9月16日12時28分に茨城県南部で発生したM5.6、最大震度5弱の地震は自然災害の脅威を認識している多くの人にとって久し振りの目覚ましとなったことは紛れもない。首都圏は関東大震災（1923年9月1日正午前に発生したM7.9の地震）から既に91年が経過し、M7クラスの大地震の発生が近づいてきている。政府を初め首都圏の行政機関及び防災関係機関は大地震の発生に向けた準備や訓練を重ねてきている。今後M5クラス、更にM6クラスの地震が発生することになると、M7クラスの地震発生まで余り時間的余裕は残されていない。しかし、私達はこの自然災害の脅威に対し、相変わらず無関心の状態にある。時間的に未だ余裕のある現在が、この計り知れない自然の脅威に対する備えを整える上で極めて重要な時期だと言うことに考えを巡らして欲しい。
東京大学名誉教授の村井俊治氏は全国の約1300あるGPSの電子基準点のデータを追跡して微小な地殻の変動を計測し、地震の［前兆現象］をとらえ、5月5日以降、計4回発生した震度5以上の地震を全て的中した、と言われる（週間ポスト2014年9月19･26日号から）。地震発生の予知が可能になれば、其れは命を救うことに繋がることは間違いない。
しかし、もし、予知ができるようになったとしても、だからと言って自然災害の最たる大地震に対し個々人がそれぞれ自分の為に準備し、その時に備えることから手を抜くことはできないことは言うまでもない。必要性は分かっているけれど、でも、未だ備えを十分にできていない、そんな人が大多数のようだ。何故、私たちは備えることに積極的でないのだろうか。自分の生存の意思決定に責任を持とうとしないのだろうか。自然の脅威を理解できないからなのだろうか。著書「地震対策、危機管理が企業を守る」を発行してから既に10年が過ぎようとしている。日頃から感じていた自然災害に対する危機意識の欠如は今もほとんど変わらないように思える。新潟県中越地震、新潟県中越沖地震、東日本大震災といくつもの自然大災害が日本を襲い、多くの尊い命を失い、生活基盤を喪失し厳しい現実を突きつけられたのに、現状は余り変わっていない。積極的なプラスの思考、自分の生存に係わること、講習会や、ワークショップ、訓練を積み重ねる以外にその解決策は見いだせない。
