ユリイカの8月号は、古川日出男特集だった。
ちょうど、『アラビアの夜の種族』が文庫化されたこともあり、ブームが来たか。
『13』、『アビシニアン』に始まり、『ルート350』まで、彼の作品はすべて追いかけているけど、世間の評価はそんなでもないと思っていたけど、そうでもなかった。
ユリイカの特集も巽孝之の解説もあり、面白かった。
自分の好きな作家が取り上げられているのはうれしいけど、あまりメジャーになってほしくないような気もする。

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ユリイカ2006年8月号 特集=古川日出男 雑種の文学 ムック – 2006/7/1
古川日出男-雑種の文学-
- 本の長さ245ページ
- 言語日本語
- 出版社青土社
- 発売日2006/7/1
- ISBN-104791701496
- ISBN-13978-4791701490
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2021年8月16日に日本でレビュー済み
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デビューしたばかりのころの、初期の古川日出男さんを知りたくて、
古本の『ユリイカ 2006年8月号』を読んでみました。
古川日出男の特集号。
「雑種(ハイブリッド)の文学」
中でも、インタビュー「古川日出男のカタリカタ」(155頁)
フルカワさんが大いにカタッテいます。
副題は「『雑』の力を信じて」
「雑」って、雑種の雑? 純文学に対抗する<混血>の文学という意味でしょうか。
純粋な日本文学ではなく、外国の文学(カタカナ)も混じった世界文学らしい。
純粋な日本人の手になるのが、純文学というのなら、
雑種の日本人の手になるのが、雑種文学ということになりますね。
猫に純血種はいないみたいに、雑種文学は血統不明。ジャンル不明。
「猫ってまず親もわかんないし、子がどこにいるかもわかんない」(168頁)
いいなあ、雑な生きものって。ゆるくて。いやされる。イヤされて、フンとばかりに
どこかに行ってしまうネコ。
「『純』と付くものはすべておかしい。『純』とか『正統性』とか『絶対性』は全部敵。『誤』とか『雑』とか、それが俺」(165頁)
カタラセじょうず、聞き上手のインタビューア(内田真由美さん)のおかげで、
率直に雄弁に語る古川さん。すっかり、フアンになってしまいました。
古川さんの志の、うそみたいな大きさにも感動しました。
「まず最初に、ライバルは聖書ってしないことには志が低すぎる、一番デカい志で行こうというのは駆動力としてあった」(158頁)
すごい、すごい。
古川さんがデビュー作『13』で
「デビューしたとき、世界そのものと対抗しうる本を書きたくて、それは世界くらいデカい本だろうと思ってた。結局、世界くらいデカい本って、地球だと今のところ聖書なんだよね」(157頁)
「地球だと今のところ」
この古川さんの空間感覚とか時間スケールは、SF小説のものです。
『アラビアの夜の種族』で日本SF大賞を受賞したのも、そのためかもしれません。
古川さんの作品って、妙に現実離れしていて、奇妙に面白い。
「SFの大賞を取って、『SFマガジン』から一度も声が掛からないってすごくない?(笑)それは、みんな俺のこと部外者だってわかってたからだよね」(162頁)
えらいです。まわりが見る自分の姿を想像できるひとなんて。すごいです。
古川さんは、偉くデカい、偉大な日本文学の「部外者」です。
「俺の正体は誤解されたまま『アラビア』で更に誤解が巨大になって、でも本人は救われたっていう奇妙な状況だったね」(162頁)
「『砂の王』が出る十三日前、幡ヶ谷の水道道路のところのバス停から新宿に行くバスのステップを一気に上がった瞬間に、『13』の一行目がぱーっと来た。よしキターーッと思って、もうやめていいんだとわかった」(156頁)
「十三日前」だったんだ!
このことばが読みたかったんです。
「十三日前」に「『13』の一行目がぱーっと来」るなんて!
不吉は吉でもある。
2021年のコロナ禍の現在、ほぼ絶版状態の『13』を手に入れて読んでいます。
古本の『ユリイカ 2006年8月号』を読んでみました。
古川日出男の特集号。
「雑種(ハイブリッド)の文学」
中でも、インタビュー「古川日出男のカタリカタ」(155頁)
フルカワさんが大いにカタッテいます。
副題は「『雑』の力を信じて」
「雑」って、雑種の雑? 純文学に対抗する<混血>の文学という意味でしょうか。
純粋な日本文学ではなく、外国の文学(カタカナ)も混じった世界文学らしい。
純粋な日本人の手になるのが、純文学というのなら、
雑種の日本人の手になるのが、雑種文学ということになりますね。
猫に純血種はいないみたいに、雑種文学は血統不明。ジャンル不明。
「猫ってまず親もわかんないし、子がどこにいるかもわかんない」(168頁)
いいなあ、雑な生きものって。ゆるくて。いやされる。イヤされて、フンとばかりに
どこかに行ってしまうネコ。
「『純』と付くものはすべておかしい。『純』とか『正統性』とか『絶対性』は全部敵。『誤』とか『雑』とか、それが俺」(165頁)
カタラセじょうず、聞き上手のインタビューア(内田真由美さん)のおかげで、
率直に雄弁に語る古川さん。すっかり、フアンになってしまいました。
古川さんの志の、うそみたいな大きさにも感動しました。
「まず最初に、ライバルは聖書ってしないことには志が低すぎる、一番デカい志で行こうというのは駆動力としてあった」(158頁)
すごい、すごい。
古川さんがデビュー作『13』で
「デビューしたとき、世界そのものと対抗しうる本を書きたくて、それは世界くらいデカい本だろうと思ってた。結局、世界くらいデカい本って、地球だと今のところ聖書なんだよね」(157頁)
「地球だと今のところ」
この古川さんの空間感覚とか時間スケールは、SF小説のものです。
『アラビアの夜の種族』で日本SF大賞を受賞したのも、そのためかもしれません。
古川さんの作品って、妙に現実離れしていて、奇妙に面白い。
「SFの大賞を取って、『SFマガジン』から一度も声が掛からないってすごくない?(笑)それは、みんな俺のこと部外者だってわかってたからだよね」(162頁)
えらいです。まわりが見る自分の姿を想像できるひとなんて。すごいです。
古川さんは、偉くデカい、偉大な日本文学の「部外者」です。
「俺の正体は誤解されたまま『アラビア』で更に誤解が巨大になって、でも本人は救われたっていう奇妙な状況だったね」(162頁)
「『砂の王』が出る十三日前、幡ヶ谷の水道道路のところのバス停から新宿に行くバスのステップを一気に上がった瞬間に、『13』の一行目がぱーっと来た。よしキターーッと思って、もうやめていいんだとわかった」(156頁)
「十三日前」だったんだ!
このことばが読みたかったんです。
「十三日前」に「『13』の一行目がぱーっと来」るなんて!
不吉は吉でもある。
2021年のコロナ禍の現在、ほぼ絶版状態の『13』を手に入れて読んでいます。