『マヤ探検記――人類史を書きかえた偉大なる冒険』(青土社、上・下)を読み始めてから最後のページを捲るまで、自分も探検隊の一員になったかのような気分を味わうことができました。
19世紀に、中米のグアテマラ高地やユカタン半島にやって来た博物学者や探検家たちが、建造物の廃墟や辺りに散らばった石柱の破片などを調べたが、誰が造ったのか分かりませんでした。
当地方の深いジャングルの中を、1839年と1841年の2度に亘り探検したジョン・ロイド・スティーヴンズとフレデリック・キャザウッドの二人は、廃墟と化し密林に埋もれている建造物の起源が専ら土着のもので、そこに住む先住民たちの祖先、古代マヤ人の想像力と知能が造り上げたものだと推測したのです。今では、考古学者たちの間で、二人はマヤ研究の創始者、マヤ考古学の先駆けと位置づけられています。マヤ文明の絶頂期(古典期)は、およそ4世紀から10世紀までの600年ほど続きました。
米国人の弁護士、紀行作家のスティーヴンズと英国人の建築技師、画家のキャザウッドがペアを組んで探検に出かけたのは、スティーヴンズが34歳、キャザウッドが40歳の時でした。
訳者後書きに、こうあります。「絶え間なく襲う熱帯熱の発作や、肉体的な苦痛に耐えながら、二人はジャングルを切り開き、廃墟をつぶさに計測して貴重な記録を残した。写真技術がまだ発明されていなかった時代――利用できたのは、プリズムを使ったカメラ・ルシドという機器や、ダゲレオタイプと呼ばれた銀板写真だけだ――だったので、もっぱらキャザウッドは、建造物や石柱を綿密にスケッチしたり、石柱に刻まれたヒエログリフ(聖刻文字)を、正確に写し取る作業に専念した」。本書には、キャザウッドの精密なスケッチが多数収録されているが、著者が近年、撮影した写真と寸分違わないことに驚かされます。
「内戦が止むことのない地方で、人跡未踏のジャングルへと分け入っていく。待ち構えているのは、吸血鬼さながらの蚊やダニ、マラリア、暑熱、豪雨、泥濘などだ。そんな苦難と危険に耐えながら、彼らはマヤの廃墟を探索しつづけた」。遺跡の謎を解明したいという抑え難い気持ちが、二人をこれらの困難に立ち向かわせたのです。
フィクションでない本物の探検記には、心を揺さぶられますね。
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マヤ探検記 下 ―人類史を書きかえた偉大なる冒険― 単行本(ソフトカバー) – 2018/4/24
ウィリアム・カールセン
(著),
森夏樹
(翻訳)
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人類史を刷新した旅の全貌、二人の冒険家の物語
密林のジャングルで彼らが見たのは、
誰も想像すらしていなかった高度な文明の痕跡だった――。
コパン、キリグア、パレンケ、ティカル、ウシュマエル、チチェン・イッツァ、トゥルム……。
歴史を刷新するほどの成果をあげて旅を終えた二人の冒険家は、
歩みを止めることなくさらなる遠大な夢へと突き進む。
激動の19世紀、ゴールドラッシュ直前の熱く揺れ動くアメリカ大陸で、
アメリカ考古学を創始した二人の波乱に満ちた人生の行き着く先とは。
『ニューヨーク・タイムズ』ベストセラー。
密林のジャングルで彼らが見たのは、
誰も想像すらしていなかった高度な文明の痕跡だった――。
コパン、キリグア、パレンケ、ティカル、ウシュマエル、チチェン・イッツァ、トゥルム……。
歴史を刷新するほどの成果をあげて旅を終えた二人の冒険家は、
歩みを止めることなくさらなる遠大な夢へと突き進む。
激動の19世紀、ゴールドラッシュ直前の熱く揺れ動くアメリカ大陸で、
アメリカ考古学を創始した二人の波乱に満ちた人生の行き着く先とは。
『ニューヨーク・タイムズ』ベストセラー。
- 本の長さ391ページ
- 言語日本語
- 出版社青土社
- 発売日2018/4/24
- ISBN-104791770617
- ISBN-13978-4791770618
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登録情報
- 出版社 : 青土社 (2018/4/24)
- 発売日 : 2018/4/24
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 391ページ
- ISBN-10 : 4791770617
- ISBN-13 : 978-4791770618
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,141,397位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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2018年7月28日に日本でレビュー済み
2019年5月5日に日本でレビュー済み
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マヤの遺跡発掘を自分自身もやっているような気分になりました。
2023年12月3日に日本でレビュー済み
密林に埋もれた建造物をこしらえたのはいったい誰なのか。失われたイスラエルの十支族や海洋民族のフェニキア人、それにエジプト人やギリシア人、はては、アトランティス大陸から逃れた人々が残した遺物ではないか。さまざまな臆測が飛び交った。文明とはほど遠い、未開のアメリカ先住民たちが作ったとは、誰も思いつかなかった。
こんな臆測をくつがえしたのが、本書の主人公ジョン・スティーブンズとフレデリック・キャザウッドだ。2人は、マヤの廃墟の起源がもっぱら土着のもので、古代アメリカ先住民の想像力と知能が作り上げたものだと推測した。
スティーブンズが執筆し、キャザウッドが挿絵(ヒエログリフのスケッチがすばらしい)を担当した彼らの旅行記はセンセーションを巻き起こし、エドガー・アラン・ポーに「おそらくこれまで出版された中で最も興味深い旅行記」と称賛された。2人の発見は、今日、アメリカ考古学の誕生として認識されているという。
こんな臆測をくつがえしたのが、本書の主人公ジョン・スティーブンズとフレデリック・キャザウッドだ。2人は、マヤの廃墟の起源がもっぱら土着のもので、古代アメリカ先住民の想像力と知能が作り上げたものだと推測した。
スティーブンズが執筆し、キャザウッドが挿絵(ヒエログリフのスケッチがすばらしい)を担当した彼らの旅行記はセンセーションを巻き起こし、エドガー・アラン・ポーに「おそらくこれまで出版された中で最も興味深い旅行記」と称賛された。2人の発見は、今日、アメリカ考古学の誕生として認識されているという。