大学のスクーリングの副教材として指定があったので
購入したのですが、そうでなければ買うことがなかったと思います。
「ブロンテ姉妹」とありますが、主に『ジェーン・エア』と
『嵐が丘』について、さまざまな方の批評が掲載されています。
映画化された『嵐が丘』についてもいくつか取り上げられていますが
私の好きな、ジュリエット・ビノシュ主演の作品についての言及が
なかったのが残念でした。個人的には、あの作品が一番原作の雰囲気を
伝えているような気がしたので。
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ユリイカ2002年9月号 特集=ブロンテ姉妹 荒野の文学 ムック – 2002/8/26
ブロンテ姉妹-荒野の文学-
- 本の長さ245ページ
- 言語日本語
- 出版社青土社
- 発売日2002/8/26
- ISBN-104791700937
- ISBN-13978-4791700936
登録情報
- 出版社 : 青土社 (2002/8/26)
- 発売日 : 2002/8/26
- 言語 : 日本語
- ムック : 245ページ
- ISBN-10 : 4791700937
- ISBN-13 : 978-4791700936
- Amazon 売れ筋ランキング: - 956,889位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2022年11月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ここに、水村美苗のインタヴューが掲載されていることは知られていることなのだろうか。当方は、たまたま幸運なめぐりあわせでこの号を手に取った。「嵐が丘」への興味と水村美苗氏への興味は別々のところから始まったのが、この特集号を媒介につながってしまうという幸運に恵まれたのだ。つまり、ここに『続明暗』の著者が掲載されているとは思ってもいなかったのだ。それで、一旦読まずにおいて、先に『本格小説』を読むことにした。
「嵐が丘」が気になって仕方なかった。最初は、たまたまNHK-BSで観たウィリアム・ワイラー監督の映画だった。あまり評判の芳しくない、あの映画からでも「嵐が丘」の“とんでもなさ”は充分に感受できた。それは、水村氏の言葉を借りれば、<「目に見えない世界」>にまで届こうとする意志のようなものだった。そして、彼女の言葉をさらに引用すれば、それはその世界が<見える人たちと、見えない人たちの対立>を描いた物語だというところまでは直観的につかめたのだ。しかも、それは、幻想物語として書かれたものではなかった。幽霊は出てくるものの、それは夢の中の出来事とされている。飽くまでも、現実に沿った―いわばリアリズム描写によって“この世のものとは思えない異常な恋愛”を現出させようと目論んだ奇譚なのだろう。
水村氏も<わたしは日本の読者に現実感をもって読んで欲しいので普通の日常感覚を持った人をたくさん出しました>と言っている。また、<なんとか現実味のプンプンするような小説にしたいと思っていたんです。アメリカで大金持ちになって戻ってくる恋人がひたすら愛し続けてくれていて、そのうえ、旦那さまは立派でやさしくってという、到底あり得ないような物語だからこそ>とも。
まさに、この物語の中心には“この世のものとは思えない異常な恋愛”が鎮座ましましている。いわば、他の膨大な部分は、このポエジーそのものともいえる中核部分を存分に味わってもらうための仕掛けとして奉仕しているとも言えるのではないか、と勘繰ってしまうほどだ。そして、その仕掛けとは、3人の語り手の存在であろう。
それにしても、「完全な「三角関係」をめぐって」という題のついた水村氏と“文芸批評家”(当時、東京大学大学院総合文化研究科言語情報科学所属)内藤千珠子(ちずこ)氏の対話は、まるで女の子同士の親密な語らいのようだ。内藤氏がジェンダーを通した文学の研究家であることもあろうが、「嵐が丘」は大好きだけれど、どうも納得いかないところがあって、色々とリライトしていったという話がおもしろい。ひとつは、ヒースクリフとキャサリンとエドガーの三角関係が、「嵐が丘」では、エドガーに分が悪い面があるので、ヒースクリフと同じくらい魅力的な人物にしたとか(「こっちもあっちも最高」!)。<太郎に関して言えば、あれは理想の男性で、男の人が読むと「ケッ!」と思うような人で、だからこそ、女の子が読めば「こういう人がいい」と思うような人で、そんな男の人物を絶対作りたい、思っていたのね>というところなどは、思わず声を出して笑ってしまった。彼らを語る役割を担わされた冨美子を「嵐が丘」のネリー以上に“ヒロイン”的な役割を与えたとか(冨美子は書いていく中でいちばん変わっていった人物です)。それから、<古き良きブルジョワジー>を描くために堀辰雄の「美しい村」や菊池寛の「真珠夫人」を<ちょこちょこっと引用している>というのも興味深いし、<「昔」を慕う>という意味では、『本格小説』は<退嬰的な小説>とも言っている。単なる舞台裏を語ったというだけでなく、小説の本質に迫るような箇所も存分に披瀝されているので、ギュッと詰まった充実したインタヴューとなっている。
「嵐が丘」が気になって仕方なかった。最初は、たまたまNHK-BSで観たウィリアム・ワイラー監督の映画だった。あまり評判の芳しくない、あの映画からでも「嵐が丘」の“とんでもなさ”は充分に感受できた。それは、水村氏の言葉を借りれば、<「目に見えない世界」>にまで届こうとする意志のようなものだった。そして、彼女の言葉をさらに引用すれば、それはその世界が<見える人たちと、見えない人たちの対立>を描いた物語だというところまでは直観的につかめたのだ。しかも、それは、幻想物語として書かれたものではなかった。幽霊は出てくるものの、それは夢の中の出来事とされている。飽くまでも、現実に沿った―いわばリアリズム描写によって“この世のものとは思えない異常な恋愛”を現出させようと目論んだ奇譚なのだろう。
水村氏も<わたしは日本の読者に現実感をもって読んで欲しいので普通の日常感覚を持った人をたくさん出しました>と言っている。また、<なんとか現実味のプンプンするような小説にしたいと思っていたんです。アメリカで大金持ちになって戻ってくる恋人がひたすら愛し続けてくれていて、そのうえ、旦那さまは立派でやさしくってという、到底あり得ないような物語だからこそ>とも。
まさに、この物語の中心には“この世のものとは思えない異常な恋愛”が鎮座ましましている。いわば、他の膨大な部分は、このポエジーそのものともいえる中核部分を存分に味わってもらうための仕掛けとして奉仕しているとも言えるのではないか、と勘繰ってしまうほどだ。そして、その仕掛けとは、3人の語り手の存在であろう。
それにしても、「完全な「三角関係」をめぐって」という題のついた水村氏と“文芸批評家”(当時、東京大学大学院総合文化研究科言語情報科学所属)内藤千珠子(ちずこ)氏の対話は、まるで女の子同士の親密な語らいのようだ。内藤氏がジェンダーを通した文学の研究家であることもあろうが、「嵐が丘」は大好きだけれど、どうも納得いかないところがあって、色々とリライトしていったという話がおもしろい。ひとつは、ヒースクリフとキャサリンとエドガーの三角関係が、「嵐が丘」では、エドガーに分が悪い面があるので、ヒースクリフと同じくらい魅力的な人物にしたとか(「こっちもあっちも最高」!)。<太郎に関して言えば、あれは理想の男性で、男の人が読むと「ケッ!」と思うような人で、だからこそ、女の子が読めば「こういう人がいい」と思うような人で、そんな男の人物を絶対作りたい、思っていたのね>というところなどは、思わず声を出して笑ってしまった。彼らを語る役割を担わされた冨美子を「嵐が丘」のネリー以上に“ヒロイン”的な役割を与えたとか(冨美子は書いていく中でいちばん変わっていった人物です)。それから、<古き良きブルジョワジー>を描くために堀辰雄の「美しい村」や菊池寛の「真珠夫人」を<ちょこちょこっと引用している>というのも興味深いし、<「昔」を慕う>という意味では、『本格小説』は<退嬰的な小説>とも言っている。単なる舞台裏を語ったというだけでなく、小説の本質に迫るような箇所も存分に披瀝されているので、ギュッと詰まった充実したインタヴューとなっている。