有益な示唆は多いが、重点の「流派」によって、使い道が大きく左右されるだろう。
著者のこのトピックにおける読解のプライオリティは「現前性」にあり、「遠さ除去」である各種メディアを利用する人は、やってくるものの「現前性」の為に身体をオフにするという解釈をしている。そう観る上で、ドレイファスは「世界の世界性」に重点を置くので批判されるが、私は寧ろドレイファス寄りなので「なんだかなぁ」と思ったり、メルロー=ポンティを読んだ後見返すと「身体ってこの人にとってそんなにリアルでないものなのだろうか」と思ったりした。加えて著者のメディア観の前提となっている知識が、人間性や「ここ」は普遍的か、一つのメディアにかくも現前しうるか、そんなに電話するか等々、やや古典的な事が気になった。
メディアを「現前」という観点から考えようとしている人には、かなり有益であろう。
だが他の流派に居る人は、これを直接読むよりは概説する丸田一の『「場所」論』(NTT出版)や、ハイデガーの「技術への問い」をお勧めしたい。
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存在論的メディア論―ハイデガーとヴィリリオ 単行本 – 2004/12/20
和田 伸一郎
(著)
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- 本の長さ349ページ
- 言語日本語
- 出版社新曜社
- 発売日2004/12/20
- ISBN-10478850930X
- ISBN-13978-4788509306
商品の説明
出版社からのコメント
◆ケータイを持ったハイデガー◆
世界最長寿の女性が、この一二〇年間でいちばん驚いた技術革新は何かと訊かれて、ためらうことなく電話と答えたそうです。ケータイ電話にとりつかれた若者の行動はたしかに不可解ではた迷惑ですが、そこには遠さと近さの逆転に起因する、超自然的で奇妙な魅力があり、ハイデガーの〈現存在〉をめぐって展開した難解な思考がまさに現実の体験として起こっているのです。このような視点から、電話に限らず映画、テレビなど、最新のメディア利用者に起きていることを読み解きつつ、現象学がめざしたものを明らかにします。超大型新人による瞠目すべき論考です。
世界最長寿の女性が、この一二〇年間でいちばん驚いた技術革新は何かと訊かれて、ためらうことなく電話と答えたそうです。ケータイ電話にとりつかれた若者の行動はたしかに不可解ではた迷惑ですが、そこには遠さと近さの逆転に起因する、超自然的で奇妙な魅力があり、ハイデガーの〈現存在〉をめぐって展開した難解な思考がまさに現実の体験として起こっているのです。このような視点から、電話に限らず映画、テレビなど、最新のメディア利用者に起きていることを読み解きつつ、現象学がめざしたものを明らかにします。超大型新人による瞠目すべき論考です。
抜粋
第一章で視覚文化論の領域で主体に立脚してしばしば考察が巡らされるプリミティブなメディア利用者のある不安、『ラ・シスタ駅への列車の到着』を最初に見た当時の観客が感じた不安を、ヴィリリオの示唆を手がかりに、主体の枠組みを超えた不安として捉え、主体概念に依拠することなくどのような枠組みからだとこの不安をより包括的に捉えることができるか、というところの議論をずらしていくことを試みる。このときに主体に代わる枠組みとしてわれわれが依拠するのが、ハイデガーのいう〈現存在〉という概念である。
第二章では、この〈現存財〉という枠組みがメディア利用の経験の考察に、どのような発見、広がりをもたらしてくれるか、それをハイデガー哲学に依拠しながら示していく。さらに主体概念よりもいっそう広がりをもつと思われた〈現存在〉の概念でも捉えられないような経験として、メディア利用者にある種の自症閉的経験についてにヴィリリオの議論が位置づけられ、ここにおいて技術のポテンシャルに対して、主体という枠組みにとっても守られずに、剥き出しのままそこに投げ出され、引き渡され、曝し出されているような身体が提示されていることを確認する。
第三章では、再びハイデガーの議論に戻り。主体概念が表象の時代としての近世以降どのようにしてつくられ、人間がそのようなものとなっていったか、またそれ以前の主体ではない人間とはどのようなものだったのかを検討する。このことからわれわれは次のような仮説を導き出す。すなわち、メディア技術は近代という表象の時代に誕生したため最初から表象的、主体的な利用の枠に制限されていたのであるが、しかしポテンシャルとしては本来的にその枠をはみ出すものであったのではないだろうか、と。そして今後のメディア技術の進歩、例えば仮想現実は、メディア技術が誕生したときから、自らのものではないものとして嵌め込まれていた枠を踏み越えることへと向けられているのではないか、と。
とはいえ、自体は複雑である。管理社会の主題に見られるように、一方では主人(主体)である人間が道具としての(監視)技術を完璧に制御しようとする傾向が強まりながら、他方では技術自体が人間の制御しえない怪物へと巨大化、超複雑化しており、出口のないジレンマがますます深まりつつあるからである。
第四章で示そうとしたのは、こうした硬直した危機的状況にいかに思考を働かせるか、思考を活発化させてくれるようないかなる枠組みがあり得るのかということについてである。われわれはこのような枠組みとしてのハイデガーの〈立て組み〉と《性起》の問題を参照した。(「序論」より)
第二章では、この〈現存財〉という枠組みがメディア利用の経験の考察に、どのような発見、広がりをもたらしてくれるか、それをハイデガー哲学に依拠しながら示していく。さらに主体概念よりもいっそう広がりをもつと思われた〈現存在〉の概念でも捉えられないような経験として、メディア利用者にある種の自症閉的経験についてにヴィリリオの議論が位置づけられ、ここにおいて技術のポテンシャルに対して、主体という枠組みにとっても守られずに、剥き出しのままそこに投げ出され、引き渡され、曝し出されているような身体が提示されていることを確認する。
第三章では、再びハイデガーの議論に戻り。主体概念が表象の時代としての近世以降どのようにしてつくられ、人間がそのようなものとなっていったか、またそれ以前の主体ではない人間とはどのようなものだったのかを検討する。このことからわれわれは次のような仮説を導き出す。すなわち、メディア技術は近代という表象の時代に誕生したため最初から表象的、主体的な利用の枠に制限されていたのであるが、しかしポテンシャルとしては本来的にその枠をはみ出すものであったのではないだろうか、と。そして今後のメディア技術の進歩、例えば仮想現実は、メディア技術が誕生したときから、自らのものではないものとして嵌め込まれていた枠を踏み越えることへと向けられているのではないか、と。
とはいえ、自体は複雑である。管理社会の主題に見られるように、一方では主人(主体)である人間が道具としての(監視)技術を完璧に制御しようとする傾向が強まりながら、他方では技術自体が人間の制御しえない怪物へと巨大化、超複雑化しており、出口のないジレンマがますます深まりつつあるからである。
第四章で示そうとしたのは、こうした硬直した危機的状況にいかに思考を働かせるか、思考を活発化させてくれるようないかなる枠組みがあり得るのかということについてである。われわれはこのような枠組みとしてのハイデガーの〈立て組み〉と《性起》の問題を参照した。(「序論」より)
登録情報
- 出版社 : 新曜社 (2004/12/20)
- 発売日 : 2004/12/20
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 349ページ
- ISBN-10 : 478850930X
- ISBN-13 : 978-4788509306
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,001,685位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 864位ドイツ・オーストリアの思想
- - 1,894位西洋哲学入門
- - 19,024位社会学概論
- カスタマーレビュー:
著者について
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2005年4月21日に日本でレビュー済み
本書によると、携帯電話などのメディアは便利な物として人間化されており、メディア技術が有する潜在的なポテンシャルは無視されているという。それゆえ著者は、人間によって便利な物として物語化されないメディアのポテンシャルとメディア利用者の関係のあり方を探ると同時に、(ハイデガーとヴィリリオを参照しながら)「人間」という概念の枠組みを超える新たな概念の発見を目指す。だから、本書では、メディア利用が人間の身体感や場所感を喪失させるという「メディア論的言説」は批判され、(著者自身も感じていたという)メディア利用の「得体の知れない」魅惑に引かれる利用者の「存在」にあくまで肯定的に焦点があてられる。私はメディア論や哲学的な議論に疎い者だが、それでも本書はメディア利用時において自分が一体どのように「在る」のかを知的に考えさせてくれる良書だと思う。様々な具体例が出されており、それが理解の助けになってよかった(個人的にはp.167の「部屋の片づけ」に関する実存論的解釈というのがおもしろかった)。ただ、本書において著者の問題設定に対するはっきりとした結論は出されていないように思われるので、それは次回作に期待したいところである。