日本最初の蘭医学書は1774年に刊行された
『解体新書』である。解体新書とその原著の
「ターヘルアナトミア」については、すでに、日本で、
充分の知識が知られていたと考えられがちであるが、
実際はそうではなかった。
『解体新書』のオランダ人翻訳者、
ドイツ人原著者の史料を求め、著者はオランダ、
ドイツ、ポーランド、オーストリア、ハンガリーなどに
渡り、原史料を探し回った。
オランダ・ライデンの公文書館で、
オランダ人原著者の史料を、ポーランド・グダンスクの公文書館で、
ドイツ人原著者自身が記録した史料を著者は発見し、
解読した。
また「ターヘルアナトミア」を
世界各地の図書館で100冊以上閲覧し、20種を越える異版が
あることを、初めて明らかにした。
そして、日本の『解体新書』の原版について考察した。
今まで省みられてこなかったこうした地味な基礎的な
研究論文を集めた本である。
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