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監視社会 単行本 – 2002/11/30
- ISBN-104791760085
- ISBN-13978-4791760084
- 出版社青土社
- 発売日2002/11/30
- 言語日本語
- 本の長さ309ページ
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商品の説明
商品説明
インターネットを利用していると、自分の閲覧したサイトの情報が誰かによって収集され、その結果、自分用にカスタマイズされた商業広告が自動的に送信されてくるようになる。また、オンライン登録をしたときの個人データが、企業によってひそかに売買されているという事実もある。このように、誰かが強制的に個人をスパイしたりするような狭義の監視だけではなく、電子的な通信情報テクノロジーによって、私たちの日常生活がモニタリングされていることをも、監視活動の一部として考えようと提案するのだ。
監視というと、どうしても否定的な側面ばかりが強調されがちだ。だが、たとえば正当な代金が銀行口座から引き落とされるためには、クレジットカードの使用状況を記録する必要があるように、個人データのモニタリングは個人や企業、政府にとって利便性があるからこそ発達してきた。社会全体が合理性とリスク管理をもとめてきた末にたどりついたのが、効率的な監視システムであり、近代以降においては、社会そのものが監視というプロセスを必要とし、その構成要素として監視を内部に組みこんでいるというのだ。
都市空間にはりめぐらされる監視システム。個人の身元確認を行う網膜スキャンやDNA検査といった生体認証。インターネットなどの国境を越えていく情報の流れ。本書は、多様なレベルで広がる監視社会のすそ野を、社会学の枠組みでとらえようとする画期的な試みである。(金子 遊)
内容(「MARC」データベースより)
登録情報
- 出版社 : 青土社 (2002/11/30)
- 発売日 : 2002/11/30
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 309ページ
- ISBN-10 : 4791760085
- ISBN-13 : 978-4791760084
- Amazon 売れ筋ランキング: - 306,871位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 3,260位社会一般関連書籍
- - 5,745位社会学概論
- - 58,828位ノンフィクション (本)
- カスタマーレビュー:
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また、コンピュータ社会を反映し、シミュレーションによる監視の模擬についても検討している。
現実世界の監視だけでは、どう制御、管理、舵取りすればいいかは分からないだろう。
仮想世界の中で、うまくいったからといって、現実世界でうまくいくとは限らないのに。
これはフーコーが暴き出した事実だが、彼やポストモダニストたちは、そこで、監視を、そして近代を攻撃した。
しかし、監視を否定することはできないはずである。ここは近代なのであり、近代的秩序、近代的自由を保障しているのもまた、監視だからである。
しかし、監視が危機的であるという認識もまた正しい。ライアンは、監視の危険性を描き出すために、情報化社会を取り出してくる。
現在進行している新しい監視は、非身体化という概念で整理される。つまり、今までは生身の我々が監視されていたのだが、現在は監視の対象が我々の一部に変化したとしている、つまり、住所や年齢といった情報、あるいは網膜や指紋といった身体の一部の情報、またあるいは街頭で立っている姿をとらえた画像といったような形で。
さらに、細切れにされた私たちの身体は、以前とは異なり、我々の与り知らぬ場所:サイバースペース:で取り結ばれる。監視の非身体化により、監視がより十全に社会を覆い、且つ監視の可視性は奪われ、自由が奪われていく。
このような現在の監視の整理の後、ライアンは成すべきことを指し示す。ポストモダンとモダンの境界を往来しながら、目指されるべき未来を提示している。
それが成功しているかどうかは読んで確認してください。ただし、近代を安易に否定せずに監視を否定的に捉える営みは、素晴らしいと思います。
光を当てるべく考案されたのに対して、「監視社会」という概念は、そういった変動の結果でも要
因でもある、いくつかの著しく重要な社会的プロセスを強調する」(p.17)
筆者は社会学の視座から、「情報社会の裏面は監視社会である」(p.184) と、鋭く指摘している。
そしてこのような監視社会は政府の陰謀とか資本主義の悪影響とかいったものではなく、私たちの
社会が情報通信社会の恩恵を希求するがゆえに発生したことだと看破する。また、監視社会への
対抗イデオロギーとしてプライバシーが持ち上げられることが多いが、筆者はこの考え方に与しない。
むしろ、プライバシーを保護してもらいたいという発想から、我々は進んで管理された社会、すなわち
監視社会へと入っていく。
ミシェル・フーコーやマックス・ウェーバーの監視と権力の議論も出てくるなど、社会学の本としての
専門性は高いが、多くの事例が出てきているため、専門外の人でも取っ付きやすい。ただ、事例の
多さのために本書を貫くテーマを見失いやすく、中盤は冗長に感じるかもしれない。序章、第一章、
第九章を読むだけでも筆者の主張は理解できるので、現代の監視社会の問題構造の粗筋を知り
たい人は、そこだけでも読んでいただきたい。個人的には第七章の理論に関する章が、監視を合理
化の産物と見るか技術革新の産物と見るかなどの議論の系譜を学べて、一番面白かった。
消失する身体
不可視のフレームワーク
漏れ易い容器
第2部 監視の広がり
都市における監視的分類
身体部位と探針
グローバルなデータの流れ
第3部 監視のシナリオ
理論における新たな方向性
監視のポリティクス
監視の未来
2001年9月11日の同時多発テロの前に書かれたものだけれども、ますます進んでいる監視社会の行く末を論じた、なかなか考えさせる本。
テクノロジーが監視を強めていくことへの懸念については、レッシグの本と同様だが、その解決に当たっては身体性の重視といった、ちょっと哲学的な、あるいは社会学的な論述になっている。
仕事柄、プライヴァシー関連の本を読んだが、その中でも、この本はベンサム、フーコーに始まり、監視の変化についてよくまとめられている。
じゃぁ、これを現実のプライヴァシー、個人情報の保護政策にどう生かすかと言われると、ちょっと難しい内容だなぁ。
これまでの「ビッグ・ブラザー」的な監視とは違う、主にデジタル技術の進展によって生まれた新しい監視の実態を詳細に述べている。
本書は2001年に書かれたものだが、その記述はますますリアリティを持ってきているように感じる。
AmazonやGoogleへの言及はほとんどないということは、むしろ脅威は増しているということでもあるだろう。
本書は、監視システムの実態についてかなり詳細に書かれているのが特徴でもある。
光彩により識別システム、グローバルなデータ管理等、監視社会の怖さをビビッドに伝えることは本書の一つの主眼でもあろう。
しかし、筆者は常々「監視はいい面と悪い面と両方ある」と言及していながら、いい面を残しつつ悪い面を解消する方法の模索、といった議論はあまりなされていない印象だった。
どちらかというと、ただ恐怖を訴え、結論としては「分からない機械よりも、人と人とのふれあい」のような、あまり意味のないものしか出てこないのは残念であった。
「既存の監視システムはすべてOK、新しい監視システムはすべてダメ」というような簡単な話でもないのだから、もう少し踏み込んで議論してほしかった。
本書を補うような内容の本としては CODE VERSION 2.0 や 自由とは何か―監視社会と「個人」の消滅 (ちくま新書) などを読むといいであろう。