内容が薄い。
序文でエリアーデの定義する狭義のシャーマニズムに賛同しつつ、実際には憑依や使役霊の叙述に紙面を大きく割いていたり、著述はかなり混乱している。呪医として、そして著者が本質としては否定しつつも、現実的に司祭としての側面を持ったシャーマンを断片的に記録しただけのものにとどまっている。ではなく「シャーマン」の姿を記録したジャーナリズムとしては幾分価値はあるかもしれない。
もうひとつ作者はシャーマニズムを、シベリアを起点として中央〜北部ユーラシアに伝搬したものと捉えているが、その論拠になる叙述も無い。他にもシャーマニズムが霊的な呪医的な技術であると定義しつつ、技術の要素と各地の文化的・宗教的要素をごちゃまぜのままただ並べているだけだったりと、論旨の弱さや矛盾が目立つ。
その性質から時代とともに様々な文化の影響を受けて、シャーマニズムは形態を変えていくだろう。そのあたりはこれもあまり良書ではないが『シャーマニズム (「知の再発見」双書162)』に詳しい。本質的なものを知るにはやはりエリアーデの「シャーマニズム」か、各民族神話に直接触れる方が良いだろう。
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