには、ごくふつうの、
児童相談所とは関係ない私たち一般市民の世論が、
とても重要なのだろうと思う。
ひとつひとつの事件は、あまり詳しく書かれていない。
ただ医師の前を過ぎていった子供たちの事件の記録である。
もっと知りたい、背景を詳しく知りたい、と心から思った。
「この事件は本当に日本で起こっているのか?」これを読んで、まず一番にそう感じた
耳を疑いたくなるような、悲しい虐待の実態。そして、連鎖。
不幸や、貧窮から抜け出せないアリ地獄。
解放されたと思えば、地獄かもしれない。また舞い戻ってくる。
しかしこれは現場に山積した事件のごく一部なんだろう。
こんな児童相談所の実態は、ほとんどの人に知られていない。
罪のない子供たちの未来を、平等に守るためには、ごくふつうの、
児童相談所とは関係ない私たち一般市民の世論が、
とても重要なのだろうと思う。
ひとつひとつの事件は、あまり詳しく書かれていない。
ただ医師の前を過ぎていった子供たちの事件の記録である。
もっと知りたい、背景を詳しく知りたい、と心から思った。