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うそつき: うそと自己欺まんの心理学 単行本 – 2002/4/1
うそのすべてがわかる決定版!
●本書から
・人は自負心を保つために自分にうそをつく。
・自分にうそをつくのが下手な人は、うつ病になりやすい。
・人はうそをつく能力は高いが、うそを見破る能力は低い。
・警官、税関検査官などのうそを見破る能力は、一般人となんら変わらない。
・権力を求める政治家には自己愛的な人が多く、その人格特性がうそを助長する。
・病的なうそつきは、脳の機能不全と関連のあることが多い。
・うそが非道徳的とされているのは、権力構造の維持に役立つからである。
・集団内で相互に強化される自己欺まんが、最も恐ろしい問題をひきおこす。
・うそは人間関係の調整、不安や苦痛への対処、種としての存続、そして個人として栄えるために不可欠の要素である。
- 本の長さ366ページ
- 言語日本語
- 出版社草思社
- 発売日2002/4/1
- ISBN-104794211341
- ISBN-13978-4794211347
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商品の説明
商品説明
その問題に正面から取り組んだのが本書。精神科医・大学教授である著者は数多くの研究を参照し、あらゆる角度から「うそ」の実体を探りだそうとする。科学的な興味を満たしてくれるのはもちろんだが、著者の成熟した人間観が随所にうかがえ、哲学的にも含蓄に富んだ書物となっている。
まず目を引かれるのは、本書がうそというものに対して道徳上の判断を持ち込んでいないことだ。うそは「人生の主要部分、おそらくは中心部分をすらなすもの」で、それが善か悪かはあくまで他者との関係において決定されるという。うそを覚えるのは、人間の成長上重要なプロセスであり、いうまでもなく、対人関係を円滑に運ぶためにもうそが不可欠だ。また、自負心や精神の平衡を保つには自己欺瞞(ぎまん)が必要で、多くのうつ病患者は、自分自身にうそをつくことが苦手だとされる。
といって、当然ながらうそを称揚しているわけではない。その危険性についてもじっくり検証し、慢性的にうそをつく子どもは将来犯罪に結びつきやすいとか、うそつきには遺伝的傾向が見られるといったいささか深刻な研究結果も披露している。また、「氏名・身分詐称(インポスチャー)」、大げさに病気をよそおい、空想虚言をろうする「ミュンヒハウゼン症候群」など、病的な症状についても取り上げ、医学・心理学の両面から考察する。読み進むほどに、人間の心がどれほど果てしない謎に満ちているかを思い知らされる。
実際、われわれの生活は数えきれないほどのうそに囲まれている。だからこそ、そのひとつひとつが人間を知る手がかりなのだ。友人や家族のうそを責める前に、もう一度相手のことを見つめなおしてみるとよいかもしれない。ただし、こんなことを言ってられるのも、それが悪質なうそでなければ、の話だろうが。(大滝浩太郎)
内容(「MARC」データベースより)
登録情報
- 出版社 : 草思社 (2002/4/1)
- 発売日 : 2002/4/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 366ページ
- ISBN-10 : 4794211341
- ISBN-13 : 978-4794211347
- Amazon 売れ筋ランキング: - 514,249位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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私が子供の頃から、自分の親の素行の幼稚さや欺まんを感じていました。
今は、その原因がパーソナリティ障害だと分かるのですが、
1人の人間が、なぜここまで幼稚な嘘をつくようになったのかという点に素朴に興味を持つようになり、
その背景や心理を探るため、本書を手に取りました。
本書の、先入観を排し、うそに関する分析・考察を多面的に進めているところに好感を持ちました。
内容も段階的に深層へと進み、徐々に理解が深まっていく構成です。
他の論文や実験結果からの記述も多数あり、その引用元の詳述がやや弱いなと感じはしましたが、
推論のみにとどまることなく、データに基づいてうその真相に迫ろうとしています。
その姿勢に、著者の真摯さを感じました。分量も300ページを越え、読み応えもありました。
「うその学習」の章で、こどもがつくうそが、成長とともにどのように変わっていくかという記述から、
私が親に対して感じていた幼児性が、真実だと裏付けられたように感じました。
自己肯定感の欠乏が原因の、有能を装う見せかけ、ハッタリ。
一転して、他人への依存過剰が生む、詐病や自殺願望。
やっぱりそうだったのか、と腑に落ちるところが多くありました。
一方、社会に目を向けると、よくまぁ、しゃあしゃあと・・・と呆れるほど、不正・偽装・言い訳が溢れています。
個人、組織、職種、国を問わず、欺まんが広がっているように感じませんか?
本書には、生物学的にうそを考察している記述があります。
食うか食われるかの生存競争に迫られる生物にとって、他種を欺く擬態は必要なのです。
では、食物連鎖の頂点にいる人間にとっての「うそ」は、どんなものなの?とも考えさせられます。
自分が有能であるかのように振る舞ったり、利益を独占しようとしたり、
他人を欺いて自分が優位に立とうとしたり・・・
人間だって他の生物となんら変わらねぇなと、深いため息が出ました。
前半は動物の擬態とか、精神病理に関しての考察が書かれているところは、専門家でもない私には、この分類は退屈だったことは否定出来ない。しかし後半になると俄然面白くなる。
管賀江留郎「 冤罪と人類 道徳感情はなぜ人を誤らせるのか 」という本がある。道徳感情が冤罪を導くという、鋭い考察がある。さらに言えば、今回読んだこの本ではベテランの刑事や税関役人でも、うそを見抜く精度は、素人の考察と大して変わらないというデータを述べていて、なるほどと頷いた。さらにこの対照実験はかなり科学的なので、参考になる。
また、鬱病の人の方が現実的な観察をしており、健常者の方が自己欺まんに囚われていて、鬱病の人は、自己欺まんのメカニズムを利用する能力が衰えた症状という全く逆の考察がすばらしい。
古い本であるが、岸田秀「 ものぐさ精神分析 」という名著を思い出した。フロイトの精神分析学を「社会心理学」に置き換えるという「荒業」を繰り広げ、文化論として述べた本である。また、吉本隆明「 共同幻想論 」というこれまた名著のことも思い出した。今回の本で書かれていた「個人神話」、「集団神話」なる言葉も吉本隆明氏の「個人幻想」、「共同幻想」に全く入れ替えが可能である。そうやって色々と考えると、日本の著書も侮れないものだと考えたりもした。
「人は自分にうそをつくために他人にうそをつく」
「人間は、自分のいうことを自分で『信じている』ときに、より効果的にうそをつく」
「うそをつく人間とつかれる人間の両者が共謀して事実をわい曲する」
「うそのつき手あるいは聞き手のいずれか一方が主犯というわけではい。うそは双方向進行の、二者関係による力学的作用なのである」
「優秀なセールスマン同様に政治家もまた、選挙民を相手に、選挙民の聞きたがっていることを語る。この関係は双方的なもので、政治家が有権者の自己欺まんを代弁することもある」
「うその基本的技法とは相手の聞きたがっていることを語ることである」
「人が真実のなかに求めているのは『いいニュース』だけ」
「正真正銘の真実を聞かされてがまんのできる人間はそういないものである」
「幸福というものは、その希少性からして一つの精神障害として分類されるべきものだ」
(この辺はシオランを読んだ時を思い出した位だ)
「男が女に、また女が男に自分を見せる際には、隠れた本能的な力がある種のうそを助長する」
「うそを語る特権なしには、文学をはじめとして芸術の世界が存在しない」
(オスカー・ワイルドも同じことを語っている)
「記憶とはわれわれの存在そのものである」
「人間の語る身の上話などというものは、いかに筋が通り、一見もっともらしいように思われるものであっても、その人の過去の歴史的事実とはあまり関係のないものだ」
「自分の人生に首尾一貫したものや意味を見出そうというときには、正確な恣意的事実など重要ではないということもある」
「真実はうそというものは、それ自体では道徳的なものでも非道徳的なものでもなく、単なるコミュニケーションの形態にすぎない。その道徳的価値が判断されるのは、他者との関係においてそれがいかに用いられるかのよってである」
これらは訳者の後書きにかかれていたものであるが、名言が多い内容だと一様にわかるというものだ。
ちなみに、フロイトは哲学者ニーチェの影響が間違いなくあるにも関わらず、それを隠し通していたという卓見がある。ニーチェは「信念というものは真実にとってうそ以上に危険な敵である」という名言があるが、信念ほど厄介な存在もなく、これによって人は自己欺まんによって現実的な真実をわい曲したり、隠蔽したり、ごまかしたりするのだ。しかも、多くの人はそれ(自己欺まんそのもの)に酔いしれたりするのだ(欧米の政治家に多い特徴である)。
「いい結果は自分のせいにするが、悪い結果は自分のせいではないとすることは、自負心を維持または強化するための抵抗のメカニズム」と喝破する。
逆に言えば「健常者」であるからこそ、自己欺まんのメカニズムが存在しており、鬱病にかかっている人のほうが、状況に対する自分の支配力をより現実に判断しているのである。
プロのポーカー師などのあいだでも、ほとんどの人は情報を正確に解読するよりも、うその情報を送るほうを得意とするという。うその感知に対する自身と、その仕事の正確性とのあいだには関連性がないと断言する。だから「うそを見破る」という、プロの自信は却って邪魔であり、「自己の能力に対する過信をもたらし、判断を下すにあたって紋切り型の基準を用いる結果になり、したがって、もっと有効な手がかりの学習や活用が妨げられることがある」という。うそを見破ることに関しては、「自分の判断が正しいと確信している人はど多く間違う傾向を示す」という。だから冤罪が存在するのだ。
これらは全て無意識で起こることであり、意識的にはほぼ不可能である様だ。だからこそ、この本は良く読んだ方が良い。
「学校で教わる『うそつき出世せず』という教訓は、現実を教えるというよりも理想を語るものである」。この名言は本当だ。
上司の前では完璧な説明をするが、出鱈目。上司がしきりに感心するので周りは話の腰を折れない。
まさに1人の切れ者とその他の間抜け状態でした。
目の前の情報だけで話をでっちあげるのでその場は完璧でした。但しそれ以外の情報を合わせると整合性はとれない。
この本は全体の構成がすごい。前半中ほどに、動物の擬態などについてチンタラ述べているが、後半になって「人間を含めた動物の嘘は防衛反応から来る。」に繋がっていく。但し嘘が原因で本人の評判が落ちるなど必ずしも生き残りの為にならない場合もある。それが病的ということであろう。
また「政府は自分を守る為に嘘をついたのだ。」と納得する人々もいるとの鋭い指摘。この学者は政治についても一家言ある。
まさに天才の仕事だと思った。
(読後2年経ったので内容に齟齬があるかもしれませんが、いまだに心に残るいい本です。)
ちなみに生真面目で告げ口の嫌いな自分は、契約満了でそのままその職場とは縁が切れてしまった。その彼は、その後も形を変えながらもその職場で働いているらしい。つまり自分の生真面目さは生き残りには役に立たず、彼の嘘は生き残りに役に立ったのである。彼は嘘つきではあるが病人ではないのであろう。
_非常に中身が濃くて面白く,将来的に是非もう1度読もうと思いました。
_本書は,うその精神医学的分析を大衆向けに解り易く解説するかと思いきや,実際は結構本格的内容でした。大学学部生レベル向けの内容な感は受けました。一度読んだだけでは,理解し切れない程中身が濃いです。
_本書中,至る所で色々な専門家の研究結果を紹介しています。
_本書では,記述が非常に体系的に纏まっていて読み易くなっています。人間の心理的力動,行動について言及する際,著者は一般的記述を主に行い,(読者にはそれだけでは伝わりにくいであろうから?)その後に多くの具体例を示す事で,何を言っているかがとても把握し易くなっています。その際の具体例も,非常に日常に密接に関わる物や,人生上経験しうる・観測されうる物であるので,リアルに伝わってきます。
目次:
_01章=人はみな嘘をつく。
_02章=うその分類。
_03章=うその生物学的考察。
_04章=うその学習-子供の成長とうそ。
_05章=人はなぜうそをつくのか-うその決定因。
_06章=うそのスタイル-人の性格を果たす役割。
_07章=病的な嘘つき。
_08章=うそに生きる人たち。扱うのは,氏名・身分詐称者,(代理)ミュンヒハウゼン症候群,単純虚偽性障害。
_09章=記憶,告発,告白の嘘。施療者に拠って治療者はありもしない記憶を植えつけられる等。
_10章=うその見破り方。嘘ついている人の反応。税関・警察・精神分析家など人間の嘘を検証する事に携わる人間は,平均的な人間と同レベルのうそを見破る正答率にもかかわらず,紋切り型の判断基準(目線が定まっていない等)によって,人を嘘つきとみなす傾向が強く,その自信と嘘を見抜いた成績は負の相関がある,事等を指摘。
_11章=嘘つきの治療。
_12章=うその功罪。
_13章=うそと自己欺瞞の心理学-むすびとまとめ。
なるほど納得できる本でした。
嘘をつく人たちに対処できる自分の知識を身に着けるに良い本。