まず後書きで訳者の方が反省の弁を述べているけれども、訳書としてはむしろ読みやすく配慮された書籍だというのが印象です。
図版も多く(恐らく原著が多いのでしょう)、さほど学術書になれていない方でも少し頑張ればさほど「難しくて無理!」という
ような書籍ではないだろうと。
僕はどちらかというと社会学よりの視点から読んだのですが、この書籍はフレーム自体は終始一貫ルフェーブルの一連の空間論を基礎にしていますので、
そこに納得できないと骨が折れるかもしれません。逆に、そこさえ納得がいけば、おおよそ建築批評等でもどこかで前提とされていた「消費・生産」の
ための空間概念から、「使用・流用」のための空間概念への変化と、そこに不可避に介在する身体的実践という議論はそこそこエキサイティングな論点
として理解できるのではないでしょうか?そしてその具体的な身体的実践こそが、この著書では「スケートボーディング」であると。
しかしながら、この枠組み自体は終始一貫しているため、「スケートボーディング」そのものに関心がない社会学よりの読者にとっては単調に響くので
そこがマイナスポイントではないでしょうか。逆に、建築史や意匠論の立場の方にとっては、実例がかなり豊富に記載され、建築批評等でも再三引用
されるルフェーブルの議論を何度も反復することで分かりやすく提示しているという点では、(都市)社会学よりは、建築学の文脈においてこそ評価され
やすいのではという印象を受けました。編集上も読みやすくなっている書籍ですので、値段のハードルが越えられれば、ご一読して損はない書籍かと
思います。
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スケートボーディング、空間、都市―身体と建築 単行本 – 2006/8/1
スケートボーディングは身体による建築批評であり、新たな都市空間の創造である--一見、子どもの遊びと思われがちなスケートボーディングが、じつは、現代建築の資本主義的性格への批判であり、飼いならされた、陳腐化した日常生活への抵抗であり、それらに代わる新たな生き方としての「カウンターカルチャー」であることを、当のスケートボーダーたちの経験、彼らの身体と肉声をとおして鮮やかに描き出した独創的な作品です。スケートボーディングの進化、その躍動する批評性を語る数々の伝説的な名写真も本書の大きな魅力、すでに10を超える国々で翻訳・出版されています。
- 本の長さ464ページ
- 言語日本語
- 出版社新曜社
- 発売日2006/8/1
- ISBN-104788510146
- ISBN-13978-4788510142
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商品の説明
抜粋
スケートボーディングは地域的{ローカル}であって、基本的にストリートのミクロ空間と関わるものでありながら、同時に全世界に広まって増殖している行為でもあり、世界中の何千万もの人々がおこなっている。
それは現代の街の物的な建築に呼びかけるが、今ひとつの別の対象としてではなく、動的{ダイナミック}な存在として応答する。体系的にはほとんど何も述べないが、並外れた広がりをもつ言明と意味を無言のうちに提示する。空間を生み出すが、それだけではなく時間と自己をも生み出す。
スケートボーディングは絶えず抑圧され規制されてきたが、拒否的な破壊によってではなく、創造性と欲望の生産によって対抗する。歴史をもつが、それには無頓着であって、現在とすぐ未来の即時性を好む。道具(スケートボード)を必要とするが、それは身体と一体化される。大いに努力が必要だが、交換のための商品は何も生産しない。高度に視覚的だが、単なる映像のスペクタクルに堕すことは拒絶する。郊外で始まったが、都市の葛藤の中核であるダウンタウンにやって来た。
子供の遊びのように見られるが、多くのスケートボーダーにとって、これは、完結した、もう一つの生き方に他ならない。したがって、スケートボーディングは、物としての建築ではなく、空間・時間・社会的存在の生産としての建築なのである。
それは現代の街の物的な建築に呼びかけるが、今ひとつの別の対象としてではなく、動的{ダイナミック}な存在として応答する。体系的にはほとんど何も述べないが、並外れた広がりをもつ言明と意味を無言のうちに提示する。空間を生み出すが、それだけではなく時間と自己をも生み出す。
スケートボーディングは絶えず抑圧され規制されてきたが、拒否的な破壊によってではなく、創造性と欲望の生産によって対抗する。歴史をもつが、それには無頓着であって、現在とすぐ未来の即時性を好む。道具(スケートボード)を必要とするが、それは身体と一体化される。大いに努力が必要だが、交換のための商品は何も生産しない。高度に視覚的だが、単なる映像のスペクタクルに堕すことは拒絶する。郊外で始まったが、都市の葛藤の中核であるダウンタウンにやって来た。
子供の遊びのように見られるが、多くのスケートボーダーにとって、これは、完結した、もう一つの生き方に他ならない。したがって、スケートボーディングは、物としての建築ではなく、空間・時間・社会的存在の生産としての建築なのである。
著者について
イアン・ボーデン(Iain Borden)
イギリス生まれの建築史家。ロンドン大学(UCL)バートレット建築学校教授・同校ディレクター。UCLAおよびUCL大学院卒業。本書の他にThe unknown City:Contesting Architecture and Social Spaceなど多数の著書や論文があり、建造物という範疇を超えた建築史を切り開いている。
イギリス生まれの建築史家。ロンドン大学(UCL)バートレット建築学校教授・同校ディレクター。UCLAおよびUCL大学院卒業。本書の他にThe unknown City:Contesting Architecture and Social Spaceなど多数の著書や論文があり、建造物という範疇を超えた建築史を切り開いている。
齋藤 雅子 翻訳家
中川 美穂 ロンドン大学(UCL)バートレット建築学校博士課程在籍
矢部 恒彦 法政大学社会学部助教授
登録情報
- 出版社 : 新曜社 (2006/8/1)
- 発売日 : 2006/8/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 464ページ
- ISBN-10 : 4788510146
- ISBN-13 : 978-4788510142
- Amazon 売れ筋ランキング: - 327,424位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 13,980位スポーツ・アウトドア (本)
- - 22,302位アート・建築・デザイン (本)
- - 32,719位科学・テクノロジー (本)
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