なるほど他のレビュアーが指摘するように翻訳には問題が多いようだ。デヴィッド・ハーヴェイの主著『ニュー・インペリアリズム』でも同じ訳者のようだが、こちらも同様の模様。
訳者の本橋哲也については、書評などの活動に接する限り、相対的に優秀な人だと評者は考えているが、先行レビュアーによる翻訳上の様々な問題点の指摘は貴重である。
それを踏まえたうえで〜。
本書を遅ればせながら読んでみた。
根井雅弘著『市場主義のたそがれ』のフリードマン=ネオリベ批判が、いかにも柔なものだと思っていた矢先だっただけに(最近ではNHKのスタンスのほうが根井に較べれば先鋭であるなあ)、大いに肯かされた。
チリの“暴虐”ピノチェト政権を支えたお歴々のひとりとなったフリードマンが、「ノーベル経済学賞を受けるパーティで遭遇した「事件」(この事件は根井書の記述)。これなどは、フリードマンの理論と人間を典型的に表しているだろう。ノーベル賞などというイカサマ勲章についても。多くの人民を傷つけ、実際に虐殺するという事実において、ノーベル(経済学)賞などと言うものは戦争屋の“勲章”そのものだ。
ハーヴェイは、この経緯(チリの<経済学的>陰謀)における「シカゴ・ボーイズ」の経済学的犯罪の手口が、後のイラクでの手口に似ていることをも指摘している。
ネオリベを誰も否定できないなどとして賢しらな論理学に得々としている橋本努(『日本を変える知』)などの高偏差値お坊ちゃんの下らなさ、犯罪的レトリックを粉砕するに十二分な情況分析を本書はしていると見る。
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ネオリベラリズムとは何か 単行本 – 2007/3/1
- ISBN-104791763262
- ISBN-13978-4791763269
- 出版社青土社
- 発売日2007/3/1
- 言語日本語
- 本の長さ206ページ
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登録情報
- 出版社 : 青土社 (2007/3/1)
- 発売日 : 2007/3/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 206ページ
- ISBN-10 : 4791763262
- ISBN-13 : 978-4791763269
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