東北震災以降、何度もフクシマや三陸に足を運びましたが、今回、山浦先生の熱烈なファン、という
米国在住の高校同期生(本人も大学では遺伝学を学んだ後、曲折を経て在米30年、五児の母、プロの
宗教音楽家)と共に、大船渡のカソリック系ボランティアベースに1日半参加しました。
(私自身はドライバー兼ガイドみたいな形、ちなみに実家は真言宗)
大船渡に来てから、彼女がどうしても先生のお宅にカードだけでも置いていきたい(面識はあった
らしい)とのことで、医院まできたところ、隣のご自宅に偶々先生が御在宅で、招じ入れられてしまい
ました。
医師独特の凛としてそれでいて人懐こい笑顔、眼光は時に鋭い。自作のエルサレム神殿の模型(1/400)
を嬉々として見せびらかす姿は時に子供のように純粋に感じましたが、彼女がこの本のことを熱心に
勧めてくれたため購入。一気に読みました。
徹底したカソリック者にして筋の通った頑固親爺。ややカソリック臭に惑わされがちになりつつも、
ケセン語でなければ聖書の真の姿は地元信者には伝わらない、という一徹さ。それでいて、時に、小遣い
をチビチビ2年以上貯めて漸くラジコンの模型自動車を買ったご子息が、送信機(=操縦装置)を買って
おらず(小学生ですから)に呆然としているところに、ポンと車体並の送信機を買い与えたり、巨大
青大将(ヘビ)をお子様たちが捕まえて飼っているのが逃げ出して御近所とトラブルになり、泣く泣く
山へ放させた(ダンコとした態度で、だと思います)直後、黙って裏山に自ら「出撃」して、馬鹿でっかい
ガマガエルを捕まえてきてお子様たちを欣喜雀躍させ、何年もの家族に加えたり、といったユーモラス
な姿。将に「父とは家族の王であり太陽であるべし」を、背中でなく正面から格闘することによって
実践する姿がそこにありました。
ローマ法王・パウロ'2世との謁見の記念写真も拝見しましたが、信仰者として、ケセン人として、医師と
して、恐ろしいまでに【徹底して純度の高い方】であり、その真髄が見事に描き起こされている一冊です。
今回、新刊で求めましたが、帯には、かの「吉行あぐり」女史の推薦文がありました。当年107歳にして
日本最高齢の美容師資格の保持者です。安直に読むと宗教色ばかり感じそうでいて、それでいて面白い
ので読み進めてしまう。それが故に、いつの間にかカソリックの教えが浸透してきてしまう、そんな1冊
です。
ただ、コッソリ付け加えると、ケセン語の大部な著作や活動の裏には、「殉教者が居りまして」という
奥様の存在があり、更には(大船渡ベースのシスターによると)お子様達からは「たまったものではない」
との不評とか。でも、懲りずに今度はお孫さんへの手紙も認め始められているとのこと。文字通り、
「父さん“からの”宝物」になるものでしょう。
様々な意味で、触発され揺さぶられ、そして笑わされてしまう。『父親教』の聖典、のような、そんな
1冊としてお勧めしたいと思います。
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父さんの宝物 単行本 – 2003/7/1
山浦 玄嗣
(著)
- 本の長さ225ページ
- 言語日本語
- 出版社聖パウロ女子修道会
- 発売日2003/7/1
- ISBN-104789605728
- ISBN-13978-4789605724
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商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
健康に恵まれ、まっすぐにすくすくと成長する8人の子供達。理解と愛で堅く結ばれた妻。そして、多くの良き友と良き土地柄の故郷…。1人の父親が生まれ、育ってゆく過程を描く。文字が大きく見やすくなった87年刊の改訂版。
登録情報
- 出版社 : 聖パウロ女子修道会 (2003/7/1)
- 発売日 : 2003/7/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 225ページ
- ISBN-10 : 4789605728
- ISBN-13 : 978-4789605724
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,207,504位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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トップレビュー
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2014年7月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2013年4月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
山浦玄嗣さんの本が好きで、息子にも読ませました。分かりやすい内容です。
2017年2月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
山浦さんがキリスト信者なので、キリスト教色が強くでている作品です。当方、キリスト教信者ではありませんが、なんとか最後まで読めました。最後はほとんど斜め読みでした。山浦氏の視点で描かれる、奥さんを尊敬するこころ、医者としてどう生きるか、いのちのあり方をどう考えるか、子育てをどう考えるか、おもしろい視点が多かったです。昔のお父さん、微笑ましいです。
2013年11月12日に日本でレビュー済み
「ケセン語訳聖書」「ガリラヤのイエシュー」「なぜと問わない」など、一般向けのキリスト教関係の本を書いている山浦医師の実生活を垣間見ることのできる良書。ずいぶん型破りな人だと驚いたが、「ケセンと家族を心の底から愛する、一本筋の通った頑固親父」であることもよく分かる。あまりにおもしろくて読むのをやめることができなかった。お勧めです。
2006年7月5日に日本でレビュー済み
岩手県は気仙の医者である山浦先生の、激しくも心温まるそして決して読み流してはいけない宗教論と子育て論が、家族のドンチャン騒ぎを背景に展開される。抱腹絶倒、それでいて、ほろっと涙させるスパイスが随所にちりばめられて、あっという間に山浦ワールドに引き込まれること請け合いである。
何より傑作なのが、山浦氏が子供たちに聖書を読み聞かせるシーンは、どこを読んでも必ず乱闘騒ぎになることだ。しかし氏の卓越した見識は、とたんに家族をひとつに纏め上げ「おがみもうすぞ」で一件落着。
まさにローマカトリックの家族の宗教教育論であるが、読み始めれば、宗教という狭い枠を超えて、今の親父が忘れてしまった、言葉にできない大事な「何か」がそこいらに隠れている。
私は、1987年5月1日の初版本を持っているが、もう何度読んだのか、手垢にまみれぼろぼろの状態である。すべての文章をほとんど暗記しているのに、何度もページを開いてしまう。
何より嬉しいのは、この本の筆者である山浦玄嗣先生が、時々、私が聖歌隊として所属している岩手県は盛岡市四ッ家カトリック教会に、以前よりも毅然とした体で時々訪れてくれることである。全幅の信頼感を、彼に感じるのである。「親父必読の書」ではないだろうか。
何より傑作なのが、山浦氏が子供たちに聖書を読み聞かせるシーンは、どこを読んでも必ず乱闘騒ぎになることだ。しかし氏の卓越した見識は、とたんに家族をひとつに纏め上げ「おがみもうすぞ」で一件落着。
まさにローマカトリックの家族の宗教教育論であるが、読み始めれば、宗教という狭い枠を超えて、今の親父が忘れてしまった、言葉にできない大事な「何か」がそこいらに隠れている。
私は、1987年5月1日の初版本を持っているが、もう何度読んだのか、手垢にまみれぼろぼろの状態である。すべての文章をほとんど暗記しているのに、何度もページを開いてしまう。
何より嬉しいのは、この本の筆者である山浦玄嗣先生が、時々、私が聖歌隊として所属している岩手県は盛岡市四ッ家カトリック教会に、以前よりも毅然とした体で時々訪れてくれることである。全幅の信頼感を、彼に感じるのである。「親父必読の書」ではないだろうか。
2000年12月13日に日本でレビュー済み
この本は、Ⅰ父親の目とⅡ父さんの聖書の話の2部構成で書かれており、山浦家での奇想天外な出来事をはじめとして、学校や地域にかかわるさまざまなことが書かれています。そのいずれもが心温まり、人間について深く考えさせられることばかりです。
この本の作者は医者であり、地元の言葉「ケセン語」の研究者でもあり、そしてカトリック信者でもあります。そのいずれもが「純度」の高い人です。
イギリスには父が子供に親としての大切なことを伝える、Moment of Truthと呼ばれるものがあると聞きました。巻頭言で、なだいなださんは「伝える教育」という言葉を使っています。私にとってこれは、Moment of Truthの宝庫です。
作者が記しているように、ケセン語で「宝物」とは子供を意味し、自分の子供よその子供を問いません。だから、この本ではMoment of Truthを伝えるのに、自分の親や子供を問わなくてもよいのです。私はそう思います。
この本の作者は医者であり、地元の言葉「ケセン語」の研究者でもあり、そしてカトリック信者でもあります。そのいずれもが「純度」の高い人です。
イギリスには父が子供に親としての大切なことを伝える、Moment of Truthと呼ばれるものがあると聞きました。巻頭言で、なだいなださんは「伝える教育」という言葉を使っています。私にとってこれは、Moment of Truthの宝庫です。
作者が記しているように、ケセン語で「宝物」とは子供を意味し、自分の子供よその子供を問いません。だから、この本ではMoment of Truthを伝えるのに、自分の親や子供を問わなくてもよいのです。私はそう思います。