この書はタイトルの「ローザ・ルクセンブルグ 思想案内」とあるように、ローザの思想を大筋を紹介する内容であり、特にレーニン、トロッキーなどのボルシェビキの思想との違いを明らかにすることに焦点が合わされている。
両者とも、当時の労働者や農民の置かれている状態何とかしなければという思いから、社会変革を考えているが、その変革の方法や考え方の違いを鮮明化している。
レーニンら多数派は、「コトバでは労働者階級と言うが、それを導くのは”前衛政党”であるとし、中央集権的指導体制を重視し、選挙や議会を否定する方向へ進む」。ローザは「あくまでもそれを主導するのは労働者大衆であり、選挙で選ばれた者による議会を重視する。前衛政党と言う主張は、結局、労働者大衆から離れた寡頭政治、独裁に至る可能性が大である。それは労働者自身が考え、決めて行くという経験や叡智を削ぐことになる」とし、「前衛政党論」を否定し、選挙、議会を通しての社会変革を主張している。
また、レーニンらボルシェビキは「暴力革命」を主張するが、当然に、ローザは反対し、「社会主義的民主主義」を主張し、「死刑」にも反対する。
また、民族と労働者との関係でも、マルクスやレーニンとは違う考えを示す。また、早くから「帝国主義」を見抜いており、マルクスの拡大再生産では足りない、アフリカや南北アメリカ大陸での収奪を見逃してはならないとする。
そして、現在から見て、ローザの思想の方が、その後の姿に近い見通しを持った思想であったことが、現実として示された。とはいえ、資本主義も、はるかに「欲望の世界」となり、貧富の差は天文学的な格差に広がっている。僅か1パーセントの人に冨が集中と言う尋常でない世界が現出している。
だからこそ、著者は、これからローザ・ルクセンブルグの考え方が、今一度見直され、発展させる思想であるということを強調している。タイトル通り「道案内の書」と言える。
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ロ-ザ・ルクセンブルク思想案内 単行本 – 2009/2/1
伊藤 成彦
(著)
- 本の長さ340ページ
- 言語日本語
- 出版社社会評論社
- 発売日2009/2/1
- ISBN-104784513337
- ISBN-13978-4784513338
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登録情報
- 出版社 : 社会評論社 (2009/2/1)
- 発売日 : 2009/2/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 340ページ
- ISBN-10 : 4784513337
- ISBN-13 : 978-4784513338
- Amazon 売れ筋ランキング: - 914,899位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 780位ドイツ・オーストリアの思想
- - 1,711位西洋哲学入門
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