この論集は、よく目にする小谷野氏の一般向きの著作とはかなり違い、書名や副題が示すとおり、純粋な文芸論集です。
オビなどには「『蒲団』はもてない男の小説か?」と小谷野氏の著作らしく目を引くコピーがあり、そのオビの最後に「挑発的論集」と書かれていますが、内容は実に冷静な文体で書かれた、アカデミックに作家・評論家を論じた文芸評論集です。
「大岡昇平幻想」は一般向け書で見られる氏らしい部分もありますが、「落語はなぜ凄いのか」はいつにもましてしんみりとした情感すら漂わせた論考であり、「恋愛と論理なき国語教育」はそれこそオビの「まっとうな批評的精神に貫かれた挑発的」な論で、個人的には首肯する所です。「鶴田欣也先生のこと」は、専門を異にする者には余り馴染みのないお名前の方に関する随想風の章ですが、自分の師に対する思いをも考えさせられる情趣あふれる一文でした。
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リアリズムの擁護 近現代文学論集 単行本 – 2008/3/14
小谷野 敦
(著)
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「蒲団」はもてない男の小説か? いまや文学衰退の元凶のように言われる私小説、自然主義。この文学史的偏見を糺し、リアリズムを評価しなおす、まっとうな批評精神に貫かれた挑発的論集。
- 本の長さ234ページ
- 言語日本語
- 出版社新曜社
- 発売日2008/3/14
- ISBN-104788510901
- ISBN-13978-4788510906
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登録情報
- 出版社 : 新曜社 (2008/3/14)
- 発売日 : 2008/3/14
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 234ページ
- ISBN-10 : 4788510901
- ISBN-13 : 978-4788510906
- Amazon 売れ筋ランキング: - 834,049位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,138位文学理論
- - 125,699位ノンフィクション (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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作家、比較文学者。1962年茨城県生まれ、埼玉県育ち。海城高校卒、東大文学部英文科卒、同大学院比較文学比較文化専攻博士課程修了、学術博士。大阪大学言語文化部講師、助教授(英語)、国際日本文化研究センター客員助教授、現在は文筆家。博士論文は『<男の恋>の文学史』、1999年『もてない男』がベストセラーに。2002年『聖母のいない国』でサントリー学芸賞。2011年『母子寮前』で芥川賞候補、2014年「ヌエのいた家」で同。
カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2009年6月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2015年2月22日に日本でレビュー済み
本書は売れてないそうで、御愁傷様です。内容はいいものですけどね。この装丁がいけないんじゃないですか。こんな青ざめた表情のような暗い
装丁では福運はやって来ません。上下逆にしたら良かったかもね。
「リアリズムの擁護」 − これは何らかのジャンルの創作活動に関わっている人には一読の価値が有るのだが、そうでない人には多分面白くない。
リアリズムの概念はイメージとしては分かるものの、なかなか規定が難しく、広義な解釈をすると幻想やファンタジーだって作家の心象に基づく
リアリズムと言えなくも無い。ここでは限定的に身近な私小説やモデルのある小説という事で、事実に裏付けられた実証的リアリズムに偏っているが、
これは著者の評論全般にも言える事である。そこでお聞きするがSFはともかく推理小説や歴史小説はどうなのよ?著者からすれば純文学とは
言えないだろうが、特に歴史小説なんかは史実に基づいているようで、そのくせ、その資料となったものを書いた人の創作がかなり入っていたと
したらどうなるのよ?大昔の事なんか本当はそんなに分かっちゃいない。その時代、時代の創作が少しずつ入ったものをリアルな史実として
受け止めているだけでしょ。だから著者の云うリアリズムなんて自分の事をそのまま書いた私小説以外にないんじゃないかと思う。どんな小説でも
創作部分は必要になる。その割合が多いか少ないかだけだろう。ただその土台となる、著者の云う「タネ」が有るか無いかは結果を大きく左右する。
「タネ」があると不安がない。確信を持って書き進められる。細かい所に拘らなくてもいずれ辻褄が合う。つまり生気が保たれるのである。「タネ」が
ないとどうしてもストーリーに歪みが生じやすい。細部の辻褄合わせをしなければならなくなり、それが全体のテクスチュアーを人工的な作り物に
してしまう。その意味でリアリズムが重要だと言うなら分かる。それは小説内で起こる出来事がすべて事実に裏付けられていなければならないという
事とは違う。それに「タネ」があるから通俗にならないとは限らないんじゃないか。
著者は純然たるリアリズムではない川端康成や大江健三郎も高く評価している。論理の矛盾とは云えないが少なくとも至上主義ではなさそうだ。
アマゾンレビューでも5つ星を付けてる推理小説もあるしね。まあ私小説も書いてる評論家の希望として私小説が隆盛になればいいなあ、という程度の
事だろう。でも面白かった。
「大岡昇平幻想」 − 著者の評論スタイルは、いろんな所からわんさか引用してきて、それにちょこちょこ裁定を下す、いわば相撲の行司の様な
ものなのだが、そのレフェリー的スタンスが最も効果的に発揮されている章。文壇の大御所の大岡昇平が至る所に論争を仕掛ける様をなかなか
冷静かつエキサイティングに描写、分析しているのでワクワクしながら読める。本領発揮か。
「恋愛と論理なき国語教育」 − 恋愛や性にはやけに寛容なのに論理の通らない空想やファンタジーや浪漫など想像力の世界には非常に厳しい。
こんなにガチガチに論理で固めた本ばかり教科書にしたら学生の自由なイマジネーションは発育が阻害されるよ。「論理の通った本を教科書にしろ!」
との要望が強力に打ち出されているが、その割りに最後の方で「教科書はあくまで参考で、自分(教師)がいいと思う長編小説や評論を課題教材にして
もらいたい」って何か矛盾してない? というより日和ってない? (この評論集なんて教科書にもってこいじゃないの。出版社の皆様、是非採用を。)
「落語はなぜ凄いのか」 − 著者が一番真っ当な評論家に見える。他のものもこれだけの熱意と力を入れてくれればいいのに。
「ペニスなき身体との交歓」 − 前半は医者や心理学者顔負けの性交譚。後半は女流作家・川上弘美の容姿問題に始まり、文学賞に与えた影響に
言及する。
「藝術家不遇伝説」 − 不遇な藝術家は時代に先駆けていたので理解されなかったという通説をやっきになって否定しているが、興味深い事実が
色々出てくる面白い章。
他にも淡々と事実を記した師匠の事や谷崎、司馬などの評論6編があるが さすがにホームグラウンドだけあって評が冴える。巻末に附録として
田山花袋の短編2編を収録。夫婦の深い人情の機微を味のある情景を伴って描出。著者が高く評価するのがよく分かる。多量の引用が煙幕になっていて
少々ウザイが読み応えある一冊。文庫版になったら売れるといいですね。
装丁では福運はやって来ません。上下逆にしたら良かったかもね。
「リアリズムの擁護」 − これは何らかのジャンルの創作活動に関わっている人には一読の価値が有るのだが、そうでない人には多分面白くない。
リアリズムの概念はイメージとしては分かるものの、なかなか規定が難しく、広義な解釈をすると幻想やファンタジーだって作家の心象に基づく
リアリズムと言えなくも無い。ここでは限定的に身近な私小説やモデルのある小説という事で、事実に裏付けられた実証的リアリズムに偏っているが、
これは著者の評論全般にも言える事である。そこでお聞きするがSFはともかく推理小説や歴史小説はどうなのよ?著者からすれば純文学とは
言えないだろうが、特に歴史小説なんかは史実に基づいているようで、そのくせ、その資料となったものを書いた人の創作がかなり入っていたと
したらどうなるのよ?大昔の事なんか本当はそんなに分かっちゃいない。その時代、時代の創作が少しずつ入ったものをリアルな史実として
受け止めているだけでしょ。だから著者の云うリアリズムなんて自分の事をそのまま書いた私小説以外にないんじゃないかと思う。どんな小説でも
創作部分は必要になる。その割合が多いか少ないかだけだろう。ただその土台となる、著者の云う「タネ」が有るか無いかは結果を大きく左右する。
「タネ」があると不安がない。確信を持って書き進められる。細かい所に拘らなくてもいずれ辻褄が合う。つまり生気が保たれるのである。「タネ」が
ないとどうしてもストーリーに歪みが生じやすい。細部の辻褄合わせをしなければならなくなり、それが全体のテクスチュアーを人工的な作り物に
してしまう。その意味でリアリズムが重要だと言うなら分かる。それは小説内で起こる出来事がすべて事実に裏付けられていなければならないという
事とは違う。それに「タネ」があるから通俗にならないとは限らないんじゃないか。
著者は純然たるリアリズムではない川端康成や大江健三郎も高く評価している。論理の矛盾とは云えないが少なくとも至上主義ではなさそうだ。
アマゾンレビューでも5つ星を付けてる推理小説もあるしね。まあ私小説も書いてる評論家の希望として私小説が隆盛になればいいなあ、という程度の
事だろう。でも面白かった。
「大岡昇平幻想」 − 著者の評論スタイルは、いろんな所からわんさか引用してきて、それにちょこちょこ裁定を下す、いわば相撲の行司の様な
ものなのだが、そのレフェリー的スタンスが最も効果的に発揮されている章。文壇の大御所の大岡昇平が至る所に論争を仕掛ける様をなかなか
冷静かつエキサイティングに描写、分析しているのでワクワクしながら読める。本領発揮か。
「恋愛と論理なき国語教育」 − 恋愛や性にはやけに寛容なのに論理の通らない空想やファンタジーや浪漫など想像力の世界には非常に厳しい。
こんなにガチガチに論理で固めた本ばかり教科書にしたら学生の自由なイマジネーションは発育が阻害されるよ。「論理の通った本を教科書にしろ!」
との要望が強力に打ち出されているが、その割りに最後の方で「教科書はあくまで参考で、自分(教師)がいいと思う長編小説や評論を課題教材にして
もらいたい」って何か矛盾してない? というより日和ってない? (この評論集なんて教科書にもってこいじゃないの。出版社の皆様、是非採用を。)
「落語はなぜ凄いのか」 − 著者が一番真っ当な評論家に見える。他のものもこれだけの熱意と力を入れてくれればいいのに。
「ペニスなき身体との交歓」 − 前半は医者や心理学者顔負けの性交譚。後半は女流作家・川上弘美の容姿問題に始まり、文学賞に与えた影響に
言及する。
「藝術家不遇伝説」 − 不遇な藝術家は時代に先駆けていたので理解されなかったという通説をやっきになって否定しているが、興味深い事実が
色々出てくる面白い章。
他にも淡々と事実を記した師匠の事や谷崎、司馬などの評論6編があるが さすがにホームグラウンドだけあって評が冴える。巻末に附録として
田山花袋の短編2編を収録。夫婦の深い人情の機微を味のある情景を伴って描出。著者が高く評価するのがよく分かる。多量の引用が煙幕になっていて
少々ウザイが読み応えある一冊。文庫版になったら売れるといいですね。