あまりに範囲が広く焦点が纏まらず、何故か字の小さな記事もあり一度に通して読むのが辛い。
1996年8月発行のため、作品としては「静かなる一頁」、「オリエンタル・エレジー」まで。
内容の一部をあげると、
・ソクーロフへのインタビュー
・東大と国立ペテルブルグ大学での講義
・「オリエンタル・エレジー」のシノプシス
・「精神の声」からイメージを得た伊藤比呂美、白石かずこによる詩
・ソクーロフ全作品に関する西周成による解題
・前田英樹と吉増剛三による対談
・ソクーロフの音楽性、宗教性、政治性等に関する論評多数
など。
詩人、宗教家、文学者、漫画家、政治学者、映画監督、建築家たちが膨大な量の言葉を費やして多彩な観点から自分自身にとってのソクーロフを語っていく。作品解題は要点がまとまっていて、同時に、批判すべき部分はしっかり批判していて納得できる。ついでに作品の評価もつけてもらえれば面白かったかもしれない。
この本の出版の後、「穏やかな生活（1997）」、「ドルチェ優しく(1999)」、「太陽（2005）」など日本を舞台にした作品が作られ、それぞれ個々の解説集のような本は出版されているが、そろそろ纏まった新たな「ソクーロフ論」が欲しいような気がする。
「オリエンタルエレジー」に出演した中村おがわさんの来歴もわかって良かった。
ユリイカの目次は相変わらず順不同で纏まりがなく見づらい。
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