【概要】
(分野)生物学、微生物学、歴史
(頁数)目次4頁 + 本文234頁 + 後書&参考文献15頁
(出版日)2015/10/23
本書は、2015年4月発売の「
Life's Engines: How Microbes Made Earth Habitable (Science Essentials)
(Princeton University Press)」の邦訳本になります。
「微生物」が地球の環境にどの様な影響を与え、現在の多様な環境をもつ地球でどの様に生きているか、そして、私達人間のようなより“複雑な”生物を作り上げまでにどの様なイノベーションがあったかが語られます。
本書の後書に記述されていますが、著者のFalkowski氏は微生物の進化論や生化学が専門であり、本書でも「進化」についての歴史的解説や、生物の“エンジン”についての「生化学的」な記述が多く見られ、大学教養レベルの説明がなされます。
「微生物」というカテゴリーは非常に大きいため、本書でも大腸菌の様によく研究されている微生物から、ウイルスや、人間のような多細胞生物の起源となった太古の微生物の知見なども語られています。
【内容】
本書の大きなテーマは、「微生物が地球に及ぼした影響」と「生物の共通点と多様性」です。
「微生物が地球に及ぼした影響」としては、数億年の前に地球に「酸素」が満ち溢れるようになったのは、海中に葉緑体を持つ微細藻類が生まれたことに起因します。原初の生物にとって「酸素」は毒物であったようで、今も酸素が存在しない深海では、「酸素」があると死滅してしまう一方で、「酸素」の代わりに「硫化水素」などの他の化合物を用いています。
また、「生物の共通点と多様性」という視点で見れば、こうした、多様性に満ちていると思われる生物にも「エンジン」という部分では、共通点が見られます。「呼吸鎖」に連なる「ATP合成酵素」や「光合成」の仕組みなどは、結局全て「電子」のやり取りとして説明が出来ると述べられます。「酸素」も「硫化水素」も、生物に「電子」を与えるという点では同じなのです。
また、「微生物」というカテゴリーの中にも、真核生物に属する「真菌」や、原核生物に属する「真正細菌」や「古細菌」が存在します。真核生物と原核生物の大きな違いとして、染色体が凝集した「核」が存在するか以外にも、ミトコンドリアが存在するかどうかがあります。
ミトコンドリアは、真核生物に存在する「オルガネラ(細胞内小器官)」の一種ですが、真核細胞のDNAとは別のDNAや酵素を独自に持つことで知られています。こうした事実は、太古の昔に「ある微生物が、他の微生物を取り込んで共生していた」ことを示しており、私達人類の様な多細胞生物の起源と言われます。
【感想】
内容としては、学部相当の講義で語られるレベルですが、歴史的な生物学の変遷を詳しく書いているのが本書の特徴であり、大学ではあまり語られない部分です。高校までで生物から離れてしまった方には、新しい知見を得られるものと思います。
プライム無料体験をお試しいただけます
プライム無料体験で、この注文から無料配送特典をご利用いただけます。
非会員 | プライム会員 | |
---|---|---|
通常配送 | ¥410 - ¥450* | 無料 |
お急ぎ便 | ¥510 - ¥550 | |
お届け日時指定便 | ¥510 - ¥650 |
*Amazon.co.jp発送商品の注文額 ¥3,500以上は非会員も無料
無料体験はいつでもキャンセルできます。30日のプライム無料体験をぜひお試しください。
¥2,530¥2,530 税込
発送元: Amazon.co.jp 販売者: Amazon.co.jp
¥2,530¥2,530 税込
発送元: Amazon.co.jp
販売者: Amazon.co.jp
¥1,777¥1,777 税込
配送料 ¥257 6月20日-26日にお届け
発送元: にゃんこ堂 販売者: にゃんこ堂
¥1,777¥1,777 税込
配送料 ¥257 6月20日-26日にお届け
発送元: にゃんこ堂
販売者: にゃんこ堂
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
微生物が地球をつくった -生命40億年史の主人公- 単行本 – 2015/10/23
ポール・G・フォーコウスキー
(著),
松浦俊輔
(翻訳)
{"desktop_buybox_group_1":[{"displayPrice":"¥2,530","priceAmount":2530.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"2,530","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"jJgGGABGq2Tc%2F44w%2Bo6NmOZk%2Fj%2FwNx7vuZVub2qbwi6EP9h91LD2EwoZJhln5wi71%2Fq482RmErddH1xKKFyw80toClDE4IXrPzMq1LGv6CB9wPOueQr2VvaUpZgimHry6EkVBwfOcQo%3D","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"NEW","aapiBuyingOptionIndex":0}, {"displayPrice":"¥1,777","priceAmount":1777.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"1,777","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"jJgGGABGq2Tc%2F44w%2Bo6NmOZk%2Fj%2FwNx7vTmYUZy39DqmXhvZ3voR9bYTdCI94TRRruoxodO%2BMVc0aT7pKi0PXEJp6lzUofdLmykQOPpwSbvA7ucaxSRHQLKPXw6AQ7TaPGf9YXPXf82hL%2BgZBDXJuBGei19J1sxLPBf2uvdO7PLZkr4yCrEHBLw%3D%3D","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"USED","aapiBuyingOptionIndex":1}]}
購入オプションとあわせ買い
40億年近くものあいだこの地球をわがものとし、
酸素を生み出し、植物や動物や人間がすめるようなものにした微生物たち。
本書は、最近・古細菌・藻類・鞭毛虫など
微生物の生命活動がどのような仕組みで働いているのか、
そして、それば言わば地球の「生命のエンジン」(本書原題)として、
人間を含めたすべての生物にどのような影響を与えているかをわかりやすく解説。
地球草創期から始まる壮大な生命の歴史、 あるいはフックやレーウェンフックから始まる微生物の歴史などをしっかり踏まえた上で、 現代の遺伝子工学や地球外生命探査の話題も交えるという、豊富な内容。
微生物というミクロな視点から、生命とは何か、というマクロな視点まで、
縦横無尽に駆け巡る本書は、一般向けの生物学入門として最適な読み物です。
酸素を生み出し、植物や動物や人間がすめるようなものにした微生物たち。
本書は、最近・古細菌・藻類・鞭毛虫など
微生物の生命活動がどのような仕組みで働いているのか、
そして、それば言わば地球の「生命のエンジン」(本書原題)として、
人間を含めたすべての生物にどのような影響を与えているかをわかりやすく解説。
地球草創期から始まる壮大な生命の歴史、 あるいはフックやレーウェンフックから始まる微生物の歴史などをしっかり踏まえた上で、 現代の遺伝子工学や地球外生命探査の話題も交えるという、豊富な内容。
微生物というミクロな視点から、生命とは何か、というマクロな視点まで、
縦横無尽に駆け巡る本書は、一般向けの生物学入門として最適な読み物です。
- 本の長さ253ページ
- 言語日本語
- 出版社青土社
- 発売日2015/10/23
- ISBN-104791768922
- ISBN-13978-4791768929
よく一緒に購入されている商品
対象商品: 微生物が地球をつくった -生命40億年史の主人公-
¥2,530¥2,530
最短で6月12日 水曜日のお届け予定です
残り1点(入荷予定あり)
¥1,210¥1,210
最短で6月12日 水曜日のお届け予定です
残り1点(入荷予定あり)
総額:
当社の価格を見るには、これら商品をカートに追加してください。
ポイントの合計:
pt
もう一度お試しください
追加されました
一緒に購入する商品を選択してください。
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
登録情報
- 出版社 : 青土社 (2015/10/23)
- 発売日 : 2015/10/23
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 253ページ
- ISBN-10 : 4791768922
- ISBN-13 : 978-4791768929
- Amazon 売れ筋ランキング: - 139,357位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 2,166位生物・バイオテクノロジー (本)
- カスタマーレビュー:
カスタマーレビュー
星5つ中4.2つ
5つのうち4.2つ
全体的な星の数と星別のパーセンテージの内訳を計算するにあたり、単純平均は使用されていません。当システムでは、レビューがどの程度新しいか、レビュー担当者がAmazonで購入したかどうかなど、特定の要素をより重視しています。 詳細はこちら
19グローバルレーティング
虚偽のレビューは一切容認しません
私たちの目標は、すべてのレビューを信頼性の高い、有益なものにすることです。だからこそ、私たちはテクノロジーと人間の調査員の両方を活用して、お客様が偽のレビューを見る前にブロックしています。 詳細はこちら
コミュニティガイドラインに違反するAmazonアカウントはブロックされます。また、レビューを購入した出品者をブロックし、そのようなレビューを投稿した当事者に対して法的措置を取ります。 報告方法について学ぶ
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2015年11月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2018年12月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この本の原題は「Life's Engines: How Microbes Made Earth Habitable (Science Essentials)(Princeton University Press)」で、直訳すると「生命のエンジン」となる。
まず、この微生物学を考えるためには、「そのためわれわれには「見えるもの」に価値をおくというバイアスがかかっている」ことを念頭に入れなくてはいけない。著者はそれを微生物の発見を、ヨーロッパの顕微鏡の歴史から説明している。
この本で、地球の温暖化が人類の窒素化合物(肥料)の土壌流出での汚染、それによる海洋汚染、森林伐採などにより、人類が地球の犯した「罪」の大きさも考えさせられる。けれど、現代でもそうだが人間は「目に見えたことを優先するバイアスがかかっている」ので、長期的で誤差で起こることや、わずかな差異でしか識別出来ないもの、視覚に入らない程小さなものを無意識に除外する。神話や宗教では全く語られてこなかったものがこの微生物だ。
それを過去の神話や宗教では、ウィルスや細菌による疫病は「神罰」や「悪魔」として解釈され、目に見えないものを「人間の等身大」による思考で、片づけてきた。
人類による短絡的な考えがどれほどの被害を出したかは、デイビッド・モントゴメリー「 土の文明史 」を読めば明白なのだが、人間の直感に反するところが悩ましいところだ。肥料を与え続けると、やがて根粒菌が育たず、長期的に作物が育たなくなる土壌を作り出してしまう。こうというデータは意識的かつ長期的に収集しないと全くわからないからだ。
因みにこの本でも「根粒菌」による植物との「共生」関係は述べられている。参考には「 土と内臓 (微生物がつくる世界) 」、「 土・牛・微生物ー文明の衰退を食い止める土の話 」といった本や、エムラン・メイヤー「 腸と脳──体内の会話はいかにあなたの気分や選択や健康を左右するか 」もいい。人間の体内にも膨大な微生物と「共生」している。その「事実」は忘れてはいけない。
この本は残念なことに、かなりの「予習」が必要な本ではある。内容は専門の大学生、いや大学院レベルではないかと思わせるところが大きい。特にリボソームやミトコンドリアの共生がどうして可能になったのか、ナノマシンがどうして自然淘汰の中で生まれたのか、とても謎が多いし、微生物学はまだまだこれから裾野が広がる分野なのだろう。寧ろ農学の分野の人にはこの本は「必読」かと思うのだが。この本でのナノマシンの説明はすごいと思うが、大変に難解なので私でも半分も理解出来てない。恐らく他の著書で調べた方がよさそうだ。この本より前に、入門編なら別府輝彦「 見えない巨人―微生物 」を読んで助走を付けておくと良い。
けれど農学、あと発酵を仕事にしている人なら、とても頷く内容なのだ。だから杜氏、蔵人とか発酵の料理人こそ読むといいかもしれない。杜氏なら、米を酒にする際の麹菌による発酵による放熱で、作業場が暑くなるくらいは誰でも知っている。これを地球が温暖化とどうつながるかを考えると、微生物学の奥深さが知れようというものだ。
これは考え方なのだろう。「意味をつくりだそうとすること」が「考えること」であるとリチャード・ファインマンは「 ご冗談でしょう、ファインマンさん〈上〉 」、「 ご冗談でしょう、ファインマンさん〈下〉 」で述べているが、面白いエピソードも述べている。
「おまえは、何がモノを動かしていると思っているんだ?」「わかんない」「太陽が照ってるからなんだぞ」。そこで子供が反論する「ちがうよ、オモチャはぜんまいを巻くんだ」。オヤジが聞く「じゃあ、どうやってぜんまいは巻かれたんだ?」「ぼくが巻いたんだ」「それでおまえはどうして動けるんだ?」「いろいろ食べてるからね」。こうしてオヤジが得々として言う、「その食べ物はもともと太陽が照っているから育つんだ。だから太陽が照ってるからみんなが動くんだ」。私も子供に同じ様に説明したことがある(笑)。
微生物学を考える人は、生命が宇宙と繋がっているんだと考えるものだ。だから著者のポール・G・フォーコウスキーも最終的には「宇宙のシステム」を想定している。エネルギーとか曖昧なことでお茶を濁そうとしていない。曖昧な概念は思考停止を誘う。過去に、人間では至らない存在を「神」と呼んだ様に。
まず、この微生物学を考えるためには、「そのためわれわれには「見えるもの」に価値をおくというバイアスがかかっている」ことを念頭に入れなくてはいけない。著者はそれを微生物の発見を、ヨーロッパの顕微鏡の歴史から説明している。
この本で、地球の温暖化が人類の窒素化合物(肥料)の土壌流出での汚染、それによる海洋汚染、森林伐採などにより、人類が地球の犯した「罪」の大きさも考えさせられる。けれど、現代でもそうだが人間は「目に見えたことを優先するバイアスがかかっている」ので、長期的で誤差で起こることや、わずかな差異でしか識別出来ないもの、視覚に入らない程小さなものを無意識に除外する。神話や宗教では全く語られてこなかったものがこの微生物だ。
それを過去の神話や宗教では、ウィルスや細菌による疫病は「神罰」や「悪魔」として解釈され、目に見えないものを「人間の等身大」による思考で、片づけてきた。
人類による短絡的な考えがどれほどの被害を出したかは、デイビッド・モントゴメリー「 土の文明史 」を読めば明白なのだが、人間の直感に反するところが悩ましいところだ。肥料を与え続けると、やがて根粒菌が育たず、長期的に作物が育たなくなる土壌を作り出してしまう。こうというデータは意識的かつ長期的に収集しないと全くわからないからだ。
因みにこの本でも「根粒菌」による植物との「共生」関係は述べられている。参考には「 土と内臓 (微生物がつくる世界) 」、「 土・牛・微生物ー文明の衰退を食い止める土の話 」といった本や、エムラン・メイヤー「 腸と脳──体内の会話はいかにあなたの気分や選択や健康を左右するか 」もいい。人間の体内にも膨大な微生物と「共生」している。その「事実」は忘れてはいけない。
この本は残念なことに、かなりの「予習」が必要な本ではある。内容は専門の大学生、いや大学院レベルではないかと思わせるところが大きい。特にリボソームやミトコンドリアの共生がどうして可能になったのか、ナノマシンがどうして自然淘汰の中で生まれたのか、とても謎が多いし、微生物学はまだまだこれから裾野が広がる分野なのだろう。寧ろ農学の分野の人にはこの本は「必読」かと思うのだが。この本でのナノマシンの説明はすごいと思うが、大変に難解なので私でも半分も理解出来てない。恐らく他の著書で調べた方がよさそうだ。この本より前に、入門編なら別府輝彦「 見えない巨人―微生物 」を読んで助走を付けておくと良い。
けれど農学、あと発酵を仕事にしている人なら、とても頷く内容なのだ。だから杜氏、蔵人とか発酵の料理人こそ読むといいかもしれない。杜氏なら、米を酒にする際の麹菌による発酵による放熱で、作業場が暑くなるくらいは誰でも知っている。これを地球が温暖化とどうつながるかを考えると、微生物学の奥深さが知れようというものだ。
これは考え方なのだろう。「意味をつくりだそうとすること」が「考えること」であるとリチャード・ファインマンは「 ご冗談でしょう、ファインマンさん〈上〉 」、「 ご冗談でしょう、ファインマンさん〈下〉 」で述べているが、面白いエピソードも述べている。
「おまえは、何がモノを動かしていると思っているんだ?」「わかんない」「太陽が照ってるからなんだぞ」。そこで子供が反論する「ちがうよ、オモチャはぜんまいを巻くんだ」。オヤジが聞く「じゃあ、どうやってぜんまいは巻かれたんだ?」「ぼくが巻いたんだ」「それでおまえはどうして動けるんだ?」「いろいろ食べてるからね」。こうしてオヤジが得々として言う、「その食べ物はもともと太陽が照っているから育つんだ。だから太陽が照ってるからみんなが動くんだ」。私も子供に同じ様に説明したことがある(笑)。
微生物学を考える人は、生命が宇宙と繋がっているんだと考えるものだ。だから著者のポール・G・フォーコウスキーも最終的には「宇宙のシステム」を想定している。エネルギーとか曖昧なことでお茶を濁そうとしていない。曖昧な概念は思考停止を誘う。過去に、人間では至らない存在を「神」と呼んだ様に。
2018年8月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「生命の源は、太陽からくる光子」であることから始めて、細胞内構造、細胞内でのエネルギー発生システム、遺伝子転写システム、遺伝子の水平伝播のなど、最新の分子生物学の研究成果を網羅していると思われ、極めて知的興奮を誘う内容だ。
また著者は、微生物が地球の生態系の根幹を担っていることを踏まえ、人類が微生物の遺伝子に手を加え、地球上の微生物が担っている電子の均衡を無意識に変えてしまうことに危惧を抱き、これが破滅的な結果をもたらすと、「手を加える」と題して一章を割き、警告している。無意識な人類の地球生態系への介入が、核戦争による人類絶滅以上の均衡破壊を地上にもたらす可能性があるとする。著者が本書で言いたかっことの一つはこのことのようだ。
但し、興味深い内容に見ているが、実に残念なことに、分かり難い。他の評者が言うように、翻訳のせいもあろう。また、本書が読み物の形をとりつつ、実はかなり高度複雑な分子生物学の研究内容を取り上げているせいでもあろう。2度、3度読んでも、核心となる細胞内のエネルギー生成や、細胞内小器官の働きが中途半端にしか理解できない。読み物としては、それでもやむを得ないのかもしれない。
また著者は、微生物が地球の生態系の根幹を担っていることを踏まえ、人類が微生物の遺伝子に手を加え、地球上の微生物が担っている電子の均衡を無意識に変えてしまうことに危惧を抱き、これが破滅的な結果をもたらすと、「手を加える」と題して一章を割き、警告している。無意識な人類の地球生態系への介入が、核戦争による人類絶滅以上の均衡破壊を地上にもたらす可能性があるとする。著者が本書で言いたかっことの一つはこのことのようだ。
但し、興味深い内容に見ているが、実に残念なことに、分かり難い。他の評者が言うように、翻訳のせいもあろう。また、本書が読み物の形をとりつつ、実はかなり高度複雑な分子生物学の研究内容を取り上げているせいでもあろう。2度、3度読んでも、核心となる細胞内のエネルギー生成や、細胞内小器官の働きが中途半端にしか理解できない。読み物としては、それでもやむを得ないのかもしれない。
2015年11月17日に日本でレビュー済み
生物誕生から現代まで地球史をかけめぐり、
科学史も各学者・発見のエピソードも交えて鮮やかに語っている。
内容は意外と深く掘り下げており、高校レベルの生物知識はあったほうがいいかもしれない。
★1減は本書の形式からくる読みにくさ。
本編は11章から成り各章20ページほどと簡潔にまとまっているが、
章内に小見出しや空行がなく切れ目なしに文章が続いていく。
そのため意味ごとのまとまりがわかりにくく、流し読みすると迷子になる。
さらに「〜は3つある。」のようなテーマ提示もよくなされているが、
「まず〜」「2つ目は」「最後は」などそのポイントが明示されないので構造を整理するのにやや苦労する。
科学史も各学者・発見のエピソードも交えて鮮やかに語っている。
内容は意外と深く掘り下げており、高校レベルの生物知識はあったほうがいいかもしれない。
★1減は本書の形式からくる読みにくさ。
本編は11章から成り各章20ページほどと簡潔にまとまっているが、
章内に小見出しや空行がなく切れ目なしに文章が続いていく。
そのため意味ごとのまとまりがわかりにくく、流し読みすると迷子になる。
さらに「〜は3つある。」のようなテーマ提示もよくなされているが、
「まず〜」「2つ目は」「最後は」などそのポイントが明示されないので構造を整理するのにやや苦労する。
2016年9月29日に日本でレビュー済み
著者は、世界の海洋における微生物のフィールド調査を行っている生物学者である。本書は黒海の酸素の無い深海での特異な微生物の研究成果も踏まえながら、微生物が果たしてきた地球生命史への重要性を説いた本である。
地球の年齢は約46億年と言われるが、肉眼で確認できる生物は約5億年前のエディアカラ化石群の時代以降であり、それ以前は微生物が地球を支配していた。これらの微生物は単細胞の時代から酸素を作りだして地球の環境を大幅に変動させ、このことが多細胞生物などの進化に大きな影響を与えたとされている。本書は、多細胞生物が生まれる以前の地球の微生物の世界を、科学的な想像を交えながら、地球規模の電子ネットワークの世界として描き出す。微生物の代謝や進化には化学反応が伴い、化学反応は必ず電子の交換を伴うからである。現在の動物や植物を支えている細胞内のミトコンドリアや葉緑体も、元は独立した微生物だったものが嫌気性の微生物に呑み込まれ共生することで、生命の「エネルギー革命」を起こし、その後の爆発的な進化に繋がったという。また、今日の文明のエネルギーを支える石油や石炭も、往時の微生物の活動の遺産である。
本書では、「見えないもの」として軽んじられている微生物が地球生命史で果たした役割に改めて注目させるとともに、微生物の有難味を忘れ、地球の環境を変えつつあるヒトの運命への警告をも発している。一部で研究も進められているようだが、ヒトが生き延びるために微生物の智慧に救いを求める時代が来ているのかもしれない。
本書は、壮大な規模の地球生命史の中で、微生物という「見えないもの」への畏敬の念を起こさせるとともに、ヒトの運命を改めて考えさせる本である。なお、訳文は的確で読み易い。
地球の年齢は約46億年と言われるが、肉眼で確認できる生物は約5億年前のエディアカラ化石群の時代以降であり、それ以前は微生物が地球を支配していた。これらの微生物は単細胞の時代から酸素を作りだして地球の環境を大幅に変動させ、このことが多細胞生物などの進化に大きな影響を与えたとされている。本書は、多細胞生物が生まれる以前の地球の微生物の世界を、科学的な想像を交えながら、地球規模の電子ネットワークの世界として描き出す。微生物の代謝や進化には化学反応が伴い、化学反応は必ず電子の交換を伴うからである。現在の動物や植物を支えている細胞内のミトコンドリアや葉緑体も、元は独立した微生物だったものが嫌気性の微生物に呑み込まれ共生することで、生命の「エネルギー革命」を起こし、その後の爆発的な進化に繋がったという。また、今日の文明のエネルギーを支える石油や石炭も、往時の微生物の活動の遺産である。
本書では、「見えないもの」として軽んじられている微生物が地球生命史で果たした役割に改めて注目させるとともに、微生物の有難味を忘れ、地球の環境を変えつつあるヒトの運命への警告をも発している。一部で研究も進められているようだが、ヒトが生き延びるために微生物の智慧に救いを求める時代が来ているのかもしれない。
本書は、壮大な規模の地球生命史の中で、微生物という「見えないもの」への畏敬の念を起こさせるとともに、ヒトの運命を改めて考えさせる本である。なお、訳文は的確で読み易い。
2016年10月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
内容は一般的な微生物に進化の話をからめたものですが、ニックレーンやリチャードドーキンスの訳本と比べて機械的な訳が多く、ずいぶん読みにくくなってしまっています。そのほかストーリーが飛び飛びの傾向があり、それも読みにくさを強調してしまっているように思えます。
窒素化合物の濃度に着目して微生物の分布を説明しようとする展開は興味深く読ませてもらいましたが、読みにくさが評価を下げているように思えます。250ページなくて文字数も比較的少なめなので、5時間くらいで読めると思います。
窒素化合物の濃度に着目して微生物の分布を説明しようとする展開は興味深く読ませてもらいましたが、読みにくさが評価を下げているように思えます。250ページなくて文字数も比較的少なめなので、5時間くらいで読めると思います。