わずか15歳の中学生が、何もない飛行機の材料を作る工場に、8ヶ月も監禁に近い状態で、終戦まで働かされる。その終戦までの日記の再録です。
学校から逃げ出せると喜んだ著者は、報国の為と不自由を我慢して鉄の焼き入れに従事する。しかし戦況が日々刻々と悪化していくのを、工場の職人の弁当を包む新聞から感じていた。また硫黄島が占領されてからは工場にも空襲が始まり、最初は迎撃していた戦闘機もパッタリ出撃しなくなるのを実感する。さらにそれらを書いた葉書の検閲を受けたり、負傷した仲間を救えなかったことに心の葛藤を覚え、戦争に対する疑問が日々の日記で膨らんでいくのが描かれています。
15歳でありながら、新聞を読み何が起きているのか知ろうとする探究心、冷静に周りの環境や自身の感情を判断する力、やがて勉強の大切さと、疑問を持ちながら社会を観察すること、何にも増して最後まで生き抜かなくてはならないことに目覚めます。
戦争の苦しさや悲惨さを書き残した本は沢山ありますが、そんな中で一般人の私達がどう困難な状況に向き合って考えるべきかを教えてくれる、貴重な一冊です。
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