ヘーゲルという人はどうもよくわからない。和訳の『精神現象学』(岩波)を読んでみたけれど、意味わかんない。イッポリートの『精神現象学の生成と構造』も、岩波で読んだけれど、きれいに訳せてるみたいに見えるのだけれど、これも意味わかんない。後者の場合、プロの翻訳家はふつうキーワードのどれか、あるいはいくつかが誤訳だろうと考えます。名著とされる本の和訳で、あれほど衝撃のない訳本もありませんでした。つまり、なにがメッセージなのかがわからない。
それはともかく、ぼくのヘーゲル理解の手がかりは、カーシーラー『啓蒙主義』に書いてあった「ヘーゲルは『精神現象学』ではまだしもフランス啓蒙主義に好意的であった」という断定でした。しかし、最後に差別をみんな取っ払って、奴隷が殴り返して来たらどうすると悲鳴をあげている。
それから、ヘーゲルが「自然」と呼んでいるのものには女性が含まれる、これはぼくの独断。まあ、ヨーロッパ人は、ふつうこう理解するのかもしれませんが。だから、ヘーゲルの弁証法は、男がいて女がいて、子どもができる、という意味しかないのでは、と思います。そこで、老子ですが、ヘーゲルの読んだ本では、「1が2となり、対立が生まれ、2が3になって、また対立が生まれ」みたいになっていたらしい。「老子道徳経」では、「1は2となり、2は3となり、3から万物が生じる」ですが。当時の西洋の女はよほど恐ろしかったのかもしれない。
それから、ヘーゲルがアダム・スミスの『国富論』草稿を読んで、こんな世の中が来るのはまっぴらた゜と書き込みをしたという話が、10年ほどまえ、アメリカのインターネットで流れていました。年代的に、そんなことが可能なのかな。
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