人類史は、特にその年代論など学界でも揺れ動き、意見の一致が難しい問題が多々ありますが、この著作は学界の主流はとは言えませんが相当以上に納得がいきます。仮説に矛盾がないからです。
特に現生人類の出アフリカの年代については、現在の学会の多数派とは異なる見解のようですが、状況証拠的なものとの組み合わせでの推論は学界多数派の方に疑念を抱かざるを得ないほど合理的です。
詳しいことは他のレビューの方々をご参照頂ければですが、多角的な視点で一番矛盾のない仮説を立て検証しようという著者に姿勢にはとても好感が持てました。人類史全般の入門書としてはちょっと難しいかもしれませんが、何冊か同様の本を読んだ後だと非常に考えさせられる1冊だと思います。
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人類の足跡10万年全史 単行本 – 2007/8/31
スティーヴン オッペンハイマー
(著),
仲村 明子
(翻訳)
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全人類の共通祖先は、アフリカにいた一人の女性までさかのぼる──
1988年に発表されたミトコンドリア・イヴ仮説は、世界に大きな衝撃を与え、
以来世界中でDNA分析による人類系統樹づくりが進められている。
本書はその最新の成果に、化石記録と気候学的証拠とをつきあわせ、系統樹だけでなく、
人類がアフリカからいかにして世界各地すみずみまで拡がったか、その足取りを追跡したものだ。
人類の祖先がアフリカを旅立ったのは、8万5000年前。
その旅立ちはただこの1回しか成功しなかった。
つまり、今日の非アフリカ人はすべてこの時アフリカを出た小さな集団の子孫なのだという。
なぜ一度きり、なぜこの時だったのか?
この問いが、ヨーロッパ人の起源、モンゴロイドの起源、先住アメリカ人の祖先について、
従来の常識を覆す衝撃的な見解へと導いていく。
一体いかなる道を通ってわれわれは今ここにいるのか?
その足跡はいかなる形で受け継がれているのか?
火山の大噴火、気候の激変、海水面の大変動、さまざまな危機を乗り越えた祖先たちの痕跡を追い、人類の壮大な歴史を読み解く!
1988年に発表されたミトコンドリア・イヴ仮説は、世界に大きな衝撃を与え、
以来世界中でDNA分析による人類系統樹づくりが進められている。
本書はその最新の成果に、化石記録と気候学的証拠とをつきあわせ、系統樹だけでなく、
人類がアフリカからいかにして世界各地すみずみまで拡がったか、その足取りを追跡したものだ。
人類の祖先がアフリカを旅立ったのは、8万5000年前。
その旅立ちはただこの1回しか成功しなかった。
つまり、今日の非アフリカ人はすべてこの時アフリカを出た小さな集団の子孫なのだという。
なぜ一度きり、なぜこの時だったのか?
この問いが、ヨーロッパ人の起源、モンゴロイドの起源、先住アメリカ人の祖先について、
従来の常識を覆す衝撃的な見解へと導いていく。
一体いかなる道を通ってわれわれは今ここにいるのか?
その足跡はいかなる形で受け継がれているのか?
火山の大噴火、気候の激変、海水面の大変動、さまざまな危機を乗り越えた祖先たちの痕跡を追い、人類の壮大な歴史を読み解く!
- 本の長さ416ページ
- 言語日本語
- 出版社草思社
- 発売日2007/8/31
- ISBN-104794216254
- ISBN-13978-4794216250
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登録情報
- 出版社 : 草思社 (2007/8/31)
- 発売日 : 2007/8/31
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 416ページ
- ISBN-10 : 4794216254
- ISBN-13 : 978-4794216250
- Amazon 売れ筋ランキング: - 159,372位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 51位サル・人類学
- カスタマーレビュー:
著者について
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カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2016年3月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2011年12月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
長いレビューを読みたくないという人もいると思うので,とりあえず結論を先に述べておきます.レビュアーがどうしてこういう結論に至ったかもう少し詳しく知りたいという(奇特な)方はその先までどうぞ.
4) まとめ
訳文については好みもあると思うが,私にはまあまあ明晰なほうだと思われる.議論は総合的かつ緻密で,この分野に興味のある読者にとっては非常に価値の高い内容である.ただし,原著にあった参考文献一覧を省いたのは許し難い暴挙であり,これによってこの訳書の科学的・学術的価値は大きく損なわれている.英語が苦にならない人は原著を買う「べき」である.この非常に大きな「欠陥」よりも内容面での圧倒的な価値のほうが高いと考え,☆ 4 つの評価とさせていただいた.
0) はじめに
まず,この本をレビューする前に,レビュアーがどのような背景を持った人間か説明しておくと,(1) 言語学が専門で,言語学に関係する様々な授業を大学で担当しており,(2) 大学院での専門は脳や神経細胞の集団にどのような情報の表示や計算が可能かなどの問題(と言語のかかわり)であり,したがってこの本で採り上げられている遺伝子や DNA, 進化生物学や人類の進化などの話題についてはあらかじめ知識があり,(3) 校正にかかわる仕事の経験が数年あり,その際専門的に訓練を受けたことがある.
1) 本の内容について
かなり新しい知見がふんだんに盛り込まれており,また論証の方向は多岐にわたっていて,人類の出アフリカ以来の足取りが丹念に追跡されている.とりわけ,DNA からの証拠と地質学的・考古学的証拠を緻密に突き合わせることによって出アフリカの年代・ルートを特定するくだりについては非常に説得力がある.ただし,人類多地域進化説を否定するためにかなりのページを割いて執拗なほどの議論を行っている部分については,この妄説がヨーロッパ人優位の人種差別観と抜き難く結びついており,全ての科学的な証拠が多地域進化説を否定しているにもかかわらずしぶとく生き残っているという現状が日本ではなかなか理解しにくいため,違和感を感じる読者がいるかもしれない(が,今述べた理由で非常に重要な議論であり,本書の価値はこの議論によってさらに高まっている).ハプログループに愛称をつけたのも(実は最初はくだらなく思えたが)よいアイデアであり,理解の助けになっている.
2) 訳について
訳文にありがちな生硬な文体ではあるものの,悪文というほどではなく,原著者の緻密な論証を比較的正確に追いかけてゆける文章である.ただし,読者がこのような翻訳特有の文体に慣れているかどうか,書かれている内容についてある程度予備知識があるかどうかによって読みやすさは大きく変わってくるだろうし,少なくともこなれた名文とまでは言えない.また,他のレビュアーの方も指摘しているように,ひょっとしたら誤訳ではないかと疑わせる部分も(わずかにではあるが)存在する.私にとっては読むのが困難になるような障害ではなかったが,何ぶん大著なので,気になる人はあらかじめ本屋などで実物を手に取って確かめてみたほうがよいかもしれない.
3) その他
原著にあった参考文献一覧を割愛したのは許し難い暴挙である.このため本書の議論のもとになっている論文などを直接参照するのは不可能または困難であり,原著の学術的な価値はこの訳書ではぶち壊しになっている.科学にとっては検証可能性が最も重要であり,結論が読者にとって心地よいかどうかではなく,結論に至る過程が客観的な証拠によって論理的に組み立てられているかどうかが議論の科学的な価値を大きく左右する.証拠の客観性を担保するためには個々の証拠が必要に応じて検証できる形で提出されていることが必要であり,原著はこの科学にとって基本的な手続きを(当然ながら)踏まえていたのだが,本訳書ではその部分がすっぱり抜け落ちてしまっている.より一般向けにしようという考えからなのかもしれないが,出版社の科学に対する全くの無理解の表れであり,もしそうではなく,一般の読者には科学的な手続きなどはどうでもいいだろうという考えから行われたとすれば,これほど読者をバカにした行為はない.なお,原著者による注も省かれている.
4) まとめ
訳文については好みもあると思うが,私にはまあまあ明晰なほうだと思われる.議論は総合的かつ緻密で,この分野に興味のある読者にとっては非常に価値の高い内容である.ただし,原著にあった参考文献一覧を省いたのは許し難い暴挙であり,これによってこの訳書の科学的・学術的価値は大きく損なわれている.英語が苦にならない人は原著を買う「べき」である.この非常に大きな「欠陥」よりも内容面での圧倒的な価値のほうが高いと考え,☆ 4 つの評価とさせていただいた.
0) はじめに
まず,この本をレビューする前に,レビュアーがどのような背景を持った人間か説明しておくと,(1) 言語学が専門で,言語学に関係する様々な授業を大学で担当しており,(2) 大学院での専門は脳や神経細胞の集団にどのような情報の表示や計算が可能かなどの問題(と言語のかかわり)であり,したがってこの本で採り上げられている遺伝子や DNA, 進化生物学や人類の進化などの話題についてはあらかじめ知識があり,(3) 校正にかかわる仕事の経験が数年あり,その際専門的に訓練を受けたことがある.
1) 本の内容について
かなり新しい知見がふんだんに盛り込まれており,また論証の方向は多岐にわたっていて,人類の出アフリカ以来の足取りが丹念に追跡されている.とりわけ,DNA からの証拠と地質学的・考古学的証拠を緻密に突き合わせることによって出アフリカの年代・ルートを特定するくだりについては非常に説得力がある.ただし,人類多地域進化説を否定するためにかなりのページを割いて執拗なほどの議論を行っている部分については,この妄説がヨーロッパ人優位の人種差別観と抜き難く結びついており,全ての科学的な証拠が多地域進化説を否定しているにもかかわらずしぶとく生き残っているという現状が日本ではなかなか理解しにくいため,違和感を感じる読者がいるかもしれない(が,今述べた理由で非常に重要な議論であり,本書の価値はこの議論によってさらに高まっている).ハプログループに愛称をつけたのも(実は最初はくだらなく思えたが)よいアイデアであり,理解の助けになっている.
2) 訳について
訳文にありがちな生硬な文体ではあるものの,悪文というほどではなく,原著者の緻密な論証を比較的正確に追いかけてゆける文章である.ただし,読者がこのような翻訳特有の文体に慣れているかどうか,書かれている内容についてある程度予備知識があるかどうかによって読みやすさは大きく変わってくるだろうし,少なくともこなれた名文とまでは言えない.また,他のレビュアーの方も指摘しているように,ひょっとしたら誤訳ではないかと疑わせる部分も(わずかにではあるが)存在する.私にとっては読むのが困難になるような障害ではなかったが,何ぶん大著なので,気になる人はあらかじめ本屋などで実物を手に取って確かめてみたほうがよいかもしれない.
3) その他
原著にあった参考文献一覧を割愛したのは許し難い暴挙である.このため本書の議論のもとになっている論文などを直接参照するのは不可能または困難であり,原著の学術的な価値はこの訳書ではぶち壊しになっている.科学にとっては検証可能性が最も重要であり,結論が読者にとって心地よいかどうかではなく,結論に至る過程が客観的な証拠によって論理的に組み立てられているかどうかが議論の科学的な価値を大きく左右する.証拠の客観性を担保するためには個々の証拠が必要に応じて検証できる形で提出されていることが必要であり,原著はこの科学にとって基本的な手続きを(当然ながら)踏まえていたのだが,本訳書ではその部分がすっぱり抜け落ちてしまっている.より一般向けにしようという考えからなのかもしれないが,出版社の科学に対する全くの無理解の表れであり,もしそうではなく,一般の読者には科学的な手続きなどはどうでもいいだろうという考えから行われたとすれば,これほど読者をバカにした行為はない.なお,原著者による注も省かれている.
2013年1月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
本自体はいままでの書評から良い本と知っており是非読みたいと思っていたが 今回入手して実に丁寧に保管されていた本であることが判り本当に嬉しく思った。梱包もしっかりしており さすがAMAZON !
2017年11月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
4日で読み終えました。素晴らしい論述で、興味が湧き、何回もページを前に戻って読んだりしました。息子が、生物系を志望していることもあり、友人との会話の中で、「人類の足跡」で感銘を受けたとの事で、すぐに、中古ですが購入しました。内容は、他の方々が述べられているので、書きませんが、やはり、原著にある、文献が記載されていない事に、すぐ、気付き、原著を注文しています。後、1週間程で届くので楽しみにしています。
この本を元に、何か論文を書こうとしても、Referenceがないので、Primary sourceに辿り着けないので、論文著者の主張をサポート出来ない可能性が高く、英語が読める方、あるいは、辞書を紐取りても分かりたいのなら、原著をお薦めしたいです。
大きなスケールの本ですので、訳者さんには、Reference付きで、再出版して欲しいです。私は、いらないです。あくまで、英語を読めない方々向けのために。
この本を元に、何か論文を書こうとしても、Referenceがないので、Primary sourceに辿り着けないので、論文著者の主張をサポート出来ない可能性が高く、英語が読める方、あるいは、辞書を紐取りても分かりたいのなら、原著をお薦めしたいです。
大きなスケールの本ですので、訳者さんには、Reference付きで、再出版して欲しいです。私は、いらないです。あくまで、英語を読めない方々向けのために。
2009年2月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
人類が15万年以上前、アフリカで出現してから、8万5千年前に、アラビア半島南部から、インドに向けて、海外沿いに、単一の集団によって、アフリカから出たことを、現在、地域に住んでいる人々の細胞内の卵子由来ミトコンドリアDNAと 核内Y 染色体の遺伝子分析によって、明らかになったことを解説している。遺伝子の分析だけでは、変異の起こる年代は確率的に推定することしかできないので、遺跡の分析や、氷河期の解析によって人類が踏破可能な移動経路を確定しながら、年代を確定していく。
人類は、インドから東南アジアへ、そしてさらに、オーストラリアへと渡った。また、人類は、アジアの海岸線を北上しながら、2万5千年前に、ベーリング海の陸橋を渡り、アメリカ大陸に到達し、アメリカ大陸では、海岸ルートと内陸部との二つの路をたどりながら、南アメリカまで達したことを明らかにしている。また、ヨーロッパへは、約5万年前に、最初にヨーロッパに進出し、遅れて、二度目はアジアから進出が行われた。
アジアについては、詳細な分析を行っており、縄文人も、何箇所かにわたって触れられている。「DNAでたどる日本人10万年の旅」(崎谷満)とあわせて読むと、出アフリカから、日本列島への移動が理解できる。
そのため、アフリカを出た、人類のDNAにおける多様性が少なく、生物進化という点では、人類は困難を孕んだ存在である事を、著者は、最後に吐露している。
また、この種の書籍にありがちなヨーロッパ人優越思想を、著者自身が振り解きながらの極めて詳細な分析には敬意を超えて尊敬していまう内容です。
現代人について行ったDNA解析の手法については、知っている事を前提に解説しているので、引っかかる人もいるのかも知れませんが、全体として、きわめて平易に論証されていると思いますが、何度か読まないと理解できないほどの論証がされています。
人類は、インドから東南アジアへ、そしてさらに、オーストラリアへと渡った。また、人類は、アジアの海岸線を北上しながら、2万5千年前に、ベーリング海の陸橋を渡り、アメリカ大陸に到達し、アメリカ大陸では、海岸ルートと内陸部との二つの路をたどりながら、南アメリカまで達したことを明らかにしている。また、ヨーロッパへは、約5万年前に、最初にヨーロッパに進出し、遅れて、二度目はアジアから進出が行われた。
アジアについては、詳細な分析を行っており、縄文人も、何箇所かにわたって触れられている。「DNAでたどる日本人10万年の旅」(崎谷満)とあわせて読むと、出アフリカから、日本列島への移動が理解できる。
そのため、アフリカを出た、人類のDNAにおける多様性が少なく、生物進化という点では、人類は困難を孕んだ存在である事を、著者は、最後に吐露している。
また、この種の書籍にありがちなヨーロッパ人優越思想を、著者自身が振り解きながらの極めて詳細な分析には敬意を超えて尊敬していまう内容です。
現代人について行ったDNA解析の手法については、知っている事を前提に解説しているので、引っかかる人もいるのかも知れませんが、全体として、きわめて平易に論証されていると思いますが、何度か読まないと理解できないほどの論証がされています。
2018年7月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
10万年余に渡る人類の歴史が段々明らかになっている。人類学や考古学の学者の先生方に敬意を表したい。現人類から類人猿までの間が私の学生時代から比べると雲泥の差があるほど立証されてきている。はしがきの冒頭部分での空港で飛行機に乗り合わせる人々、七人の人間が皆最終的にはアフリカの男性と女性を祖先に持つと言うくだりを読んで思わず笑ってしまった。我々いや私は特別でありたいという幻想を持ちたい人間にとって、身も蓋もない話だ。人類は”族”だ”家”だ”国”だと言う迷妄がどれほどのものかは、首相Aやその妻Aの言葉だけの丁寧さにうんざりさせられるし、財務大臣Aの”俺は生まれはいいが、育ちがわるい”などと言って責任逃れを決め込んで平然としている。あるいは、東大卒の頭脳明晰で”俺たちが、この国を動かしている”などといった思い上がった連中に至ってはウソのつきほうだいだ。かくのごとき彼らと祖先が同じとは嫌になる。けれども、最後のほうにある人類は今も進化の途上にあると息子さんに語る。人類は進化してもじどうり”賢い人”になれるか。
2008年4月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「人はどこから来て、どこへ行くのか?」という哲学的な問いは誰もが一度は気に掛かったことがあったでしょう。このうち、前半の「人はどこから来たのか?」については、この本に書かれているように分子生物学の発展でだいぶ分かってきました。
― すなわち、人類はアフリカで誕生し、アフリカを出たたった一つのグループが分岐して、世界中に広がった。
この著者によると、現生人類の「出アフリカ」は1回きり。その一握りの人たちが、現在アフリカ以外に住んでいる人たちすべて(ヨーロッパ人もアジア人もミクロネシアの人たちも)の祖先だそうな。
この本のよいところは、そうした人類の移動と拡散を全地球的は規模で語っているところでしょう。
人類のアジアへの進出についても、かなりの章が割かれていますので、それをもとに人類がどうやって日本列島に到達したのか思いをめぐらすのも一興でしょう。
それにしても、我々日本人の祖先は10万年かけて人類発祥の地、アフリカからアジアの東のはずれの列島まで、はるばる徒歩でやってきたというわけなのですね。気が遠くなるような話ですが、しかし、そうした営々とした営みがあればこそ、こうして日本列島に1億人以上もの人たちが住み着くことができたのでしょう。
しばし、おそらく苦難に満ちたその長旅に想いを馳せたくなります。
― すなわち、人類はアフリカで誕生し、アフリカを出たたった一つのグループが分岐して、世界中に広がった。
この著者によると、現生人類の「出アフリカ」は1回きり。その一握りの人たちが、現在アフリカ以外に住んでいる人たちすべて(ヨーロッパ人もアジア人もミクロネシアの人たちも)の祖先だそうな。
この本のよいところは、そうした人類の移動と拡散を全地球的は規模で語っているところでしょう。
人類のアジアへの進出についても、かなりの章が割かれていますので、それをもとに人類がどうやって日本列島に到達したのか思いをめぐらすのも一興でしょう。
それにしても、我々日本人の祖先は10万年かけて人類発祥の地、アフリカからアジアの東のはずれの列島まで、はるばる徒歩でやってきたというわけなのですね。気が遠くなるような話ですが、しかし、そうした営々とした営みがあればこそ、こうして日本列島に1億人以上もの人たちが住み着くことができたのでしょう。
しばし、おそらく苦難に満ちたその長旅に想いを馳せたくなります。
2022年9月7日に日本でレビュー済み
男性のY染色体と女性のミトコンドリアの特性をうまく利用した、
人類の出現から、一万年前までの人類の足跡についての研究レポートです。
また、化石・地理・気候などの歴史との相互補完も加味しながらの解説となっています。
更に、思想・信条ではなく科学的な裏づけや仮説で構成されていますので、
今後、更なる発見がある場合には、本書の内容も適切に検証していくこともできるでしょう。
ただし、この領域における様々な立場の人からの批判に応えるためか、
膨大な情報を盛り込んでいることによって、決して読みやすい本にはなっていません。
なお、本書を読まれて、一万年前から現在までの歴史を紐解いてみたい方には、
以下の書籍を併せて読まれるとよいでしょう。
・世界文明一万年の歴史(マイケル・クック)
・銃・病原菌・鉄(ジャレド・ダイアモンド)
・大国の興亡(ポール・ケネディ)
2008/3/4読了
人類の出現から、一万年前までの人類の足跡についての研究レポートです。
また、化石・地理・気候などの歴史との相互補完も加味しながらの解説となっています。
更に、思想・信条ではなく科学的な裏づけや仮説で構成されていますので、
今後、更なる発見がある場合には、本書の内容も適切に検証していくこともできるでしょう。
ただし、この領域における様々な立場の人からの批判に応えるためか、
膨大な情報を盛り込んでいることによって、決して読みやすい本にはなっていません。
なお、本書を読まれて、一万年前から現在までの歴史を紐解いてみたい方には、
以下の書籍を併せて読まれるとよいでしょう。
・世界文明一万年の歴史(マイケル・クック)
・銃・病原菌・鉄(ジャレド・ダイアモンド)
・大国の興亡(ポール・ケネディ)
2008/3/4読了