ポーランド語は西スラブ語系統に属しますが、ポーランド文化はむしろ西欧カトリック圏にあり、
いわばポーランド民族は言語・文化的に捩れた関係の中に生きています。
当方は大学で文化人類学を専攻した関係で、また個人的にピアノの学習、
とくにショパン演奏を続けてきた点でポーランドとは心的結びつきが強いのです。
フィールドワークという技法を編み出したのはご当地ポーランドの文化人類学者マリノフスキーでした。
そのあたりの事情は故人・山口昌男氏が生前よく語っていました。
最初にも述べましたが、ポーランド語（イエンジック・ポルスキ）は、
スラブ語とラテン語の中間言語であり、文法はスラブ語系のものですが、
文字表記の点ではラテン語そのものです。だから、ポーランド語をやる前に少しだけ、
初歩のロシア語をやっておくとよいです。当方の場合、大学時代に第三外国語として、
ポーランド語（初級）の授業をとっていましたが、
ロシア語やフランス語の知識・素養が多少あれば十分自習できます。
さて、本書は政治、経済、宗教、文化、言語等の各面で、
広くポーランド文化、ポーランド民族を見渡した良書です。
まさに総合文化研究としての「ポーランド学」を志す向きにはおすすめ度が高いかと思います。
そしてこの際、ポーランドにとどまらず、さらに広くルーマニア、ハンガリー、
ブルガリアなどの諸民族・文化・言語にも関心を深めるなど、
スラブ圏～アジア圏にまたがる領域における文化の様相に理解を深めていただきたい、
と願っています。即ち、中・東欧地域のことです。
因みに、チェコやスロバキア、また旧のユーゴスラビア地域なども興味深いですね。
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