この本、「2000年間で最大の発明は何か」というタイトルで高橋健次氏の翻訳で草思社から出版されている。寡聞にして私は高橋健次氏を存じ上げていないので注意深く書くことにします。ちなみに高橋健次氏はヘッセの翻訳などで有名な高橋健二氏とは別人です。
この本、著者が言うように元来が通読する本でなく、面白そうと思うトピックを見つけて読み始めるのが良い。私もそのようにした。訳本を読んでいて(1)「どう言う意味?」「???」と思う箇所が所々に見つかり、その箇所を何度読んでも理解できない。逆に、(2)非常にこなれた日本語の訳であるので、一体英語でなんて書いてあるのだろうかと好奇心を感じた。それで原書で読み始めました。
(1)の例を一つだけ挙げます。<訳書p. 14>「作曲家ラモンテ・ヤング、、、、、自分の五感がヤングの作品を調律する機能に変わると言う聴覚空間を体験した」。これ分からない。五感とは視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚を意味し、音楽作品が人間の五感に作用するのだとすると、聴覚に加えて視覚、触覚、味覚、嗅覚に対する入力となりうるわけで、それだとすれば素晴らしいことだな、、などと妄想を巡らせるが、よく分からない。また「作品を調律する」とはどう言うことなんだろうか?分からない。くだんの箇所は英語だと;Entering composer LaMonte Young's Theatre,,,,,I was immserd in an aural space in which my sensory mechanisms beame the tuning mechanism for his composition". となっている。原文と比べるとおわかりのように(A)sensory mechanismsとは五感を須らく表したわけでなく、まずはaural spaceと聴覚間限定された中での出来事であるの、聴覚に加えて何かが反応したことは否めないが、sensory mechanismsは五感よりも感覚、で良いのは。(B)「作品を調律する」は原文では,,became the tuning mechanism for his comositionとあります。これは言ってみれば、ヤング作品(たった一つの和音を何時間も何日もぶっ通しで演奏される)に浸っていると、たった一つの和音がいくつもの別の調性に変化して別の和音と聞こえてくる、と言う意味ではないでしょうか?
(2)一般に、非常にこなれた日本語の訳なので、英語でなんて書いてあるのか?と好奇心を持ちました。一例は目次から。第一部「発明が生活を変えた」、第二部「発明が思考を変えた」は原書ではそれぞれ”How We Live"と"How We Think"です。これは日本語に訳し難いといえばその通りですね。英語には英語のニュアンスがあり、それは日本語にした時にある程度しか保持できないと言う例でしょう。
今日の結論:この本、サイエンスを中心にトピックにしているが元来がカウチにでも寝転がって読む、ある種の知的エンターテイメント本です。ここのトピックは厳密性を追求するのでなく、この本が与えてくれる視野を広げると言うチャンス(何しろ100個のトピック)を楽しむのがよろしい。英語は実に明快に書かれていている。元々が即物的なテーマであり、モノと人類という関係を記述したものであり、そこに愛だの恋だの憐憫などが入りんでいる訳でない(こう言ったものは英語でも難しい表現になりますが)。中学生以上であれば読めるのでオススメ。文体、語句の選択などから英語独自のニュアンスにダイレクトに触れることが良い。
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2000年間で最大の発明は何か 単行本 – 1999/12/1
乾草、消しゴム、水道……。世界の頭脳108人が寄せた、意表をつく回答の数々。なぜわれわれは現在のような毎日を送ることができるのか。人類史を問い直す!
- 本の長さ238ページ
- 言語日本語
- 出版社草思社
- 発売日1999/12/1
- ISBN-104794209363
- ISBN-13978-4794209368
商品の説明
メディア掲載レビューほか
テレビ、コンピューター、ジャンボ機、原爆…。今年で終わる20世紀の最大の発明を挙げるとしたら、恐らくこんなものが出てくるに違いない。それでは、もっと時間の幅を広げて、過去2000年間で最大の発明は何かと聞かれたら、どんなものが挙げられるのだろうか。本書の編者は、インターネットを通じて各界の科学者、思想家などにこの質問を投げかけてみた。
多かったのは印刷機だ。印刷技術が生まれなかったら、多くの人が同じ情報を共有できなかった。「知識の急速な普及は、グーテンベルクとともにはじまった」と米国の科学者、ガーニス・カーティスは指摘する。これに対し、「今後の2000年間にわたって最も大きな影響を及ぼす」とコンピューターを挙げる意見もある。どちらも、世界を大きく変えた、情報伝達の手段だ。
このように、誰もが「なるほど」と思う回答だけでなく、読書用眼鏡、馬のあぶみ、消しゴムといった意外な指摘もある。その理由は読む時の楽しみに。
(日経ビジネス2000/1/24号 Copyright©日経BP社.All rights reserved.)
-- 日経ビジネス
内容(「MARC」データベースより)
2000年を間近に控えて、ネット上に一つの問いが発せられた。「2000年間で最大の発明は何か、その理由は?」 ドーキンス、ゲルマンら、第一線の科学者・思想家から寄せられた108の回答を紹介する。
登録情報
- 出版社 : 草思社 (1999/12/1)
- 発売日 : 1999/12/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 238ページ
- ISBN-10 : 4794209363
- ISBN-13 : 978-4794209368
- Amazon 売れ筋ランキング: - 812,693位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 359位科学史・科学者
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2019年7月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2009年8月3日に日本でレビュー済み
2000年に出版された本書を読み、大変驚きました。なぜならばインフルエンザの大流行に関する指摘をしているからです。
リチャード・ポッツは、2000年間でもっとも重要な発明として「空を飛ぶ機械」をあげている。この機械によって「人間の生活は一転したばかりでなく、進化の歴史からは予測もつかないような事態が国際的な規模で発生する」ことを指摘しています。その例として、「ニューヨークのケネディ空港で突然変異を起こしたインフルエンザ」が「わずか1日か2日のうちに世界中に伝播」することをあげています。今年(2009年4月以降)の新型インフルエンザパンデミックのことそのものです。こうした先見性はその分野の専門家の知見ならではです。
そもそも本書は、特許(Patent)にまつわる狭義の発明ではなく、人類の文化に寄与した広義の発明について、2000年間でもっとも優れたものは何かを世界の研究者などの著名人に問うた、きわめて興味深い本です。
第一線の研究者の一風変わった考え方が、発明に対する視点に対しても現れているので、何かブレーンストーミングをしたいときに脳をゆさぶってもらうのに好適だと思います。
本書は2000年に初版がでていますが、10年おきぐらいにこうしたインタビューを収録して世に示すということによって、従来の歴史学的な発明の流れとは異なる視点のための一座標系となるように思います。
リチャード・ポッツは、2000年間でもっとも重要な発明として「空を飛ぶ機械」をあげている。この機械によって「人間の生活は一転したばかりでなく、進化の歴史からは予測もつかないような事態が国際的な規模で発生する」ことを指摘しています。その例として、「ニューヨークのケネディ空港で突然変異を起こしたインフルエンザ」が「わずか1日か2日のうちに世界中に伝播」することをあげています。今年(2009年4月以降)の新型インフルエンザパンデミックのことそのものです。こうした先見性はその分野の専門家の知見ならではです。
そもそも本書は、特許(Patent)にまつわる狭義の発明ではなく、人類の文化に寄与した広義の発明について、2000年間でもっとも優れたものは何かを世界の研究者などの著名人に問うた、きわめて興味深い本です。
第一線の研究者の一風変わった考え方が、発明に対する視点に対しても現れているので、何かブレーンストーミングをしたいときに脳をゆさぶってもらうのに好適だと思います。
本書は2000年に初版がでていますが、10年おきぐらいにこうしたインタビューを収録して世に示すということによって、従来の歴史学的な発明の流れとは異なる視点のための一座標系となるように思います。
2010年7月26日に日本でレビュー済み
著者が知識人たちにネットでそのものズバリ「2000年間で最大の発明は何か?」
と、問いかけ、集められた解答からの抜粋集。
ポイントは「この2000年間で」というところ(「人類史上」ではなく)。
「ごもっとも」という解答あり、「え゛ッ!!」という解答あり、さまざま。
含蓄や示唆に富んだ解答も多く、なるほど、と膝を叩きたくなるものもある。
スタニスラス・デハーネ(認知神経科学者)の「教育とは」を定義した一行には、知性の高さを垣間見るおもい。
★5つでもよかったが、4つとした理由は、
1.著者も認めているが、解答者がやや偏向していること。もっと幅広い知識人の解答を聞きたかった。
2.ネットでのやりとりということでやや遊び心に走っているところ。
3.必ずしも「2000年間で最大の発明」ばかりでないこと。質問は明確に「2000年間で最大の発明は何か?」なのに、ルール違反者が多すぎる。
と、問いかけ、集められた解答からの抜粋集。
ポイントは「この2000年間で」というところ(「人類史上」ではなく)。
「ごもっとも」という解答あり、「え゛ッ!!」という解答あり、さまざま。
含蓄や示唆に富んだ解答も多く、なるほど、と膝を叩きたくなるものもある。
スタニスラス・デハーネ(認知神経科学者)の「教育とは」を定義した一行には、知性の高さを垣間見るおもい。
★5つでもよかったが、4つとした理由は、
1.著者も認めているが、解答者がやや偏向していること。もっと幅広い知識人の解答を聞きたかった。
2.ネットでのやりとりということでやや遊び心に走っているところ。
3.必ずしも「2000年間で最大の発明」ばかりでないこと。質問は明確に「2000年間で最大の発明は何か?」なのに、ルール違反者が多すぎる。
2014年8月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
枚挙プラスアルファ程度で
そもそも
活字化対象にふさわしいか疑問
耳で聞き流す程度の意見集約に
感じました。
とにかく面白くない
そもそも
活字化対象にふさわしいか疑問
耳で聞き流す程度の意見集約に
感じました。
とにかく面白くない
2002年12月30日に日本でレビュー済み
どれを最大の発明とするかも興味深いが、今では当たり前のものがいつどのように発明されたかも知ることができる。当然のごとく享受している技術の恩恵は先人によるものだ。「井戸を掘った人間を忘れるな」ということわざが身にしみる。
2005年5月27日に日本でレビュー済み
本書は、第一線の頭脳たちがどんな価値観で文明の力(りき)を見て
いるかが分かるので非常に面白い。著者の企画にエールを贈りたい。
一方で、自分の価値観と対比すると、一冊で二冊分楽しめる。本書を
読み進める前に、自分でもこの2000年間の最大の発明を考えた。私が挙
げた上位3点 ①印刷、②数字(数学)、③ショットキーダイオードに対して
本書・第一線の科学者・思想家108人の選定は、それぞれ5、5、0であ
った。私が選定したショットキーダイオードの代わりに、真空管が1点リス
トアップされていた。これを見つけた時には思わず苦笑してしまった。
いるかが分かるので非常に面白い。著者の企画にエールを贈りたい。
一方で、自分の価値観と対比すると、一冊で二冊分楽しめる。本書を
読み進める前に、自分でもこの2000年間の最大の発明を考えた。私が挙
げた上位3点 ①印刷、②数字(数学)、③ショットキーダイオードに対して
本書・第一線の科学者・思想家108人の選定は、それぞれ5、5、0であ
った。私が選定したショットキーダイオードの代わりに、真空管が1点リス
トアップされていた。これを見つけた時には思わず苦笑してしまった。
2001年5月9日に日本でレビュー済み
本書は著者が主催しているWEBサイトにおいて、「2000年間での最大の発明」というテーマで意見投稿を募集し編集したものである。さすがに当サイトは著名な科学者や技術者、学者が意見を闘わせているところだけに、グーテンベルクの印刷術やインド-アラビア計数法、コンピュータ、電気といったオーソドックスな解答に留まらず、乾草、馬のあぶみと首当て、犂、消しゴムといった一ひねりも二ひねりもある解答が紹介されており、思わずにやりとさせられる所がいくつもあり大いに楽しめる本である。インターネットでの意見投稿のため他人の意見を参考にすることが可能で、最高の知識人が満を持してユニークな答えをぶつけていることも本書をより面白くしているのではないだろうか。最初から読む必要もなく、これはと思った所を拾い読みしても十分満足できる内容である。様々な分野の人の様々な文明論に接することができる一冊としてお勧めしたい。
他の国からのトップレビュー
mboaj
5つ星のうち4.0
Libro interessante
2017年8月3日にイタリアでレビュー済みAmazonで購入
Ho comperato il libro dato che ero interessato a un intervento di John Holland sui giochi da tavolo. Ma tutto il libro e' davvero interessante. Anche gli altri autori che hanno contribuito sono molto bravi nell'indicare quelle che secondo loro sono le piu' grandi invenzioni degli ultimi 2000 anni.