近代化が進む時期に、イギリスにおいてどのようなプロセスで出版事業が拡大したか、また、読書習慣が広がったのかが、具体的に描かれています。とくに副題にあるコーヒーハウスの役割と、貸本屋が小説の読者拡大に果たした役割とが、かなりクリアに理解できます。
メディア史とくに出版史を学ぶ学生には是非とも勧めたい一冊です。とりわけチャップマンの存在は要チェックでしょう。ただ、本書は専門書という構成ではないので、知識を得る目的で読むには、全体的に冗長さが気になるかもしれません。それでも得られる知識は少なくないはずです。
コーヒーハウスについては小林章夫『コーヒー・ハウス』が詳しく、この本と一緒に読むことを強くオススメします。ロイズのエピソードなどもこちらに詳しく書かれています。また、永嶺重『敏読書国民”の誕生』と併せて読むと、日本との共通点を通じ、近代における普遍的な現象を考察できると思います。
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