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放浪の天才数学者エルデシュ 単行本 – 2000/3/1
- 本の長さ294ページ
- 言語日本語
- 出版社草思社
- 発売日2000/3/1
- ISBN-104794209509
- ISBN-13978-4794209504
商品の説明
メディア掲載レビューほか
面白い本である。読み始めたら止められなくて最後まで一気に読んでしまった。その「面白さ」にはいろいろな要素があって,笑いがあり,驚きがあり,ドキュメンタリーな迫力があり,知的な収穫も大きいが,最も感動的なのは,常識はずれの天才をとりまく支援者の優しい心と,エルデシュ自身の純粋で真摯な生き方である。金銭に執着せず,持っている金は困っている人にあげてしまい,研究の業績に対して贈られた高額の賞金も奨学基金に寄付してしまう。論文の発想を惜しみなく若い研究者に分け与え,数多くの後輩を育てた。
日本語版の書名の通り,エルデシュは類いまれな天才であり,自宅を持たずに友人の家を泊まり歩く放浪の数学者であった。また奇行の多いことでも有名で,表紙にはコミカルなイラストが掲げられ「宇宙一おかしな男」というキャッチコピーが添えられている。
しかし,本書は変人を追いかけたゴシップ集ではない。確かに想像を絶する「常識はずれ」のエピソードがたくさん紹介されているが,それだけが本書の目的ではない。原著の書名は"The man who loved only numbers"(数学だけを愛した男)であって,1日に19時間も数学の研究に打ちこみ,83歳で亡くなる瞬間まで研究を続け,1475本もの論文を書いた学究エルデシュと数学のかかわりあいを詳しく紹介している。
著者はサイエンティフィックアメリカンの編集者などを歴任したジャーナリストで,エルデシュの魅力にとりつかれ,十数年にわたって取材を続けた成果が本書である。さすが一流のジャーナリストによって書かれただけあって読みやすい。数論やグラフ理論の面白さを,一般の読者にも理解できる言葉で巧みに解説している。
取り上げられている話題は広く,エルデシュが直接手がけたグラフ理論や数論のほか,数学基礎論,暗号理論,非ユークリッド幾何学など周辺の話題にもかなりのページを割いている。また,ラマヌジャン,ハーディ,ゲーデル,カントール,グラハム,レーマー,ベルマン,ノイマン,クラインなど,同時代の数学者もたくさん登場する。
エルデシュは1913年にハンガリーのブダペストに生まれた。そのハンガリーの歴史や第1次世界大戦,第2次世界大戦を経て今日までの社会的背景(特にユダヤ人問題)の記述も興味深い。
昔,数学者岡潔の生涯を描いた「好人好日」という映画があったが,そこでは数学的内容についてまったく触れていなかった。それに対し本書では,エルデシュが研究した数学の問題をかなり詳しく紹介しており,数学の面白さが生き生きと描かれている。素数や図形の好きな数学愛好家に最適の読み物。訳文はこなれた日本語で読みやすく数学的にも正確である。 (尚美学園大学 教授 戸川 隼人)
(Copyright©2000 ブックレビュー社.All rights reserved.)
-- ブックレビュー社
内容(「MARC」データベースより)
登録情報
- 出版社 : 草思社 (2000/3/1)
- 発売日 : 2000/3/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 294ページ
- ISBN-10 : 4794209509
- ISBN-13 : 978-4794209504
- Amazon 売れ筋ランキング: - 264,273位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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数学という世界に「はまる」とはどんなことか、少しわかる気がする。子どものころから好きな数があったり、クルマのナンバーや電話番号などの数を見るたびに「これはどんな素数の掛け合わせか」などと考えてしまうような頭の構造である。未読だが『ぼくには数字が風景に見える』も、そんな世界を示唆している。数字とは違うが、モーツァルトにとっての音楽も同じようなものかもしれない。彼らはサヴァン症候群だとされているが、いずれにせよ、音や数字に感じるものが、常人のそれをはるかに超越しているのだ。
本書を読む中で「数学」とは何だろう、と少し考えるところがあった。数学とは、数という人間が発明した仕組みの中に規則性を発見する科学である。その意味では、数はあくまで人間が発明したものであって、発見したものではない。そうであるが故に、その規則性や法則性も人間が生み出した所産の内に含まれている。だから、数学は自然科学ではなく、人文科学なのである。数学が物理等の自然を記述するための道具として活用されるとしても、である。
本書に戻ると、エルデシュはその論文の共著者が多いことで知られ、彼と実際に共著した相手は「エルデシュ番号1」が与えられている。エルデシュ番号1の人と共著がある人は「エルデシュ番号2」、そしてその人と共著がある人は「エルデシュ番号3」となる。それほどの数学界の巨人ということなのである。
その中で、ぼくが気に行ったエピソードは、「ルース・アーロンペア」を巡るものだ。ルース・アーロンペアとは、ベーブ・ルースの本塁打記録714号とハンク・アーロンが放った715号との間に、ある規則性のある関係があるということを解析してみせた数学者がいて、その数学者とエルデシュは共同で論文を執筆した。
その論文が元になってエルデシュとハンク・アーロンはある大学から名誉学位が与えられた。その授与式の際に、エルデシュとアーロンは同じ野球ボールにサインをした。だからアーロンは、野球選手でありながら「エルデシュ番号1」を持っているというエピソードだ。
もっともエルデシュは学位授与式の間中、下を向いて別の問題を解いていたらしいのだが・・・(笑)。
ポール・エルディシュの生涯を中心とした記述ですが、数学の問題や、
またエルディシュと同じような天才数学者達の話も多いです。
数学の魅力、美しさも当然紹介されていますが、
天才数学者達の悲劇も同じように紹介されており、
数学の光と闇を表現しているところに好感が持てます。
そしてエルディシュについて。
エルディシュの奇行は他のレビューで説明されていますが、
彼の特徴として数学の真理に挑むために「他の数学者と協力する、フォローする」
という行動を取った点です。そう、彼一人だけでは真理に到達できないから、
いろんな数学者と共同研究をし、議論し、また数学への興味を持たせ、金銭的な援助や励ましの言葉を送るのです。
そして、実はエルディシュは数学だけが好きではありません。
エプシロン{子供のこと)も愛していた、という人間らしさもあります。
さらに恵まれない障害者や貧困者を出来る限りバックアップしていて、そういう方を救うこともスキだったようです。
まさに奇人で天才であるエルディシュですが、
我々が共感できるような人間らしさがあることは覚えておいたほうがいいかと思います。
お勧めの本です。
数学以外の全てを周りの人にゆだねる。
こんな人近くにいたら大変だろうな・・・と思いつつも、
数学に対する才能と同時に他人を導く才能と、茶目っ気と暖かさ、優しさ。
愛さずにはいられません。
本を通して、数学の歴史や裏エピソードなど、ふんだんに盛り込まれているので、
数学がわからなくても、楽しく読み進められました。
エルデシュがどんどん好きになるでしょう。
しかし書籍としては、サイモン・シン著書には届かないかな、
ということで★4つ。
それでも圧巻のおもしろさ。
本の終わりが近づくにつれ、エルデシュ先生との別れを予感しさみしい気持ちになりました。
たぶん今私の周りにこんな人がいたら思いっきり迷惑(ゴメンナサイ)と思うかもしれないけれど
それを上回る人間的魅力があった人なんだろうなと思わせられます。
わたしは数学は門外漢ですが、ここ何か月論理パズルにはまっています
(代表的なものに【嘘つき村の住人】というものがあるあれです)。
凡人の私にはなかなか法則性を見出すことはできず、遠まわりしながら一問一問解いています。
でもその時間が無性に楽しく思え、紙と鉛筆だけで事足りるという点では数学と通じるものがある、と
目前に大海が、いえ宇宙が広がるに等しい数学という学問に少し近づけた気がしました。
解けないのはなかなかにつらいものがありますが、それでも難題に向かう面白さを
ようやく知れた気がしています。
エルデシュさんの独特の言い回しが面白いですし、朝の五時に数学者の友達に電話を掛ける話に代表される
逸話もとても面白かったです。
好きなものに心血を注いだ一生だったと思います。
しんどいけれどエキサイティングな毎日だったんだろうな。
本を買うたびに裏表紙に買った日付を書いています。
それによるとこの本を買ったのは「2000.5.16」とありました。
おそらく出版されてすぐに買ったのだと思われます。
何かの書評でしり、おもしろそう!と思ったんです。
ところが今の今までずーっと放ってありました。
17年目にしてやっと読みました。
本書が。
それ以上に、エルデシュという、人間が。
本書は、定住の地を持たずに世界中を渡り歩き、生涯1500本もの論文を発表した稀代の天才数学者ポール・エルデシュの生涯と、彼を取り巻くはたまた天才の数学者たちについての物語である。
彼の人物像を端的に表す、逸話がある。
朝の5時にエルデシュの友人数学者の自宅のチャイムが突然けたたましく音を立てる。
玄関先に立っているエルデシュは、こう切り出す。
「君の頭は営業中かね?」
また、ある年のクリスマス・イブにも、別の友人宅のチャイムが鳴る。
「メリー・クリスマス!
さて、f(n)を以下のような関数とすると、・・・」
3歳で3桁の掛け算を暗算で行ったというエルデシュは、その長い生涯を終えるまで、1日19時間数学と向き合った。
一般的な知名度こそ他の有名な数学者に劣るが、彼が数学史の上で伝説的な人物であり、歴史上屈指の天才であったことは、疑いようがない。
彼と共同で論文を書いた人を1とするエルデシュ数という数を知っている人も多いだろう。
本書では、膨大な数に上るエルデシュ数1の数学者へのインタビューを通して、世界に翻弄され、世界を翻弄したエルデシュの生き様が克明に描き出されている。
その深い洞察力や、数学に対する誠実さ、加えて随所に垣間見える彼の優しさは、わがままで扱いづらいエルデシュがそれでもこれほどまで愛された理由である。
本書が与えてくれるもの、それは学問に取り組むものの真摯な態度とはどういうものか、ということだけではない。
小説よりも奇なる事実が、そこにある。
彼を愛した人々が語った、天才数学者の生涯を綴るエピソード集。
数学の楽しさがどこにあるか分からない、という人にもその面白さが伝わるのではないかと思います。
他の国からのトップレビュー
Amazon is slowly destroying publishing houses and I have to stop ordering my books from here.
And this printed paper is so good!