約400ページにわたって、非常に充実したカント論が展開されており、近年のカント研究の成果がよくまとめられている。
しかし、「入門」「解説」というよりは「論文集」に近く、すでにカントを一通り学んだ人向けの本であるという印象を免れない。
カントはやはり難しい。ギリシア以来の西洋哲学史のうちでも、少なくとも平均よりは難易度が高いと思う。言っていることの内容自体は明快なのだとしても、独特な術語の山が関門となる。
日常生活の中で「あ、それはアプリオリな総合判断だね!」と言えるくらいまで基礎概念に習熟してからでないと、この本の恩恵を十分に受けられないように感じた。
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