重厚な写真史、写真論ではなくとても分かりやすく丁寧にまとめられた写真概論。
この本で章立てされている
●「子どもの写真」を「視点」として描かれた写真史
●ポルノグラフィ及びジェンダーを「視点」とした写真史は秀逸。
巨匠が登場するよくある退屈な写真通史ではなくオルタナティブな「視点」から新たな写真-視野を描き出す。
本書の第四章にスタイケン企画の戦時プロパガンダ展「勝利への道」が記述されている。著者は当該写真展の会場入り口の大きな写真パネルを「ロッキー山脈を写した大きな写真パネル」と写真も掲載しているがこれは間違い。その写真はザイオン国立公園のザイオンキャニオンを写したもの。逆光の写真の中央に黒々と鎮座したビュートはエンジェルスランディング(天使が舞い降りる所)。ザイオンはZionでシオニズム(Zionism)と同源。そこにスタイケンの意図があったと思うのだが。
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写真を〈読む〉視点 (写真叢書) 単行本 – 2005/7/1
小林 美香
(著)
新聞・雑誌や広告で消費される写真、戦場の現実を照らし出す報道写真、インターネット上で画像と認識される写真、美術館やギャラリーに展示される写真――私たちを取り囲む写真とどう向き合えばいいのかを、7つの視点からわかりやすくレクチャーする。
- 本の長さ227ページ
- 言語日本語
- 出版社青弓社
- 発売日2005/7/1
- ISBN-104787272004
- ISBN-13978-4787272003
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商品の説明
著者について
1973年生まれ。大阪芸術大学・大阪成蹊大学・京都造形芸術大学などの非常勤講師。専攻は写真論・写真史。関西を中心に写真に関するレクチャーやワークショップ、シンポジウムの企画・開催に携わる。共監訳書に、ジル・モラ『写真のキーワード――技術・表現・歴史』(昭和堂)
登録情報
- 出版社 : 青弓社 (2005/7/1)
- 発売日 : 2005/7/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 227ページ
- ISBN-10 : 4787272004
- ISBN-13 : 978-4787272003
- Amazon 売れ筋ランキング: - 313,014位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,704位カメラ・ビデオ (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
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2023年4月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
自己表現をする写真を撮る勉強のために買ってみましたが、全く参考にはならない。
表現の全てが抽象的で、他者の作品を参考に自論を展開する内容です。
表現の全てが抽象的で、他者の作品を参考に自論を展開する内容です。
2010年5月7日に日本でレビュー済み
本書を読んで得られた視点はつぎの4つです。
技術史と表現史
こどもの写真
戦争の写真
美術館における位置づけ
芸術としての写真は難しいと思いました。
空間の切り出しと、光の切り出し、遠近の切り出し、時間の切り出し。
人間や動物の写真では、関係も切り出していることがあります。
技術史と表現史
こどもの写真
戦争の写真
美術館における位置づけ
芸術としての写真は難しいと思いました。
空間の切り出しと、光の切り出し、遠近の切り出し、時間の切り出し。
人間や動物の写真では、関係も切り出していることがあります。
2005年7月27日に日本でレビュー済み
現代人の生活は、圧倒的な量のイメージ(写真・映像/動画)の嵐のただなかで営まれていると言ってもいい。しかし、とりわけ写真に関していえば、現代印刷技術の普及以後、戦争や様々な疑惑、プロパガンダの記憶を経ても、見る人とイメージとの関係性は、ナイーヴなまでに不変であるように見える(ソンタグも、この事実をくり返し指摘していた)。イメージに対する漠然とした幻想、透明性/無垢さの意識を保ちながら、同時に、乱暴な言い方をすれば「精度の高い絵画」の延長として写真を捉えるとき、多様なイメージの郡れ(美術館に展示された「アートとしての写真」、報道写真や広告写真、ヴァナキュラーな(自分の家族写真、アマチュアによるコレクション写真など)写真といったもの)に対して、どう構えればばいいか、わたしたちは途方にくれてしまうだろう。
写真は、消費の欲望や政治の理想、国家的犯罪の隠蔽といった利用法とともに、人間と異なる「見え」を通して、見る人の視覚体験を根本から変容させる力を持っていると思う。しかし、写真・映像が日常の中でこれほど強い影響力を及ぼすものでありながら、国内の美術教育の過程では、写真に向き合う体験が全くされてこなかった事実がある(特に子供に対するイメージの影響力は計り知れないにも関わらず)。
本書では、わたしたちが写真に触れる様々な場面について、写真の見せ方や消費のされ方、イメージに付加された意味やその背景(時には利害関係でさえあるだろう)などが、具体的な例とともに簡潔に分析されている。写真黎明期からドキュメンタリー、現代アート、ポルノグラフィ・・・本書が扱う領域は広大だ。
一見、写真にとっての「周辺」とも見えるこれらのアプローチにこそ、実は写真を意識的に<見る>体験を通して、わたしたちがイメージに向き合う力を養うための糸口が隠されていると思う。
写真は、消費の欲望や政治の理想、国家的犯罪の隠蔽といった利用法とともに、人間と異なる「見え」を通して、見る人の視覚体験を根本から変容させる力を持っていると思う。しかし、写真・映像が日常の中でこれほど強い影響力を及ぼすものでありながら、国内の美術教育の過程では、写真に向き合う体験が全くされてこなかった事実がある(特に子供に対するイメージの影響力は計り知れないにも関わらず)。
本書では、わたしたちが写真に触れる様々な場面について、写真の見せ方や消費のされ方、イメージに付加された意味やその背景(時には利害関係でさえあるだろう)などが、具体的な例とともに簡潔に分析されている。写真黎明期からドキュメンタリー、現代アート、ポルノグラフィ・・・本書が扱う領域は広大だ。
一見、写真にとっての「周辺」とも見えるこれらのアプローチにこそ、実は写真を意識的に<見る>体験を通して、わたしたちがイメージに向き合う力を養うための糸口が隠されていると思う。