ナチによって家族を皆殺しにされた著者は、ナチハンターという
異名をとるほど残りの人生すべてをかけて執念の捜索を行いますが、
それは私的な報復をするためではなく、裁判で彼らを裁く事を信条
とする「正義」を貫くためでした。
そしてそれは私達への、また将来の殺人者への歴史的・教育的側面
もあったのです。
この回顧録は、恐るべき記憶力を持ってして1つ1つ克明に描かれていて、
とても迫力があります。
まさに著者の肉声が聞こえてきそうな、読み応えのある本でした。
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
ナチ犯罪人を追う: S.ヴィ-ゼンタ-ル回顧録 単行本 – 1998/3/1
- 本の長さ440ページ
- 言語日本語
- 出版社時事通信社
- 発売日1998/3/1
- ISBN-104788798093
- ISBN-13978-4788798090
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
ナチ・ドイツの強制収容所を奇跡的に生き延び、民族絶滅を図ったナチ犯罪人を法で裁くことに半生をかけた著者の回顧録。ユダヤ人迫害と闘う強固な意志、超人的な記憶力と勘が歴史の闇に消されようとする真実に迫る。
登録情報
- 出版社 : 時事通信社; New版 (1998/3/1)
- 発売日 : 1998/3/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 440ページ
- ISBN-10 : 4788798093
- ISBN-13 : 978-4788798090
- Amazon 売れ筋ランキング: - 164,244位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 32位犯罪者関連
- - 46位ドイツ・オーストリア史
- - 106位西洋史
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2007年4月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2016年10月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
読み終えるまで三週間かかった。それは、これが活字の小さな二段組のぶ厚い本だからでもあり、また千箇所以上線を引き考えを書き込みながら読み進めたからでもあるが、なにより記述のすべてがあまりにも人間的であったからだ。
ヴィーゼンタールは世界一のナチ・ハンターとして知られる人物で、ポーランドで生まれ育ち、ユダヤ人として強制収容所から生還した後、ナチ犯罪人を追跡し告発するための事務所を最初はリンツ、次いでウィーンに開いた。一般にはアイヒマン逮捕に貢献した人物として名が知られている(断っておけば、彼の名を冠した啓発機関「サイモン・ヴィーゼンタール・センター」の運営にはほとんど関与していない)。
原書は冷戦時代の終局、1988年に出た。
最初に目次を開くと、まず第27章『ユダヤ人とパレスチナ人』から目を通した。予想はしていたが、ひどいことが書かれていた。イスラエル建国を正当化し、アラブ人は追い出されたのではなく自ら進んで出て行ったのだと言い、イスラエル人に向けられる非難を「反ユダヤ主義の新しい形態」と呼ぶ。予期していたとはいえ、これが最も執拗にナチを追及した人間の言葉なのだと思えば、眼の前が暗くなった。読んでいる間、サイードの『ペンと剣』をおまもりに置かねばならなかったほどだ。
そしてあらためて第1章から読み始めた。
書かれているものは、一般的な歴史書とは明らかに異質な内容だった。歴史家や哲学者としてではなく、一生存者としてでもなく、民族を絶滅させようとした者たちを半世紀近くも追い続けた者特有の認識が感じられる。そこに書かれた、さまざまな鋭い洞察、慧眼、正鵠を射た分析に出会う度、私はあの27章を思い出し、複雑な一個の人間を視る。
以下は、本書の最終章『若い人たちへ』、その文章の最後である。書き留めるに値する。
「……現代が若者に求めるのは消費だけだ。だがそれにも限界があり、人生を意味あるものにするにはどうしたらよいかと彼らは思い悩んでいる。
私の懸念は、かつては貧困と飢餓と失業がそうであったのに対し、これこそが新しい独裁の前提になるのではないかということである。独裁体制は常にまず、意味を見失ってしまった若者をとりこにした。独裁体制は彼らに狂った意味を教え込んだ。そのうえで制服を着せて一日中戦争ごっこをさせた。最後には彼らは本当の戦争もこなすようになり、英雄的な死に憧れ、死が実際にはどんなにつまらなく汚く醜いものであるか、まるでわからなくなってしまった。若者には無意味さを逃れるために死に走る傾向がある。独裁体制はこの傾向にはけ口を用意する。民主主義諸国は意味を与えることを学ばねばならない。」
ヴィーゼンタールは世界一のナチ・ハンターとして知られる人物で、ポーランドで生まれ育ち、ユダヤ人として強制収容所から生還した後、ナチ犯罪人を追跡し告発するための事務所を最初はリンツ、次いでウィーンに開いた。一般にはアイヒマン逮捕に貢献した人物として名が知られている(断っておけば、彼の名を冠した啓発機関「サイモン・ヴィーゼンタール・センター」の運営にはほとんど関与していない)。
原書は冷戦時代の終局、1988年に出た。
最初に目次を開くと、まず第27章『ユダヤ人とパレスチナ人』から目を通した。予想はしていたが、ひどいことが書かれていた。イスラエル建国を正当化し、アラブ人は追い出されたのではなく自ら進んで出て行ったのだと言い、イスラエル人に向けられる非難を「反ユダヤ主義の新しい形態」と呼ぶ。予期していたとはいえ、これが最も執拗にナチを追及した人間の言葉なのだと思えば、眼の前が暗くなった。読んでいる間、サイードの『ペンと剣』をおまもりに置かねばならなかったほどだ。
そしてあらためて第1章から読み始めた。
書かれているものは、一般的な歴史書とは明らかに異質な内容だった。歴史家や哲学者としてではなく、一生存者としてでもなく、民族を絶滅させようとした者たちを半世紀近くも追い続けた者特有の認識が感じられる。そこに書かれた、さまざまな鋭い洞察、慧眼、正鵠を射た分析に出会う度、私はあの27章を思い出し、複雑な一個の人間を視る。
以下は、本書の最終章『若い人たちへ』、その文章の最後である。書き留めるに値する。
「……現代が若者に求めるのは消費だけだ。だがそれにも限界があり、人生を意味あるものにするにはどうしたらよいかと彼らは思い悩んでいる。
私の懸念は、かつては貧困と飢餓と失業がそうであったのに対し、これこそが新しい独裁の前提になるのではないかということである。独裁体制は常にまず、意味を見失ってしまった若者をとりこにした。独裁体制は彼らに狂った意味を教え込んだ。そのうえで制服を着せて一日中戦争ごっこをさせた。最後には彼らは本当の戦争もこなすようになり、英雄的な死に憧れ、死が実際にはどんなにつまらなく汚く醜いものであるか、まるでわからなくなってしまった。若者には無意味さを逃れるために死に走る傾向がある。独裁体制はこの傾向にはけ口を用意する。民主主義諸国は意味を与えることを学ばねばならない。」
2008年9月23日に日本でレビュー済み
ナチハンターとして知られた著者の本ですが、
実際にはほとんど「成果」はなく、ハッタリが多いアントニオ猪木のようなオッサンです。
特にメンゲレ追跡では暴走が酷く、
パラグアイ政府に引き渡しを要求したりしています。
メンゲレはそのころブラジルでのほほんと暮らしていたのに……
メンゲレは海水浴で心臓発作を起こし(つまりレジャーで死んだわけです!)なんの裁きも受けず死にました。死んだ後も著者は「追跡」をしていました。
メンゲレの息子が後に死んだことをマスコミに告白するまで。
証拠がないのであまり言いたくないのですが「カポ」疑惑もある人物です。
収容所にそれほど長い年月生きていられたと言うこと、それはナチと何らかの癒着をしていたのではないかと。ガス室否定論者からは結構このネタで叩かれています。
そしてしっかり弁明できておりません。
関連する本として「ナチ・ハンターズ」がありますので併読を強く奨めます。
実際にはほとんど「成果」はなく、ハッタリが多いアントニオ猪木のようなオッサンです。
特にメンゲレ追跡では暴走が酷く、
パラグアイ政府に引き渡しを要求したりしています。
メンゲレはそのころブラジルでのほほんと暮らしていたのに……
メンゲレは海水浴で心臓発作を起こし(つまりレジャーで死んだわけです!)なんの裁きも受けず死にました。死んだ後も著者は「追跡」をしていました。
メンゲレの息子が後に死んだことをマスコミに告白するまで。
証拠がないのであまり言いたくないのですが「カポ」疑惑もある人物です。
収容所にそれほど長い年月生きていられたと言うこと、それはナチと何らかの癒着をしていたのではないかと。ガス室否定論者からは結構このネタで叩かれています。
そしてしっかり弁明できておりません。
関連する本として「ナチ・ハンターズ」がありますので併読を強く奨めます。