本書は、投票制度・方法をメインテーマとしている。「アローの不可能性定理」を首座に置き、様々な投票方式を絡めながら、そのパラドクスの仕組みを実例を用いながら紹介している。先の米国大統領選挙の前に発刊されベストセラーとなったそうだが、わが国では、今が正に本書を読むにふさわしい時期ではないだろうか。
先ず、取り上げられた投票方式をざっと紹介すると、
私たちにお馴染の相対的多数投票から、比例代表、ボルタ式投票、コンドルセ式投票、即時決戦投票、否定投票/是認投票および範囲投票などである。
これらの種類の多さにしり込みする読者も多いかもしれないが、杞憂である。珍しく末巻には親切な用語解説と索引が付いているからだ。投票方式のカタログとしても読めるのではないだろうか。また、16世紀のコンドルセ侯爵、19世紀オックスフォードの数学者で「不思議の国のアリス」の作者ルイス・キャロル(本名チャールズ・ラトウィッジ・ドジソン)なども時空を超えて登場し、読み物としても楽しめる。
次に、当然ながら実例として主に米国政治史を俎上にのせて吟味している。しかし、ニクソン、ケネディ、クリントンあるいはブッシュまでは馴染みがあるのでまだいいが、その他の泡沫候補や19世紀の政治家の名前が次々と多数登場し混乱してしまうのは私だけではないだろう。
そうして、著者は、欠点はあるものの「範囲投票」方式を推薦しているように最後には読める。「アローの不可能性定理」が示すのは社会選択理論的な理屈の上での欠陥であり、実際に同方法を実施・シュミレートすると欠点の現れる確率は非常に低いからだという。私には説得力のあるものとは映らなかった。なぜなら、対「アローの不可能性定理」という観点では、他の投票方式にも、大なり小なり同様なことが言えると思われるからだ。
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選挙のパラドクス―なぜあの人が選ばれるのか? 単行本 – 2008/6/25
ウィリアム パウンドストーン
(著),
篠儀直子
(翻訳)
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購入オプションとあわせ買い
【内容】選挙で候補が3人以上いると、ときに、多くの人が望んでいなかった、とんでも
ない候補が選ばれることがある。公平な投票のはずなのに……その理由は何故なのか?
ゲーム理論、社会的選択理論など、いま最も注目を浴びる学問諸分野の知見を総動員し、
アメリカ史上の大統領選や知事選などを主な例に、そのパラドクスの仕組みを解き明かす
とともに、真に投票者たちの志向を反映した投票のあり方を考える。
世論を正確に反映していたら、2000年の大統領選でブッシュはゴアに負けていた(とす
ればイラク侵攻はなかった?!)し、リンカーンが大統領になることはなかった(とすれば
南北戦争もなかった?!)。ではなぜそんな結果になったのか?
『不思議の国のアリス』のルイス・キャロルをはじめ、歴史上、多くの人々が考案した
様々な投票方法の長所と短所、特に、一番人気でない候補が選ばれてしまうパラドクスの
仕組みを論理的に明快に解説し、「真に民主的な投票は論理的には絶対に不可能である」
という「アローの定理」を紹介。それでもあきらめず、できるかぎり公平な投票方法へと
向けて知と論理の旅をつづけ、ついには最も公正と思われる「範囲投票」にたどりつき、
それが一般に広まらない理由まで明らかにする。
米大統領選を前に、日本でも衆院選挙の可能性が高まるなか、きわめてタイムリーな
知的エンタテインメント。
ない候補が選ばれることがある。公平な投票のはずなのに……その理由は何故なのか?
ゲーム理論、社会的選択理論など、いま最も注目を浴びる学問諸分野の知見を総動員し、
アメリカ史上の大統領選や知事選などを主な例に、そのパラドクスの仕組みを解き明かす
とともに、真に投票者たちの志向を反映した投票のあり方を考える。
世論を正確に反映していたら、2000年の大統領選でブッシュはゴアに負けていた(とす
ればイラク侵攻はなかった?!)し、リンカーンが大統領になることはなかった(とすれば
南北戦争もなかった?!)。ではなぜそんな結果になったのか?
『不思議の国のアリス』のルイス・キャロルをはじめ、歴史上、多くの人々が考案した
様々な投票方法の長所と短所、特に、一番人気でない候補が選ばれてしまうパラドクスの
仕組みを論理的に明快に解説し、「真に民主的な投票は論理的には絶対に不可能である」
という「アローの定理」を紹介。それでもあきらめず、できるかぎり公平な投票方法へと
向けて知と論理の旅をつづけ、ついには最も公正と思われる「範囲投票」にたどりつき、
それが一般に広まらない理由まで明らかにする。
米大統領選を前に、日本でも衆院選挙の可能性が高まるなか、きわめてタイムリーな
知的エンタテインメント。
- ISBN-104791764153
- ISBN-13978-4791764150
- 出版社青土社
- 発売日2008/6/25
- 言語日本語
- 本の長さ432ページ
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著者について
[著者] ウィリアム・パウンドストーン(William Poundstone)
MITで物理学を学ぶ。物理学と情報理論を専門とする。日本語への翻訳書には、『天才数学者はこう賭ける』 『ビル・ゲイツの面接試験』 『パラドックス大全』 『囚人のジレンマ』(いずれも青土社)。ロサンジェルス在住。
MITで物理学を学ぶ。物理学と情報理論を専門とする。日本語への翻訳書には、『天才数学者はこう賭ける』 『ビル・ゲイツの面接試験』 『パラドックス大全』 『囚人のジレンマ』(いずれも青土社)。ロサンジェルス在住。
登録情報
- 出版社 : 青土社 (2008/6/25)
- 発売日 : 2008/6/25
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 432ページ
- ISBN-10 : 4791764153
- ISBN-13 : 978-4791764150
- Amazon 売れ筋ランキング: - 931,835位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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上位レビュー、対象国: 日本
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2009年5月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2010年9月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
選挙の投票方法について論じた本です。
もっと民意を反映する選挙方法があるのだろうかということから、いろいろな投票方法まで、アメリカの実例をもとに、投票方法の不完全さについて書かれています。
結果として、完璧な投票方法はないということになるのですが、いろいろな選挙という方法についていろいろな議論があるということを総論的に知るためには良い本だと思いました。
巻末には、用語解説まであり、それを読むだけでも選挙の投票についての研究を知ることができます。
もう一つ驚かされるのは、アメリカで出馬する政治家の個性が非常に豊かであるということでしょうか。
なかなかおもしろい本です。
もっと民意を反映する選挙方法があるのだろうかということから、いろいろな投票方法まで、アメリカの実例をもとに、投票方法の不完全さについて書かれています。
結果として、完璧な投票方法はないということになるのですが、いろいろな選挙という方法についていろいろな議論があるということを総論的に知るためには良い本だと思いました。
巻末には、用語解説まであり、それを読むだけでも選挙の投票についての研究を知ることができます。
もう一つ驚かされるのは、アメリカで出馬する政治家の個性が非常に豊かであるということでしょうか。
なかなかおもしろい本です。
2019年7月1日に日本でレビュー済み
本書の紹介を見ると社会的選択理論の一般向けの本なのかと思うし、実際最初にいきなりアローの不可能性定理が出てくる。
だが、実は社会的選択理論や選挙制度の理論分析の話は実質後半の半分ぐらいで、前半の半分はアメリカにおける選挙で起きた諸々の問題の歴史である。
基本的に前半の歴史で取り上げられているのは、スポイラー(泡沫候補)の話である。
泡沫候補によって票が割れてしまい、それによって(本来ならば負けていたはずの)候補者が漁夫の利を得る、というのがここでの問題であり、リンカーンの当選から最近のゴアvsブッシュ(ネーダーの存在がゴアの票を一部削った)まで出ている。
接戦区における票割れは重大な問題であり、票割れを起こさせるために共和党が極左の支援をしたりするということは実際に起きている事態だという。
あとネガティブ・キャンペーンにも一章割かれていて、政治コンサルのアットウォーターが元々乗り気でなかったブッシュ父を屈させてネガティブキャンペーンの方向に舵を切らせた話が取り上げられている。
しかしこの辺の話は、投票制度の設計の話としては「泡沫が出ると不利益が生じる」の一言でまとめられる話であり、長々書くものではなかったように思う。
後半は社会的選択理論とさまざまな投票制度の紹介といった感じで、通常選挙で用いられる相対多数投票(一票をお気に入り候補に投じ、最大票の候補者を勝たす)以外に、即時決選投票(IRV)、コンドルセ投票、是認投票、ボルダ式、範囲投票などが紹介され、それぞれの利点と欠点(どういう投票が起きたときに不合理な帰結が導かれるか)が示されている。
IRVは過半数が1番の票を集めるまで、最も不人気だった(1番の票が少なかった)候補の票を次に高いスコアの候補に割り当てていくという方法であり、これは完全な泡沫は防げるが、そこそこ有力な候補二人が共倒れするリスクはある。
コンドルセ投票はコンドルセ勝者を勝たせるものだが、循環が生じた場合の解消法が恣意的になり、戦略投票が機能してしまう。そして必ずしもコンドルセ勝者が妥当な勝者と思えない状況もあるとサーリは指摘する。
サーリは希少なボルダ式(候補者に順位をつけ、それを点に変換して総得点の多い人を選ぶ)の支持者だが、あまりにも戦略投票が出来て、特に卑劣な党派ほど勝ててしまうという状況は望ましくないと多くの研究者は考えている。
是認投票(各候補者に支持・不支持だけを入れる)は、全員が「最小限の支持」しか与えない凡庸な候補者を勝たせてしまうという問題がある(ただしこれは世論調査の報道があれば恐らく生じない問題だろうというコメントもある)。また結局戦略投票によりお気に入りの一人にしか票を入れない人がほとんどになる、という経験事実もある。
ほとんどの研究者が「相対多数投票
筆者は範囲投票(Amazonの評価のように、各候補者に1~5をつけるような投票)を、泡沫の影響を受けないこと、戦略投票が大した差を生まないことなどから評価しているように見える。
範囲投票はまた、アローの不可能性定理を免れてもいる(順序の表明ではなくスコアリングなので)。
アローの定理は過大評価されすぎで、あれは順序型の投票はよくないと解釈すべきだ、というコメントが紹介されていたが、それはなるほどその通りだと思う。
後半の話は面白いしもっと読みたいと思う一方で、前半の歴史の話は削ってよかったと思う。
理論的な考察は多様な投票制度同士の比較が主で、社会的選択理論の細かい話はそこまで出ていない。
そういうことを知りたい人は 「決め方」の論理 などを読むといいだろう。
投票制度の比較はそんなに見ないものなので、そこを掘り下げてもっと詳しくしてくれたらなおよかったと思う。
だが、実は社会的選択理論や選挙制度の理論分析の話は実質後半の半分ぐらいで、前半の半分はアメリカにおける選挙で起きた諸々の問題の歴史である。
基本的に前半の歴史で取り上げられているのは、スポイラー(泡沫候補)の話である。
泡沫候補によって票が割れてしまい、それによって(本来ならば負けていたはずの)候補者が漁夫の利を得る、というのがここでの問題であり、リンカーンの当選から最近のゴアvsブッシュ(ネーダーの存在がゴアの票を一部削った)まで出ている。
接戦区における票割れは重大な問題であり、票割れを起こさせるために共和党が極左の支援をしたりするということは実際に起きている事態だという。
あとネガティブ・キャンペーンにも一章割かれていて、政治コンサルのアットウォーターが元々乗り気でなかったブッシュ父を屈させてネガティブキャンペーンの方向に舵を切らせた話が取り上げられている。
しかしこの辺の話は、投票制度の設計の話としては「泡沫が出ると不利益が生じる」の一言でまとめられる話であり、長々書くものではなかったように思う。
後半は社会的選択理論とさまざまな投票制度の紹介といった感じで、通常選挙で用いられる相対多数投票(一票をお気に入り候補に投じ、最大票の候補者を勝たす)以外に、即時決選投票(IRV)、コンドルセ投票、是認投票、ボルダ式、範囲投票などが紹介され、それぞれの利点と欠点(どういう投票が起きたときに不合理な帰結が導かれるか)が示されている。
IRVは過半数が1番の票を集めるまで、最も不人気だった(1番の票が少なかった)候補の票を次に高いスコアの候補に割り当てていくという方法であり、これは完全な泡沫は防げるが、そこそこ有力な候補二人が共倒れするリスクはある。
コンドルセ投票はコンドルセ勝者を勝たせるものだが、循環が生じた場合の解消法が恣意的になり、戦略投票が機能してしまう。そして必ずしもコンドルセ勝者が妥当な勝者と思えない状況もあるとサーリは指摘する。
サーリは希少なボルダ式(候補者に順位をつけ、それを点に変換して総得点の多い人を選ぶ)の支持者だが、あまりにも戦略投票が出来て、特に卑劣な党派ほど勝ててしまうという状況は望ましくないと多くの研究者は考えている。
是認投票(各候補者に支持・不支持だけを入れる)は、全員が「最小限の支持」しか与えない凡庸な候補者を勝たせてしまうという問題がある(ただしこれは世論調査の報道があれば恐らく生じない問題だろうというコメントもある)。また結局戦略投票によりお気に入りの一人にしか票を入れない人がほとんどになる、という経験事実もある。
ほとんどの研究者が「相対多数投票
筆者は範囲投票(Amazonの評価のように、各候補者に1~5をつけるような投票)を、泡沫の影響を受けないこと、戦略投票が大した差を生まないことなどから評価しているように見える。
範囲投票はまた、アローの不可能性定理を免れてもいる(順序の表明ではなくスコアリングなので)。
アローの定理は過大評価されすぎで、あれは順序型の投票はよくないと解釈すべきだ、というコメントが紹介されていたが、それはなるほどその通りだと思う。
後半の話は面白いしもっと読みたいと思う一方で、前半の歴史の話は削ってよかったと思う。
理論的な考察は多様な投票制度同士の比較が主で、社会的選択理論の細かい話はそこまで出ていない。
そういうことを知りたい人は 「決め方」の論理 などを読むといいだろう。
投票制度の比較はそんなに見ないものなので、そこを掘り下げてもっと詳しくしてくれたらなおよかったと思う。
2008年9月22日に日本でレビュー済み
レビューを読んでなんとなく覚悟していたけれど、成る程〜でした。
政治史と投票システムの理論の発展史が交互に展開されるのですが、
カタカナ人名が多くて、がんがん流し読みでいくと政治家の名前だったか、学者の名前だったかが分からなくなります。。
投票システムもA方式が良い、B方式が出てきた、C方式もある。Aがすたれたけれどまた復活した。Bも良い・・・などと結局完璧なものはないなどと迷路に迷い込み・・・。
数学や論理学などに全く初のボクのような人間は、
一度流し読みした後にそれぞれの理論のところだけ再度読まないと、え〜投票って、こんなに危ういものなんだ〜と分かるだけの本になりそう。
それでも、「え〜?」と思わせてくれるし、情報としてはぎゅっと詰まっていそうなので、投票システムの百科事典的には良いのでは。
政治史と投票システムの理論の発展史が交互に展開されるのですが、
カタカナ人名が多くて、がんがん流し読みでいくと政治家の名前だったか、学者の名前だったかが分からなくなります。。
投票システムもA方式が良い、B方式が出てきた、C方式もある。Aがすたれたけれどまた復活した。Bも良い・・・などと結局完璧なものはないなどと迷路に迷い込み・・・。
数学や論理学などに全く初のボクのような人間は、
一度流し読みした後にそれぞれの理論のところだけ再度読まないと、え〜投票って、こんなに危ういものなんだ〜と分かるだけの本になりそう。
それでも、「え〜?」と思わせてくれるし、情報としてはぎゅっと詰まっていそうなので、投票システムの百科事典的には良いのでは。
2008年7月22日に日本でレビュー済み
選挙のパラドクスという題名から社会選択問題の理論方面を期待しますが、内容の7割はアメリカの選挙史です。生き生きとした人間模様の部分は楽しいですが、カタカナの人名が多すぎて混乱します。
巻末の用語解説が便利です。
致命的な誤訳=あまりにも有名な「共有地(commons)の悲劇」を「普通人の悲劇」とは…。
巻末の用語解説が便利です。
致命的な誤訳=あまりにも有名な「共有地(commons)の悲劇」を「普通人の悲劇」とは…。
2009年5月10日に日本でレビュー済み
民主主義における選挙は重要な要素であるが、有権者の納得率を最大にする選挙方法を見つけることは難しい。
本書の前半は票割れ現象についてアメリカの豊富な事例を列挙している。日本でも政権与党の中央と地方がそれぞれ候補を擁立して、第三者が漁夫の利を得ることがあるだろう。
アメリカではさらに選挙は露骨で、ネガティブキャンペーンやスポイラーが発生する。スポイラーとは、ある候補とよく似た思想や政策を掲げて、わざと票割れを起こす候補である。実際に民主党と共和党が相手方の泡沫候補をスポイラーとして資金援助することが良くあるそうである。民主主義の劣化現象としか言いようが無い。
後半では過去に発表された様々な投票方法を検討し、完璧な選挙方法は無いことを示した上で、即時決選投票という方式をベターとしている。候補者に順番を付けて投票し、過半数に達しなければ最低取得者に投じた人の票を第2候補に分配する、ダメなら次の最低候補の票を分配と繰り返す方法である。現実世界ではまだまだ普及していないが、Linux開発の管理者やウィキペディアの方針等における選挙では類似の方法が利用されている。
アメリカの選挙事情に詳しくないと読みにくいが、面白い本だ。
本書の前半は票割れ現象についてアメリカの豊富な事例を列挙している。日本でも政権与党の中央と地方がそれぞれ候補を擁立して、第三者が漁夫の利を得ることがあるだろう。
アメリカではさらに選挙は露骨で、ネガティブキャンペーンやスポイラーが発生する。スポイラーとは、ある候補とよく似た思想や政策を掲げて、わざと票割れを起こす候補である。実際に民主党と共和党が相手方の泡沫候補をスポイラーとして資金援助することが良くあるそうである。民主主義の劣化現象としか言いようが無い。
後半では過去に発表された様々な投票方法を検討し、完璧な選挙方法は無いことを示した上で、即時決選投票という方式をベターとしている。候補者に順番を付けて投票し、過半数に達しなければ最低取得者に投じた人の票を第2候補に分配する、ダメなら次の最低候補の票を分配と繰り返す方法である。現実世界ではまだまだ普及していないが、Linux開発の管理者やウィキペディアの方針等における選挙では類似の方法が利用されている。
アメリカの選挙事情に詳しくないと読みにくいが、面白い本だ。
2008年7月6日に日本でレビュー済み
パウンドストーンの本は今まで翻訳が良く無いことが多かったけど、今回は読みやすかった。
内容はアローの定理と、社会的選択理論と選挙小話。
米大統領選挙前に読んでおくと、面白いかも。
内容はアローの定理と、社会的選択理論と選挙小話。
米大統領選挙前に読んでおくと、面白いかも。