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ルソーを学ぶ人のために 単行本(ソフトカバー) – 2010/11/3
桑瀬章二郎
(編集)
最新の研究成果を取り入れつつ、『社会契約論』、『エミール』、『告白』など、ルソーの主要作品を精密かつ大胆に読み直すとともに、美学や言語論等の個別テーマについても解説。ルソーのラディカルな思考、批判精神を生き生きと現代に甦らせる。
- ISBN-104790714942
- ISBN-13978-4790714941
- 出版社世界思想社
- 発売日2010/11/3
- 言語日本語
- 寸法13.3 x 2.1 x 18.7 cm
- 本の長さ360ページ
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登録情報
- 出版社 : 世界思想社 (2010/11/3)
- 発売日 : 2010/11/3
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 360ページ
- ISBN-10 : 4790714942
- ISBN-13 : 978-4790714941
- 寸法 : 13.3 x 2.1 x 18.7 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 834,018位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 124,611位ノンフィクション (本)
- カスタマーレビュー:
カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2013年11月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ルソーの全分野をカヴァーする最新研究の成果として高く評価できます。面白い本ですが、欲を言えば、全分野を貫く一本の筋を明確に述べて欲しかったです。また、ポール・ド・マンのルソー読解や、ジャック・デリダーのルソー思想の脱構築も紹介してほしかったです。私が興味・関心を持つことは、文学・教育・芸術・政治・社会経済など、ルソーがこれほど多方面に著作を残したのはなぜなのか、ということです。かつて京大人文研が桑原氏を代表とする『ルソー研究』を発表し、大きな反響をもたらしましたが、今日のルソー研究は、どのように進化したのか、また海外のルソー研究はどういう動向にあるのか、このようなことも、ルソー研究を志す人にとっては重要であると思います。とはいえ、これだけ広範囲に日本の学界におけるルソー研究の現状を紹介した本書の価値は、類書が少ないだけに一層絶大なるものがあります。人文・社会科学に関心あるすべての人にお薦めの一冊です。
2014年6月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
本書は、最新の研究成果を取り入れつつ、ルソーを読み解く糸口をいくつか示そうとする入門書である。
「はじめに」は、本書の問題設定と構成について。
「Ⅰ 人と思想」(第1章「人と生涯―ルソーという事件」)は、ルソーの生涯について。
「Ⅱ 作品世界への正体」は、年代順に主要な作品の解説を配置している。
「Ⅲ 新たな眼差し―ルソー思想の現在」は、美学、言語学、現代思想といった複数のテクストにまたがるテーマを取り上げている。
以下、簡単な批評。
1) 本書はルソーの入門書であるが、その背景には、「ルソーがあまり読まれなくなった」あるいは「ルソー的な問題が見えにくくなった」という問題意識がある。それゆえ本書は、単に図式的なルソー像を提示することによって入門書としての役割を果たすのではなく、むしろルソー読解の多様性を提示しようとしている。それゆえ、全体としての統一感は少ないものの、興味深く読めた。なお、『思想』(岩波書店、2009年11月号)において、ルソー特集が組まれ、本書と関連した内容でより専門的な議論がなされている。そちらも併せて読むといいかもしれない。
2) 上記に関連して、第1章が「意外に」興味深く読めた。「意外に」というのは、入門書における思想家の人物紹介は、単なる伝記的事実の羅列、あるいは思想を理解するための単なる補完物に位置づけられて記述されて終わるのが往々にして多い。それに対し本書は、ルソーの生そのものを一つの事件として捉え、それがルソーをめぐる議論においてどのように問題化されているのかに焦点を当てているからである。
3) 第2章によれば、『学問芸術論』の執筆とその後の論争を経てルソーは、「反啓蒙」の立場を鮮明に打ち出していったという。『学問芸術論』をルソーの「原点」に位置づける本章の主張は目新しいものではないが、いくつか疑問点がある。まず、本章における「啓蒙/反啓蒙」の区分である。なるほど確かにルソーは文明の進歩と富に対し否定的な立場を表明したが、啓蒙そのものを否定したわけではない。また、ルソーはディドロらと決別するが、反百科全書派からも非難を受けていた。さらに、ルソー本人の意志はともかくとして、彼の生計は結局、宮廷を中心とする社交界の支援なしには成り立たなかった。本章は、内容的には「理性の使用による進歩」、実体的には百科全書派を「啓蒙」に位置づけ、それに対するルソーを「反啓蒙」として対峙させているが、内容による定義と実体による定義を混同して使用しており、そこにズレが生じているように思う。
次に、「逆説」についてである。本書は、ルソーがレトリックであったはずの「逆説」を「啓蒙の逆説」という積極的なテーゼに変え、後に「反啓蒙」として自らの言説的な立場として引き受けたという。なるほど確かにルソーは『学問芸術論』で展開した逆説を『人間不平等起源論』において社会分析へと発展的に展開しているが、それはルソー自身が主張する作品の「統一性」を反復しているだけではないか。
「はじめに」は、本書の問題設定と構成について。
「Ⅰ 人と思想」(第1章「人と生涯―ルソーという事件」)は、ルソーの生涯について。
「Ⅱ 作品世界への正体」は、年代順に主要な作品の解説を配置している。
「Ⅲ 新たな眼差し―ルソー思想の現在」は、美学、言語学、現代思想といった複数のテクストにまたがるテーマを取り上げている。
以下、簡単な批評。
1) 本書はルソーの入門書であるが、その背景には、「ルソーがあまり読まれなくなった」あるいは「ルソー的な問題が見えにくくなった」という問題意識がある。それゆえ本書は、単に図式的なルソー像を提示することによって入門書としての役割を果たすのではなく、むしろルソー読解の多様性を提示しようとしている。それゆえ、全体としての統一感は少ないものの、興味深く読めた。なお、『思想』(岩波書店、2009年11月号)において、ルソー特集が組まれ、本書と関連した内容でより専門的な議論がなされている。そちらも併せて読むといいかもしれない。
2) 上記に関連して、第1章が「意外に」興味深く読めた。「意外に」というのは、入門書における思想家の人物紹介は、単なる伝記的事実の羅列、あるいは思想を理解するための単なる補完物に位置づけられて記述されて終わるのが往々にして多い。それに対し本書は、ルソーの生そのものを一つの事件として捉え、それがルソーをめぐる議論においてどのように問題化されているのかに焦点を当てているからである。
3) 第2章によれば、『学問芸術論』の執筆とその後の論争を経てルソーは、「反啓蒙」の立場を鮮明に打ち出していったという。『学問芸術論』をルソーの「原点」に位置づける本章の主張は目新しいものではないが、いくつか疑問点がある。まず、本章における「啓蒙/反啓蒙」の区分である。なるほど確かにルソーは文明の進歩と富に対し否定的な立場を表明したが、啓蒙そのものを否定したわけではない。また、ルソーはディドロらと決別するが、反百科全書派からも非難を受けていた。さらに、ルソー本人の意志はともかくとして、彼の生計は結局、宮廷を中心とする社交界の支援なしには成り立たなかった。本章は、内容的には「理性の使用による進歩」、実体的には百科全書派を「啓蒙」に位置づけ、それに対するルソーを「反啓蒙」として対峙させているが、内容による定義と実体による定義を混同して使用しており、そこにズレが生じているように思う。
次に、「逆説」についてである。本書は、ルソーがレトリックであったはずの「逆説」を「啓蒙の逆説」という積極的なテーゼに変え、後に「反啓蒙」として自らの言説的な立場として引き受けたという。なるほど確かにルソーは『学問芸術論』で展開した逆説を『人間不平等起源論』において社会分析へと発展的に展開しているが、それはルソー自身が主張する作品の「統一性」を反復しているだけではないか。
2011年7月9日に日本でレビュー済み
最新の研究成果が取り入れられていること、ルソー研究の諸領域が比較的まんべんなく紹介されていることの2点から、現在手に入るルソー入門書の中ではもっともお薦めできる一冊。比較的廉価であることも嬉しい。やや不満な点を挙げるとすれば、ルソーにおける宗教の問題について割かれているページ数が少ないことであるが、入門書ということを考えるとこれは仕方ないだろう。一方で、こうした入門書において、現代思想とルソーとの関係が紹介されることは極めて少なく、この点でも価値がある一冊であると思われる。
ルソー研究に携わっているものであれば、執筆陣はおなじみの顔ぶれだが、個人的には修士論文から拝読してきた井上櫻子氏が寄稿していることが印象的。この国のルソー研究でも若手が育ってきていることを実感させられる。
人間が人間である限り、ルソーを読むことは常に/既にスリリングかつアクチュアルな経験である。その経験への誘いとしてはまたとない一冊だろう。
ルソー研究に携わっているものであれば、執筆陣はおなじみの顔ぶれだが、個人的には修士論文から拝読してきた井上櫻子氏が寄稿していることが印象的。この国のルソー研究でも若手が育ってきていることを実感させられる。
人間が人間である限り、ルソーを読むことは常に/既にスリリングかつアクチュアルな経験である。その経験への誘いとしてはまたとない一冊だろう。