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昆虫のパンセ 新装版 単行本 – 2000/5/1

5.0 5つ星のうち5.0 3個の評価

商品の説明

内容(「MARC」データベースより)

ヒトにはヒトの世界があり、ムシにはムシの宇宙がある。ヒトがムシの宇宙を旅することは異界探検であり異次元交流であるといえるだろう。ムシたちはそこで、人間に何を語りかけようとしているのだろうか。92年刊の新装版。

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 青土社 (2000/5/1)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2000/5/1
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本 ‏ : ‎ 217ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4791758129
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4791758128
  • カスタマーレビュー:
    5.0 5つ星のうち5.0 3個の評価

著者について

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池田 清彦
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1947年、東京生まれ。生物学者。東京教育大学理学部生物学科卒、東京都立大学大学院理学研究科博士課程生物学専攻単位取得満期退学、理学博士。山梨大学教育人間科学部教授を経て、現在、早稲田大学国際教養学部教授、山梨大学名誉教授。専門の生物学分野のみならず、科学哲学、環境問題、生き方論など、幅広い分野に関する60冊以上の著書を持ち、フジテレビ系「ホンマでっか! ?TV」にも出演する等、テレビ、新聞、雑誌等でも活躍している。(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『人間、このタガの外れた生き物 (ISBN-10: 458412406X)』が刊行された当時に掲載されていたものです)

カスタマーレビュー

星5つ中5つ
5つのうち5つ
3グローバルレーティング

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上位レビュー、対象国: 日本

2011年8月30日に日本でレビュー済み
 私は昆虫マニアではない。そもそも昆虫よりも昆虫マニアに興味を抱く人間である。だから本書もまず昆虫マニアの生態を知りたくて手にとった。第1章「人はなぜ虫を集めるか」で、その答えが明かされる。「可能性としての無限の多様性と、それが回収される点としての同一性という、二つの背反する形式をあわせ持つ、矛盾形式への欲情とでも呼べる奇妙な欲情」。昆虫蒐集の魅力にこれほど理論的な説明を与えた例は他にあるだろうか。著者はこの結論を導くために、古今東西の硬軟とりまぜてのエピソード、個人的な体験、見聞、生物学史上の知識を自在に駆使して、意表を突く発想とユーモラスな文体で自説を展開していく。
 学者であるのが勿体ないほどの文筆家、サービス精神溢れる文筆家のエッセイのようであり、これはどの章をとっても言えることだ。「虫に未来はあるか」のタイトルの章では、人間と時間との関係の哲学的な議論から始まって、「虫は時間を知っているか」「物質は時間を知っているか」という議論に進んでいく。このあたりになると哲学か詭弁かわからなくなるが、その議論を無条件に楽しんでしまいたくなるほど面白いのである。
 生物学者としての著者は、進化を遺伝子の行動で説明する社会生物学を批判する。本書もそれに多くが割かれている。社会生物学は生物の行動に機能主義的な興味深い説明を与えて、主流の学説となったが、この機能主義では説明できない昆虫の生態が数々示される。著者が拠る構造主義はある意味で「身も蓋もない」ものだが、その批判の鋭い舌鋒はわれわれの世界観を変えうるような痛快な予感があった。同じ著者による本格的な著作をぜひ読みたいと思った。
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2006年1月27日に日本でレビュー済み
もともとは『現代思想』に連載されていた内容だが,著者自身が「あとがき」にて「私の思想を虫に託して,肩の凝らない形式で語った」といっているように,生物学を専門としてないものでも,とてもおもしろく読める。また,所々に挿入されているリアルな昆虫の絵は,虫屋ならずとも,著者のいう虫の美しさを実感できるものであり,博物館をかいま見るようなお得感があった。

 しかし,その内容はかなり高度なところもあるので,専門家でもたいくつすることは決してないだろう。池田清彦は,内容の高度さとおもしろさ(読みやすさ)が共存した本を書けるという点で,他の追随を許さない存在だと思うが,本書はその意味でも特に秀でているように感じた。

 また,著者の構造主義生物学がいかに時代に先んじているのかを示すエピソードとして,新装版のあとがきもたいへん興味深かったので,少し長くなるが,以下に引用してみる。

「十年ひと昔とはよく言ったもので,その間の分子生物学の発展はまことにめざましく,遺伝子(DNA)に生ずる偶発的な突然変異と,それに対する自然選択のみにより,生物の進化を説明しようとする,いわゆるダーウィニズムの戦略はほぼ完璧に破綻した。

 ダーウィニズムがヨーロッパの思想界を席巻していた十九世紀の後半,それに対する頑固な反対者であった老フォン・ベーアは,勝ち残った理論は三つの段階をとると喝破したと言う。最初は馬鹿げているとして退けられ,次に異端というだけの理由で拒否され,最後に実は最初からそう思っていたんだ,といって受け入れられるというわけである。

 先日,ある会合に出席した際に,つい最近まで,構造主義生物学など存在しなかのようにふるまっていたさる高名な生物学者が,「生物はある枠組を逸脱して進化することはできないのです」と,柴谷篤弘と私が一五年前から唱えていた構造主義生物学の主張を,当然のように話し出したのを聞いて,愕然とすると同時に,構造主義生物学もついにフォン・ベーアの第三段階に入ったのかと感慨も新たなるものがあった。」

今後,こうした傾向は加速していくと思われるので,そうした意味でも本書を読んで,池田清彦の主張を捉えておき,今後,ネオダーウィニズムやそれを継承する行動遺伝学や進化心理学などの専門家が,いかに「当然のごとく」主張を移行させていくかを観察し,「学者の生態学」としていくのも一興かもしれない。
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