いろいろ沁みる一冊です。
全共闘の闘志であった親父氏が、末期の肺がんで余命幾ばくもないと思われたので、息子氏がタイトルの通り
の対話を試みるという内容です。(現在もご存命の様子で慶賀)
怒られるかも知れないけど、でも率直にいって、世界史的流れの中での当時の位置づけから、カトリック教学と
ハイデガーとの連続性にいたるまでを滔々と述べる親父氏はディレッタントそのもの。
また、「ガキがすねてただけ」みたいなことも言っていますが、やはり一読して、当時を美化しすぎだと思う。
当時の回想だけじゃなくて、昨今の世の中についてのコメントにまで広がるのならば、やはり連合赤軍のあれこれ
(山岳ベースからハイジャックまで)について述べていないのは、解せない。
親父氏の活動とは直接関係ないのかも知れないけれど、昨今の日本人は脳死してるだとかに広げるくらいなら、
一言あってしかるべきなんじゃないでしょうか。左翼への信頼を決定的に損なった事件であり、親父氏の闘争とは
一連の流れなのだから。
しかしながら。
この試みにこそ大拍手!
団塊の世代がどうしたとか、世代間格差とか言う前に、きちんと向き合うという試みが、なされるべきだと本当に
思います。
語られる内容の事実性は措くとして、それでも、当事者として現在どう思っているのか、大人は語って欲しい。
単なる自己正当化と下の世代への説教になってしまっても、それでも語って欲しい。下の世代も、文句を言う
前に、ちゃんと耳を傾けたい。聴いた上でどうするかは、お好みには会わないかも知れないけれど、でも、ちゃんと
聴かせて欲しい。
…と、思ったら、まずは自分の親父に聴けよって話ですな。
繰り返しますが、語られる内容の信頼性は問題ではなく、ちゃんと語った親父氏と、ちゃんと聴こうとした息子氏
と、この試み自体が、いろいろ沁みます。大拍手!
【2010/09/13 追記】
コメントもごらんください。
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目次/[...]
連合赤軍への言及/[...]
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お前の1960年代を、死ぬ前にしゃべっとけ! 単行本(ソフトカバー) – 2010/8/12
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「おやじ死ぬんだろう、だったら、その前にしゃべっておけ」(息子)
末期の肺がんであることが発覚した親父に、息子がとことんインタビュー。
1960年代後半、元東大全共闘・駒場共闘会議のリーダーであった親父が息子に語る、
全共闘という時代。
末期の肺がんであることが発覚した親父に、息子がとことんインタビュー。
1960年代後半、元東大全共闘・駒場共闘会議のリーダーであった親父が息子に語る、
全共闘という時代。
- 本の長さ256ページ
- 出版社ポット出版
- 発売日2010/8/12
- 寸法1.8 x 12.8 x 18.8 cm
- ISBN-104780801516
- ISBN-13978-4780801514
商品の説明
著者について
1946年 岐阜県生まれ
1965年 県立岐阜高校卒業
1965年 東京大学教養学部文科3類入学
1969年 同大学中退、その後主として文筆関連業に従事して今日に至る
2008年8月 肺がん手術で右肺上葉を切除。腫瘍の大きさは長径68ミリと大きかったが、浸潤・転移なし。2010年7月現在転移・再発せず。生存中。
1974年 東京都生まれ
1993年 東京都立国立高校卒業
1994年 米国ウェストバージニア州立大学入学
1998年 米国ニューヨーク州立大学卒業
1998年 日系企業に現地採用で入社、米国CPA資格を取得
2003年 帰国、米国系IT関連企業に就職
2005年 フランス系化学関連企業に転職
2007年 米国系ヘッジファンドに転職
2009年1月以降、日系企業の欧州法人に勤務。ドイツ在住。
1965年 県立岐阜高校卒業
1965年 東京大学教養学部文科3類入学
1969年 同大学中退、その後主として文筆関連業に従事して今日に至る
2008年8月 肺がん手術で右肺上葉を切除。腫瘍の大きさは長径68ミリと大きかったが、浸潤・転移なし。2010年7月現在転移・再発せず。生存中。
1974年 東京都生まれ
1993年 東京都立国立高校卒業
1994年 米国ウェストバージニア州立大学入学
1998年 米国ニューヨーク州立大学卒業
1998年 日系企業に現地採用で入社、米国CPA資格を取得
2003年 帰国、米国系IT関連企業に就職
2005年 フランス系化学関連企業に転職
2007年 米国系ヘッジファンドに転職
2009年1月以降、日系企業の欧州法人に勤務。ドイツ在住。
登録情報
- 出版社 : ポット出版 (2010/8/12)
- 発売日 : 2010/8/12
- 単行本(ソフトカバー) : 256ページ
- ISBN-10 : 4780801516
- ISBN-13 : 978-4780801514
- 寸法 : 1.8 x 12.8 x 18.8 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,125,353位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 153,870位ノンフィクション (本)
- - 285,758位文学・評論 (本)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2013年5月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ネットで検索かけてみたら書評みたいなものがそこそこ見つかって、中には某アルファブロガーさんが本書の刊行直後くらいに書いたものもあって、それは私もしばしば覗くブログなのに気づかなかったから、当時の私は全然関心を抱けなかったんだろうと思う。
で、今さらながらその某アルファブロガーさんの評を読んでてまず共感したのは、本書における第2次大戦後のソ連の位置づけから核兵器の意味を説明する件りをほめていることで、本書の団塊オヤジはその程度の歴史認識も教えてない日本の教育を腐すのだが、いや、私も日本の歴史教育の貧困から生み出された人間なので非常に身につまされた。ここを読むためだけに本書を買ってもいいとさえ思う。
しかし他方で、上記ブロガー氏が本書の団塊オヤジを「日本にようやく生まれた本格的な市民(の1人)」と位置付けるのは、ちょっと簡単には同意したくない。
だって、まず第一に「脳死」しないままこの団塊オヤジのようになるために、周囲でどれだけの人間が踏み台になったのか。この団塊オヤジを支える人間がいることを私は否定しないし、出来れば私だって支えてもらいたいもんだと思わないでもないが、それを一般化するのは無理。僥倖によってしか生み出され得ないものを理念型としてであれ社会の基盤として提示することは、良くて夢想、悪くするとカンボジアの悲劇の再現につながる。
第二に、しかしより根本的に、「ようやく」という言葉に込められた「本格的な市民」への肯定と待望そのものが、私には受け入れられない。しつこく言うが、私はこの団塊オヤジのような人がいることを喜ばしいことだと感じるし、このような人が生まれる確率を社会の質の判定基準としてもいいとさえ思うが、しかし社会の基本設計は、このような「本格的な市民」の存在を前提としない、むしろ凡庸な人間たちの集まりとしてなされなければならないと、私は考える。
ま、そんなに大きなモノサシで測ろうとしなければ、十分に面白い読み物なので、肩の力を抜いて読んで笑ったらいいと思う。
で、今さらながらその某アルファブロガーさんの評を読んでてまず共感したのは、本書における第2次大戦後のソ連の位置づけから核兵器の意味を説明する件りをほめていることで、本書の団塊オヤジはその程度の歴史認識も教えてない日本の教育を腐すのだが、いや、私も日本の歴史教育の貧困から生み出された人間なので非常に身につまされた。ここを読むためだけに本書を買ってもいいとさえ思う。
しかし他方で、上記ブロガー氏が本書の団塊オヤジを「日本にようやく生まれた本格的な市民(の1人)」と位置付けるのは、ちょっと簡単には同意したくない。
だって、まず第一に「脳死」しないままこの団塊オヤジのようになるために、周囲でどれだけの人間が踏み台になったのか。この団塊オヤジを支える人間がいることを私は否定しないし、出来れば私だって支えてもらいたいもんだと思わないでもないが、それを一般化するのは無理。僥倖によってしか生み出され得ないものを理念型としてであれ社会の基盤として提示することは、良くて夢想、悪くするとカンボジアの悲劇の再現につながる。
第二に、しかしより根本的に、「ようやく」という言葉に込められた「本格的な市民」への肯定と待望そのものが、私には受け入れられない。しつこく言うが、私はこの団塊オヤジのような人がいることを喜ばしいことだと感じるし、このような人が生まれる確率を社会の質の判定基準としてもいいとさえ思うが、しかし社会の基本設計は、このような「本格的な市民」の存在を前提としない、むしろ凡庸な人間たちの集まりとしてなされなければならないと、私は考える。
ま、そんなに大きなモノサシで測ろうとしなければ、十分に面白い読み物なので、肩の力を抜いて読んで笑ったらいいと思う。
2016年6月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
信念を持って まっすぐ生きる親父に、 真っ向から問いかける息子 、こんな親父と息子になりたかったな。
2010年11月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
とにかく面白い。題名にある通り、三派全学連から東大全共闘に至る運動の軌跡を、親父が息子の突っ込みを受けながら語るといった、これまでなかった方法論による、60年代オーラル・ヒストリーである。インタビュアーによる聞き書きという試みは、これまでもなされてきた。しかし、親子のギャップ、世代間ギャップを前面に打ち出しての聞き書きは新鮮であり、理論や思想の理解や継承ではなく、時代の意識や感覚の継承が重要であることを知らされるのだ。
65年(昭和40年)、東大に入学した親父(明弘氏)は日韓条約反対闘争から運動を開始し、革共同中核派として三派全学連で、67年羽田闘争、68年佐世保エンタープライズ反対闘争、王子野戦病院反対闘争に参加する。後にいう「激動の七か月」にフル・エントリーするわけだ。そしてその理由をベトナム反戦と語る。アメリカの行っている義の無い戦争に反対すること、それがその時代の感性であったこと、世界的同時代現象であったことを息子(建太氏)に説明していく。しかし三派全学連や党派(セクト)の関係を息子はなかなか理解出来ない。ましてや学生が党派の共産主義運動に加わっていく事など、現在において理解の範疇を超えることなのだ。そこで親父は世界史的流れを説明していくことになる。アメリカの大学卒業の高学歴でグローバル的職業の息子でさえ、第二次大戦でドイツとソ連が最も大規模の戦闘を行ったことを知らなかったことについて、オイラも愕然としちまった。
そして全共闘運動だ。三派全学連の分裂から、内ゲバに至る過程で、親父は中核派を離脱。始まったばかりの東大闘争に専念していくことになる。党派活動家と人的にダブルことになっていたとしても、共産主義運動ではない、個別システムに対する学生の異議申し立てが全共闘運動であったことが、親父と息子の議論の中で鮮明になっていく。新左翼学生運動と全共闘運動の違い、この辺りの理解を掘り下げるためには、もう少し背景になるもの、すなわち文化領域の問題に踏み込んでほしいと、本書を読み終えて思ったのだ。
現在、新左翼学生運動史を研究する若手の学者や批評家は、文献の研究によって、新左翼の思想や理論が運動を引き起こしたと捉えがちである。しかし実際は運動が始まる中で思想や理論が必要とされたことが、本書を読めば分かるのだ。
65年(昭和40年)、東大に入学した親父(明弘氏)は日韓条約反対闘争から運動を開始し、革共同中核派として三派全学連で、67年羽田闘争、68年佐世保エンタープライズ反対闘争、王子野戦病院反対闘争に参加する。後にいう「激動の七か月」にフル・エントリーするわけだ。そしてその理由をベトナム反戦と語る。アメリカの行っている義の無い戦争に反対すること、それがその時代の感性であったこと、世界的同時代現象であったことを息子(建太氏)に説明していく。しかし三派全学連や党派(セクト)の関係を息子はなかなか理解出来ない。ましてや学生が党派の共産主義運動に加わっていく事など、現在において理解の範疇を超えることなのだ。そこで親父は世界史的流れを説明していくことになる。アメリカの大学卒業の高学歴でグローバル的職業の息子でさえ、第二次大戦でドイツとソ連が最も大規模の戦闘を行ったことを知らなかったことについて、オイラも愕然としちまった。
そして全共闘運動だ。三派全学連の分裂から、内ゲバに至る過程で、親父は中核派を離脱。始まったばかりの東大闘争に専念していくことになる。党派活動家と人的にダブルことになっていたとしても、共産主義運動ではない、個別システムに対する学生の異議申し立てが全共闘運動であったことが、親父と息子の議論の中で鮮明になっていく。新左翼学生運動と全共闘運動の違い、この辺りの理解を掘り下げるためには、もう少し背景になるもの、すなわち文化領域の問題に踏み込んでほしいと、本書を読み終えて思ったのだ。
現在、新左翼学生運動史を研究する若手の学者や批評家は、文献の研究によって、新左翼の思想や理論が運動を引き起こしたと捉えがちである。しかし実際は運動が始まる中で思想や理論が必要とされたことが、本書を読めば分かるのだ。
2010年10月29日に日本でレビュー済み
全共闘の親父が、オウムにも少しは関心のある息子と話している内容の本。
親父の1人勝ちの感じがしてしまうのは知恵のせいだが、もう少し息子は頑張って反論してほしかった。これだと素人がプロにインタビューしている感じで終わっている。
やはり団塊ジュニアはダメなのだろうか。親は息子を、ある意味スポイルしてしまったのだろうか。
「時代」、と言ってしまえばそうなのかも知れないが…。
でも、親父は頑張っている。なんとか理解してもらおうとして、優しく話している。その頑張りがうれしい。
親父の1人勝ちの感じがしてしまうのは知恵のせいだが、もう少し息子は頑張って反論してほしかった。これだと素人がプロにインタビューしている感じで終わっている。
やはり団塊ジュニアはダメなのだろうか。親は息子を、ある意味スポイルしてしまったのだろうか。
「時代」、と言ってしまえばそうなのかも知れないが…。
でも、親父は頑張っている。なんとか理解してもらおうとして、優しく話している。その頑張りがうれしい。
2010年9月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
刺激的なタイトルに引かれて購入した。どの世代もそうだが、特に全共闘・団塊世代は「過去を必要以上に語りたがる輩」と「触れたがらない輩」に二分される。どちらも20歳前後の体験が、飲み込んだ石のように体内でうずいているからだろう。
そんな先入観を持って読み始めた本書だが、著者の1人である「親父」はそのどちらでもなかった。過去を美化するわけでもなく、単純に否定するわけでもない。学生運動時代、すでに身につけていた知識と体験を基礎にし、その後のジャーナリストとしての研鑽と体験が驚くべき知的水準の世界を完成させている。
当時、東大全共闘の運動は「知性の叛乱」と形容された。全共闘活動家の「今だから話せる秘話」の暴露を期待した読者には退屈かもしれない第三章の国際政治経済の構造分析は、ある種の凄みを感じさせる。ジャーナリスト時代の「親父」の得意ジャンルでもあったようだが、哲学者・歴史家・国際アナリストもハダシで逃げ出すような冷静かつ分かりやすい分析である。たった2日間の対話で、これだけ濃い内容を喋りつくした「親父」の知性と、それを引き出した「息子」の潜在能力にも感心する1冊だ。
そんな先入観を持って読み始めた本書だが、著者の1人である「親父」はそのどちらでもなかった。過去を美化するわけでもなく、単純に否定するわけでもない。学生運動時代、すでに身につけていた知識と体験を基礎にし、その後のジャーナリストとしての研鑽と体験が驚くべき知的水準の世界を完成させている。
当時、東大全共闘の運動は「知性の叛乱」と形容された。全共闘活動家の「今だから話せる秘話」の暴露を期待した読者には退屈かもしれない第三章の国際政治経済の構造分析は、ある種の凄みを感じさせる。ジャーナリスト時代の「親父」の得意ジャンルでもあったようだが、哲学者・歴史家・国際アナリストもハダシで逃げ出すような冷静かつ分かりやすい分析である。たった2日間の対話で、これだけ濃い内容を喋りつくした「親父」の知性と、それを引き出した「息子」の潜在能力にも感心する1冊だ。