スカトロジーというと、性的倒錯を思い浮かべる方が多いと思うが、この本は、未開の民族や、宗教を含めた古代文明、近世以前の生活文化における糞便の使用について書かれたもの。
1891年にアマチュア人類学者のジョン・G・ボークによって上梓された原著を、1994年にルイス・P・カプランが大幅な省略をともなって再編したのが本書。
序文はフロイトによるものだが蛇足であると言わざるを得ない。なぜなら、彼の精神分析理論の登場が19世紀末と近代に成立していて、その理論の前提も近代の生活様式だとすると、対象領域に重なり合う部分がないからだ。序文が書かれた時点で既にタブーとなっていた糞便が過去にどのように扱われていたかという発見に、彼は驚喜し感嘆しているにすぎない。
カプランによる序文を読んだ時点では、古今東西の文化についての貴重な視点による記述の集成であることを期待したが、そもそもがアマチュアリズムによって書かれたものなので、引用先の著作の発行年の記載がなく、かつその著作がどの地域のどんな文化においてのものかについて不明であったりなど問題が多いため、内容の信憑性に欠け、なにより批評性がなく価値を損なっている。
90年代のエログロブームに乗じて、その熱に浮かさせれて出版されたトンデモ本になってしまった感がある。類書がないだけに残念。
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スカトロジー大全 単行本 – 1995/10/1
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聖水、媚薬、毒薬、食料、医薬、化粧品、調味料、燃料、肥料……古代から今日にいたるまで、世界各地で糞尿は宗教的儀式、祭礼、呪術、医術などに使われてきた。文化人類学的視点から残された貴重な糞尿の記録。序文:S・フロイト。
- 本の長さ176ページ
- 言語日本語
- 出版社青弓社
- 発売日1995/10/1
- ISBN-104787231111
- ISBN-13978-4787231116
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商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
聖水、媚薬、毒薬、医薬、食料、調味料…世界各地で宗教儀式、祭礼、呪術、医術などに使われてきた糞尿の文化史を辿る百科全書。人間の生活の中で糞尿の果たす役割がわかる。フロイトの序文を収める。
登録情報
- 出版社 : 青弓社 (1995/10/1)
- 発売日 : 1995/10/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 176ページ
- ISBN-10 : 4787231111
- ISBN-13 : 978-4787231116
- Amazon 売れ筋ランキング: - 619,684位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,406位文化人類学一般関連書籍
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2003年8月28日に日本でレビュー済み
『うんこ』それは全ての生きとし生けるものに関わる言葉。
そのなかの人間だけに与えられた言語、そして思考するということ。
私たちはいったいどれほどこの『うんこ』について考えたことがあるだろうか?
アメリカのとある研究所チームが、人がうんこについて考える時間が最も長い時期は3~11歳という統計を出したそうだ。
人間一人がが80年生きると仮定して、うんこについての思考に与えられた年月はおよそ1年にも満たないのだという。
我々は『うんこ』という最も身近な存在をあまりに蔑ろに扱ってきたのではないだろうか?
ただ排泄物というだけで汚いものと決めつけるような暴力的な思考はこの際一切捨ててしまおうではないか。
我々が預かり知らぬ世界ではこの排泄物を神聖なるものとしてとらえる進歩的な人類もいるのだ。
かの高名な哲学者も言っているではないか。
「野生は我々の文明や思想がいかに貧弱であるかを教えてくれる」と。
まず今持っている固定観念を捨てよう。
そして、次にあなたがトイレに入り排泄行為を行った後、あなたは、今あなたが出したばかりのあなたの分身があなたの手の中で微かな笑みを浮かべてあなたを見つめていることに気づくだろう。
そのなかの人間だけに与えられた言語、そして思考するということ。
私たちはいったいどれほどこの『うんこ』について考えたことがあるだろうか?
アメリカのとある研究所チームが、人がうんこについて考える時間が最も長い時期は3~11歳という統計を出したそうだ。
人間一人がが80年生きると仮定して、うんこについての思考に与えられた年月はおよそ1年にも満たないのだという。
我々は『うんこ』という最も身近な存在をあまりに蔑ろに扱ってきたのではないだろうか?
ただ排泄物というだけで汚いものと決めつけるような暴力的な思考はこの際一切捨ててしまおうではないか。
我々が預かり知らぬ世界ではこの排泄物を神聖なるものとしてとらえる進歩的な人類もいるのだ。
かの高名な哲学者も言っているではないか。
「野生は我々の文明や思想がいかに貧弱であるかを教えてくれる」と。
まず今持っている固定観念を捨てよう。
そして、次にあなたがトイレに入り排泄行為を行った後、あなたは、今あなたが出したばかりのあなたの分身があなたの手の中で微かな笑みを浮かべてあなたを見つめていることに気づくだろう。