青土社の翻訳本は編集部が学術書の書評欄を確認して選定しているのか、名著が多いのは感心する。本書もその1冊だ。インターネットものとしては同様にカーの「ネット・バカ」の「プルーストとイカ」に習ったネット・リテラシーを従来の情報リテラシーや読書論を踏まえて展開した名著である。本書と併読することで、インターネットが人間社会に、特に知的生活にいかなる影響力があるかをアメリカでの実証研究を踏まえて、まとめ上げた労作。
今の若い大学生世代の大半は日米ともに、携帯検索で判らないことを探す傾向があり、すっかり定着している、という指摘は現実であろう。図書館ネットワークを世界的規模で展開するOCLCの一昨年の調査でも、83%の大学生世代はネット検索で情報を獲得していると報告されている。類似の指摘を著者は第1章で行い、本書執筆のモティーフを説明している。全体的には判りやすい説明であり、情報を中心にした世界では、検索や探索が新たな知識ツールとして定着した現在の問題点を精緻に分析している。
一か所だけ誤訳、この誤訳は最後まで一貫している。それは、
情報更新(information retrieval=IR) → 情報検索 (p.22)
であり、やや文意が通りにくいと感じられた読者もあろう。編集部の訳語チェックがやや甘かったのでは?全体としては問題ないと思われるが、念のために。
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ネット検索革命 単行本 – 2009/11/20
アレクサンダー・ハラヴェ
(著),
田畑暁生
(翻訳)
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- ISBN-104791765192
- ISBN-13978-4791765195
- 出版社青土社
- 発売日2009/11/20
- 言語日本語
- 寸法13.8 x 2.4 x 19.6 cm
- 本の長さ288ページ
登録情報
- 出版社 : 青土社 (2009/11/20)
- 発売日 : 2009/11/20
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 288ページ
- ISBN-10 : 4791765192
- ISBN-13 : 978-4791765195
- 寸法 : 13.8 x 2.4 x 19.6 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,175,222位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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2010年3月25日に日本でレビュー済み
グーグルが中国から撤退するというニュースがある。このニュースを理解するのに本書は最適だ。
「検索エンジンとは何であるか」「その仕組みはどうなっているのか」を解説するところから始まるが、用語索引や平易な文章で本書を読む通すのに重要な用語や仕組みが理解できると思う。
そして「検索という行為」を通じて我々が「得たもの/失ったもの」を改めて整理してくれる。検索エンジンを使ったときに感じる便利さや、後ろめたさの正体がはっきりとしてくる。ここで驚くのは、このようなコミュニケーション技術の進化が人間の素質に対して悪影響があるという指摘がプラトンによってなされていたという指摘だ。さらに個室で画面と向き合っているコンピュータユーザーの姿が、孤立ではなく新たなコミュニケーション(見知らぬ人との人間関係)を生み出しているという事実も明らかにしてくれる。これはオークションサイトなどで他人の評判を信用したり、掲示板からmixiやtwitterという最近の流行で感じるところではないだろうかという指摘でなるほどと思った。そのあたりで情報技術には文化的基盤の理解が重要であることが理解されて、グーグルが引き起こす摩擦の正体が分かってくる。最後に情報化や検索エンジンの将来の可能性と課題について触れられる。これも通読してきた人には納得がいく内容だと思う。
古今の著作や研究成果を踏まえた上で書かれている本であるが、堅苦しくなったりせずに非常に読みやすくてわかりやすい。図版や統計数値があまり登場しないのも逆に効果的だったかもしれない。「検索エンジンで何を騒いでいるのだろう」という方や、情報化や情報機器に頼る風潮について不安に思っている人にご一読をお奨めする。
「検索エンジンとは何であるか」「その仕組みはどうなっているのか」を解説するところから始まるが、用語索引や平易な文章で本書を読む通すのに重要な用語や仕組みが理解できると思う。
そして「検索という行為」を通じて我々が「得たもの/失ったもの」を改めて整理してくれる。検索エンジンを使ったときに感じる便利さや、後ろめたさの正体がはっきりとしてくる。ここで驚くのは、このようなコミュニケーション技術の進化が人間の素質に対して悪影響があるという指摘がプラトンによってなされていたという指摘だ。さらに個室で画面と向き合っているコンピュータユーザーの姿が、孤立ではなく新たなコミュニケーション(見知らぬ人との人間関係)を生み出しているという事実も明らかにしてくれる。これはオークションサイトなどで他人の評判を信用したり、掲示板からmixiやtwitterという最近の流行で感じるところではないだろうかという指摘でなるほどと思った。そのあたりで情報技術には文化的基盤の理解が重要であることが理解されて、グーグルが引き起こす摩擦の正体が分かってくる。最後に情報化や検索エンジンの将来の可能性と課題について触れられる。これも通読してきた人には納得がいく内容だと思う。
古今の著作や研究成果を踏まえた上で書かれている本であるが、堅苦しくなったりせずに非常に読みやすくてわかりやすい。図版や統計数値があまり登場しないのも逆に効果的だったかもしれない。「検索エンジンで何を騒いでいるのだろう」という方や、情報化や情報機器に頼る風潮について不安に思っている人にご一読をお奨めする。