第１部が観光研究の個別分野に関するレビュー12本、
第２部が32＋「その他」＝33カテゴリーの文献目録になっている専門書。
とはいえ、本書は初学者から達人まであらゆる段階の読者に有用であろう。
地方自治体が地域振興政策を立案する際にも役立つヒントが満載である。
本体5,700円という本書の価格は、一見して高そうに感じる人もいるだろうが、
この種の本の編集が相当に困難であるのを熟知している人ならば、
「どうすれば、こんな価格で・・・」と思えるほど安いのに驚くはずだ。
要するにコストパフォーマンスが極めて高いのである。
また、本書の編著者２名は、立命館大学地理学研究室の研究者であるが、
この種の本では頻繁に発露される「学閥の臭いプンプン」というのが
全く感じられないのも清清しく、リゾート地で全身に涼風を浴びるかのように心地良い。
「学派は有り得ても学閥があってはならない」と信じる者にとっては
大きな勇気がもらえる一冊であると同時に、学閥の信奉者や支持者にとっては
反逆者の力強い足音にたじろぐ一冊になるのではないか。
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