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文庫 銃・病原菌・鉄 (上) 1万3000年にわたる人類史の謎 (草思社文庫 ダ 1-1) 文庫 – 2012/2/2
ジャレド・ダイアモンド
(著),
倉骨彰
(翻訳)
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『銃・病原菌・鉄 1万3000年にわたる人類史の謎 文庫 (上)(下)巻セット』 こちらをチェック
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アメリカ大陸の先住民はなぜ、旧大陸の住民に征服されたのか。
なぜ、その逆は起こらなかったのか。
現在の世界に広がる富とパワーの「地域格差」を生み出したものとは。
1万3000年にわたる人類史のダイナミズムに隠された壮大な謎を、
進化生物学、生物地理学、文化人類学、言語学など、
広範な最新知見を縦横に駆使して解き明かす。
ピュリッツァー賞、国際コスモス賞、
朝日新聞「ゼロ年代の50冊」第1位を受賞した名著、待望の文庫化。
なぜ、その逆は起こらなかったのか。
現在の世界に広がる富とパワーの「地域格差」を生み出したものとは。
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進化生物学、生物地理学、文化人類学、言語学など、
広範な最新知見を縦横に駆使して解き明かす。
ピュリッツァー賞、国際コスモス賞、
朝日新聞「ゼロ年代の50冊」第1位を受賞した名著、待望の文庫化。
- ISBN-109784794218780
- ISBN-13978-4794218780
- 版単行本
- 出版社草思社
- 発売日2012/2/2
- 言語日本語
- 寸法2 x 11 x 15 cm
- 本の長さ416ページ
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商品の説明
出版社からのコメント
なぜ人類の文明の発達に世界各地で大きなむらが出来たか?この壮大な疑問に一つ一つ知見を積み上げて答えを出して行くスリリングな読書感を味わえる本です。知る、考える、知的興奮を味わえる、読み応え十分、現代人の必読書。おすすめです。
著者について
1937年ボストン生まれ。ハーバード大学で生物学、ケンブリッジ大学で生理学を修めるが、やがてその研究領域は進化生物学、生物地理学、鳥類学、人類生態学へと発展していく。『銃・病原菌・鉄(上)(下)』(倉骨彰訳、小社刊)はそれらの広範な知見を統合し、文明がなぜ多様かつ不均衡な発展を遂げたのかを解明して世界的なベストセラーとなった。カリフォルニア大学ロサンゼルス校医学部生理学教授を経て、現在は同校地理学教授。アメリカ科学アカデミー、アメリカ芸術科学アカデミー、アメリカ哲学協会の会員にも選ばれている。アメリカ国家科学賞、タイラー賞、コスモス国際賞など受賞は多く、『銃・病原菌・鉄』ではピュリッツァ-賞を受賞している。邦訳書は上記のほかに『セックスはなぜ楽しいか』(長谷川寿一訳、小社刊)『人間はどこまでチンパンジーか?』(長谷川真理子・長谷川寿一訳、新曜社刊)がある。
登録情報
- ASIN : 4794218788
- 出版社 : 草思社; 単行本版 (2012/2/2)
- 発売日 : 2012/2/2
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 416ページ
- ISBN-10 : 9784794218780
- ISBN-13 : 978-4794218780
- 寸法 : 2 x 11 x 15 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 7,133位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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カスタマーレビュー
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イメージ付きのレビュー
5 星
約800ページは冗長だが、歴史の謎解きがスリリングな展開
「なぜヨーロッパ人が、アメリカ大陸を“発見”したのか?」(←逆ではなく)「人口や生産の大部分が、ユーラシア大陸やその入植地に集中しているのは?」といった問いを、地形や気候、それらにともなう動植物の分布から紐解いていく展開は、なかやかスリリングでした。言いたいことの7,8割は、写メした1枚の図で絶対カバーできてるはず!約800ページも費やさなくてよいのでは?と疑問を抱きつつ、脱線や小話も面白かったです。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2024年3月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
アメリカ大陸がなぜヨーロッパ人に開拓されたかが良くわかりました。
2023年12月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
問題なしです
2024年6月7日に日本でレビュー済み
世界には、裕福な先進国と貧困状態にある発展途上国がある。もともと同じホモ・サピエンスどうしなのに、地域によってそのような大きな経済的格差ができたのはどうしてなのか?本書は、その理由として、それぞれの地域に住む人たちの生物学的(遺伝的)な違いによるものではなく、地理的、環境的な影響でそうなったのだという説を、多くの証拠を元に証明していく論考である。英語原著は1997年、日本語訳は2000年に出版されており、人類化石の分子生物学的研究が現在のようにさかんになる前だったため、若干古くなっている内容もある。
章ごとに、気になったポイントを下記にメモしておきたい。
【プロローグ】ニューギニア人ヤリの問いかけるもの
・著者が鳥類の進化のフィールドワークを行っているニューギニアで、あるニューギニア人ヤリが著者に質問してきた。「あなたがた白人は、たくさんのものを発達させてニューギニアに持ち込んだが、私たちニューギニア人には自分たちのものといえるものがほとんどない。それはなぜだろうか?」この会話から、著者は人類の進化、歴史、言語などについて研究し、その成果を発表してきた。ヤリの疑問に対する25年後の答えを書いたのが本書である。
・本書を一文で要約するとつぎのようになる。「歴史は、異なる人びとによって異なる経路をたどったが、それは、人びとのおかれた環境の差異によるものであって、人びとの生物学的な差異によるものではない」
【第1章】1万3000年前のスタートライン
・ネアンデルタール人はクロマニヨン人がヨーロッパにやってくるまでの数十万年間、ヨーロッパで唯一の先住民であった。約4万年前にクロマニヨン人がヨーロッパにやってきて、数千年のうちに、ネアンデルタール人は一人残らず姿を消してしまっている。これは、クロマニヨン人が自分たちの優れた技術や言語能力、頭脳を使って、ネアンデルタール人を侵略し、殺戮したことを示唆している。ネアンデルタール人とクロマニヨン人とが混血したという痕跡は、まったくといっていいほど残されていない。ーーこれについては近年の研究によって、ネアンデルタール人とホモ・サピエンスが混血していて、我々の遺伝子の数%はネアンデルタール人に由来していることが明らかになっている。
【第2章】平和の民と戦う民の分かれ道
・ポリネシアの種族間の争いを振り返ってみる。小さな孤立した狩猟採集民のグループであるモリオリ族は、彼らの祖先でもある人工の稠密なニュージーランドに住んでいた農耕民マオリ族によって滅ぼされた。
・熱帯気候に適したマオリ族の農作物はモリオリ族が移り住んだチャタム諸島の寒冷な気候ではうまく育たなかったかもしれない。それで、彼らは狩猟採集生活に戻らざるをえなかった。そこで狩猟採集民となった彼らは、再分配したり貯蔵したりする余剰作物を持たなかったので、狩猟に従事しない物作りが専門の職人、軍人・兵士、役人、族長などを養うことができなかった。結局、強力な統率力や組織力に欠ける非好戦的な少数部族となったのである。
・それとは対照的に、農業に適していたニュージーランドに残ったマオリ族は10万人を超えるまでに増えている。自分たちで作物を育てて貯蔵することができた彼らは、物作りを専門とする職人や、族長や、平時は農耕に従事する兵士たちを養うことができた。彼らは、農耕に必要な種々の道具や、さまざまな武器や工芸品を発達させた。手の込んだ祭祀用の建物や、おびただしい数の砦も建造している。つまり、地理的要因によって導かれた狩猟採集生活か農耕生活かという違いが、彼らの戦いにおける優劣の原因となっている。
【第3章】スペイン人とインカ帝国の衝突
・少数兵を率いるスペイン人のピサロは、膨大なインカ帝国の兵に囲まれながら皇帝アタワルバを捕虜にできた。その要因こそ、まさにヨーロッパ人が新世界を植民地化できた直接の要因である。ピサロを成功に導いた直接の要因は、銃器・鉄製の武器、そして騎馬などにもとづく軍事技術、ユーラシアの風土病、伝染病に対する免疫、ヨーロッパの航海技術、ヨーロッパ国家の集権的な政治機構、そして文字を持っていたことである。本書のタイトルの「銃・病原菌・鉄」は、ヨーロッパ人が他の大陸を征服できた直接の要因を凝縮して表現したものである。
【第4章】食料生産と征服戦争
・中規模な農耕社会では首長が支配する集団が形成されるようになるが、王国が形成されるまでにはいたらない。王国が形成されるのは大規模な農耕社会だけである。農耕社会に見られる複雑な政治組織は、構成員の平等を基本とする狩猟採集民の社会よりも征服戦争を継続させることができる。豊かな環境に居住する狩猟採集民が定住型の社会を発達させ、食料の貯蔵・蓄積を可能にし、初期の形態の族長支配を形成したが、そこからさらに進んで王国を作り出すまでにはいたっていない。ーー日本の縄文時代がこれに近いのかもしれない。
【第5章】持てるものと持たざるものの歴史
【第6章】農耕を始めた人と始めなかった人
・移動しながら狩猟採集生活を営む人たちと、定住して食料生産に従事する人たちとははっきりと区別されるものだという間違った思い込みがある。自然の恵みが豊かな地域の狩猟採集民のなかには、定住生活には入ったものの、食料を生産する民とはならなかった人びともいる。北アメリカの太平洋岸北西部の狩猟採集民などはその例であるし、おそらくオーストラリア南西部の狩猟採集民もそうだろう。パレスチナ、ペルー沿岸、そして日本に居住していた狩猟採集民も、食料を生産するようになったのは、定住生活をはじめてから相当の時間がたってからのことである。
・穀類やマメ類の栽培や家畜の飼育は、紀元前5000年までの数世紀を通じて、ヨーロッパ中央部全体にも急速に広がっていった。ヨーロッパ中央部と南東部に居住していた狩猟採集民のあいだに食料生産が広がっていったのは、食料生産を実践する生活と競合できるほど、この地における狩猟採集生活の生産性が高くなかったからである。ところが、南フランス、スペイン、イタリアなどの南西ヨーロッパでは、羊が伝えられてから穀物が伝えられたということもあって、食料を生産する生活様式はゆっくりと時間をかけて徐々に広まっていった。日本もまた、集約的食料生産をアジア大陸からゆっくりと時間をかけて少しずつ取り入れているが、それはおそらく、海産物や土着の植物が豊富であったため、狩猟採集生活の生産性が非常に高かったからであろう。
・食料生産への移行をうながした要因はおもに5つある。1つ目は、この1万3000年のあいだに、入手可能な自然資源(とくに動物資源)が徐々に減少したこと。2つ目は、栽培化可能な野生種が増えたことで作物の栽培がより見返りのあるものになったこと。3つ目は、食料生産に必要な技術、つまり自然の実りを刈り入れ、加工し、貯蔵する技術がしだいに発達し、食料生産のノウハウとして蓄積されていったこと。4つ目は、人口密度の増加と食料生産の増加との関係である。5つ目は、食料生産者は狩猟採集民より数のうえで圧倒的に多かったため、それを武器に狩猟採集民を追い払ったり殺すことができたことである。
【第7章】毒のないアーモンドのつくり方
【第8章】リンゴのせいか、インディアンのせいか
・肥沃三日月地帯と呼ばれるメソポタミア地方が、人類の歴史において中心的な役割を果たしたことはよく知られている。地理学者マーク・ブルーマーは、人間にとって作物化することのできる植物の種類の豊富さが重要であることを示した。世界中に数千種ある野生種のイネ科植物のなかから、大きな種子を持つ56種を「大自然のあたえた最優良種中の最優良種」とした。これらの56種は、穀粒の重さが中央値より少なくとも10倍は重く、そのほとんどが地中海性気候か、乾期のある地域に自生している。しかもその圧倒的多数の32種が、肥沃三日月地帯か西ユーラシアの地中海性気候地帯に集中している。この事実は、肥沃三日月地帯の初期の農民にとってイネ科植物を栽培化するうえで選択の余地が大きかったことを意味している。これに対して、チリの地中海性気候地域にはたった2種が自生しているだけであり、カリフォルニアと南アフリカにはそれぞれ1種が自生しているだけである。この事実だけをとっても、人類の歴史において、肥沃三日月地帯と他の地域の果たした役割のちがいを説明することができる。
【第9章】なぜシマウマは家畜にならなかったのか
【第10章】大地の広がる方向と住民の運命
・農作物や家畜は、南北ではなく東西に広まった。そのほうが適応しやすかったからである。肥沃三日月地帯で栽培化された農作物が東西方向に素早く広がった理由のひとつはここにある。そうした農作物は、伝播先の土地の気候にすでに順応していた。キリストが誕生する頃までには、肥沃三日月地帯を起源とする農作物は、ユーラシア大陸の西端であるアイルランドから東端の日本まで、じつに東西8000マイル(約1万2800キロ)にまたがる地域で栽培されていた。
・最初に中国南部で栽培化されたり家畜化されたあと、熱帯の東南アジアやフィリピン、インドネシア、ニューギニアなどで新たな品種が栽培化・家畜化されるようになった亜熱帯性作物や家畜類は、肥沃三日月地帯の作物に比肩する速度で東方に広がっている。その結果、バナナ、タロイモ、ヤムイモといった農作物や、鶏、豚、犬といった家畜類は、1600年たたないうちに中国南部から5000マイル(約8000キロ)以上離れたポリネシアの島々にまで伝わった。
【第11章】家畜がくれた死の贈り物
・非ヨーロッパ人を征服したヨーロッパ人が、より優れた武器を持っていたことは事実である。より進歩した技術や、より発達した政治機構を持っていたことも間違いない。しかし、このことだけでは、少数のヨーロッパ人が、圧倒的な数の先住民が暮らしていた南北アメリカ大陸やその他の地域に進出していき、彼らにとってかわった事実は説明できない。そのような結果になったのは、ヨーロッパ人が、家畜との長い親交から免疫を持つようになった病原菌を、とんでもない贈り物として、進出地域の先住民に渡したからだった。
章ごとに、気になったポイントを下記にメモしておきたい。
【プロローグ】ニューギニア人ヤリの問いかけるもの
・著者が鳥類の進化のフィールドワークを行っているニューギニアで、あるニューギニア人ヤリが著者に質問してきた。「あなたがた白人は、たくさんのものを発達させてニューギニアに持ち込んだが、私たちニューギニア人には自分たちのものといえるものがほとんどない。それはなぜだろうか?」この会話から、著者は人類の進化、歴史、言語などについて研究し、その成果を発表してきた。ヤリの疑問に対する25年後の答えを書いたのが本書である。
・本書を一文で要約するとつぎのようになる。「歴史は、異なる人びとによって異なる経路をたどったが、それは、人びとのおかれた環境の差異によるものであって、人びとの生物学的な差異によるものではない」
【第1章】1万3000年前のスタートライン
・ネアンデルタール人はクロマニヨン人がヨーロッパにやってくるまでの数十万年間、ヨーロッパで唯一の先住民であった。約4万年前にクロマニヨン人がヨーロッパにやってきて、数千年のうちに、ネアンデルタール人は一人残らず姿を消してしまっている。これは、クロマニヨン人が自分たちの優れた技術や言語能力、頭脳を使って、ネアンデルタール人を侵略し、殺戮したことを示唆している。ネアンデルタール人とクロマニヨン人とが混血したという痕跡は、まったくといっていいほど残されていない。ーーこれについては近年の研究によって、ネアンデルタール人とホモ・サピエンスが混血していて、我々の遺伝子の数%はネアンデルタール人に由来していることが明らかになっている。
【第2章】平和の民と戦う民の分かれ道
・ポリネシアの種族間の争いを振り返ってみる。小さな孤立した狩猟採集民のグループであるモリオリ族は、彼らの祖先でもある人工の稠密なニュージーランドに住んでいた農耕民マオリ族によって滅ぼされた。
・熱帯気候に適したマオリ族の農作物はモリオリ族が移り住んだチャタム諸島の寒冷な気候ではうまく育たなかったかもしれない。それで、彼らは狩猟採集生活に戻らざるをえなかった。そこで狩猟採集民となった彼らは、再分配したり貯蔵したりする余剰作物を持たなかったので、狩猟に従事しない物作りが専門の職人、軍人・兵士、役人、族長などを養うことができなかった。結局、強力な統率力や組織力に欠ける非好戦的な少数部族となったのである。
・それとは対照的に、農業に適していたニュージーランドに残ったマオリ族は10万人を超えるまでに増えている。自分たちで作物を育てて貯蔵することができた彼らは、物作りを専門とする職人や、族長や、平時は農耕に従事する兵士たちを養うことができた。彼らは、農耕に必要な種々の道具や、さまざまな武器や工芸品を発達させた。手の込んだ祭祀用の建物や、おびただしい数の砦も建造している。つまり、地理的要因によって導かれた狩猟採集生活か農耕生活かという違いが、彼らの戦いにおける優劣の原因となっている。
【第3章】スペイン人とインカ帝国の衝突
・少数兵を率いるスペイン人のピサロは、膨大なインカ帝国の兵に囲まれながら皇帝アタワルバを捕虜にできた。その要因こそ、まさにヨーロッパ人が新世界を植民地化できた直接の要因である。ピサロを成功に導いた直接の要因は、銃器・鉄製の武器、そして騎馬などにもとづく軍事技術、ユーラシアの風土病、伝染病に対する免疫、ヨーロッパの航海技術、ヨーロッパ国家の集権的な政治機構、そして文字を持っていたことである。本書のタイトルの「銃・病原菌・鉄」は、ヨーロッパ人が他の大陸を征服できた直接の要因を凝縮して表現したものである。
【第4章】食料生産と征服戦争
・中規模な農耕社会では首長が支配する集団が形成されるようになるが、王国が形成されるまでにはいたらない。王国が形成されるのは大規模な農耕社会だけである。農耕社会に見られる複雑な政治組織は、構成員の平等を基本とする狩猟採集民の社会よりも征服戦争を継続させることができる。豊かな環境に居住する狩猟採集民が定住型の社会を発達させ、食料の貯蔵・蓄積を可能にし、初期の形態の族長支配を形成したが、そこからさらに進んで王国を作り出すまでにはいたっていない。ーー日本の縄文時代がこれに近いのかもしれない。
【第5章】持てるものと持たざるものの歴史
【第6章】農耕を始めた人と始めなかった人
・移動しながら狩猟採集生活を営む人たちと、定住して食料生産に従事する人たちとははっきりと区別されるものだという間違った思い込みがある。自然の恵みが豊かな地域の狩猟採集民のなかには、定住生活には入ったものの、食料を生産する民とはならなかった人びともいる。北アメリカの太平洋岸北西部の狩猟採集民などはその例であるし、おそらくオーストラリア南西部の狩猟採集民もそうだろう。パレスチナ、ペルー沿岸、そして日本に居住していた狩猟採集民も、食料を生産するようになったのは、定住生活をはじめてから相当の時間がたってからのことである。
・穀類やマメ類の栽培や家畜の飼育は、紀元前5000年までの数世紀を通じて、ヨーロッパ中央部全体にも急速に広がっていった。ヨーロッパ中央部と南東部に居住していた狩猟採集民のあいだに食料生産が広がっていったのは、食料生産を実践する生活と競合できるほど、この地における狩猟採集生活の生産性が高くなかったからである。ところが、南フランス、スペイン、イタリアなどの南西ヨーロッパでは、羊が伝えられてから穀物が伝えられたということもあって、食料を生産する生活様式はゆっくりと時間をかけて徐々に広まっていった。日本もまた、集約的食料生産をアジア大陸からゆっくりと時間をかけて少しずつ取り入れているが、それはおそらく、海産物や土着の植物が豊富であったため、狩猟採集生活の生産性が非常に高かったからであろう。
・食料生産への移行をうながした要因はおもに5つある。1つ目は、この1万3000年のあいだに、入手可能な自然資源(とくに動物資源)が徐々に減少したこと。2つ目は、栽培化可能な野生種が増えたことで作物の栽培がより見返りのあるものになったこと。3つ目は、食料生産に必要な技術、つまり自然の実りを刈り入れ、加工し、貯蔵する技術がしだいに発達し、食料生産のノウハウとして蓄積されていったこと。4つ目は、人口密度の増加と食料生産の増加との関係である。5つ目は、食料生産者は狩猟採集民より数のうえで圧倒的に多かったため、それを武器に狩猟採集民を追い払ったり殺すことができたことである。
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【第8章】リンゴのせいか、インディアンのせいか
・肥沃三日月地帯と呼ばれるメソポタミア地方が、人類の歴史において中心的な役割を果たしたことはよく知られている。地理学者マーク・ブルーマーは、人間にとって作物化することのできる植物の種類の豊富さが重要であることを示した。世界中に数千種ある野生種のイネ科植物のなかから、大きな種子を持つ56種を「大自然のあたえた最優良種中の最優良種」とした。これらの56種は、穀粒の重さが中央値より少なくとも10倍は重く、そのほとんどが地中海性気候か、乾期のある地域に自生している。しかもその圧倒的多数の32種が、肥沃三日月地帯か西ユーラシアの地中海性気候地帯に集中している。この事実は、肥沃三日月地帯の初期の農民にとってイネ科植物を栽培化するうえで選択の余地が大きかったことを意味している。これに対して、チリの地中海性気候地域にはたった2種が自生しているだけであり、カリフォルニアと南アフリカにはそれぞれ1種が自生しているだけである。この事実だけをとっても、人類の歴史において、肥沃三日月地帯と他の地域の果たした役割のちがいを説明することができる。
【第9章】なぜシマウマは家畜にならなかったのか
【第10章】大地の広がる方向と住民の運命
・農作物や家畜は、南北ではなく東西に広まった。そのほうが適応しやすかったからである。肥沃三日月地帯で栽培化された農作物が東西方向に素早く広がった理由のひとつはここにある。そうした農作物は、伝播先の土地の気候にすでに順応していた。キリストが誕生する頃までには、肥沃三日月地帯を起源とする農作物は、ユーラシア大陸の西端であるアイルランドから東端の日本まで、じつに東西8000マイル(約1万2800キロ)にまたがる地域で栽培されていた。
・最初に中国南部で栽培化されたり家畜化されたあと、熱帯の東南アジアやフィリピン、インドネシア、ニューギニアなどで新たな品種が栽培化・家畜化されるようになった亜熱帯性作物や家畜類は、肥沃三日月地帯の作物に比肩する速度で東方に広がっている。その結果、バナナ、タロイモ、ヤムイモといった農作物や、鶏、豚、犬といった家畜類は、1600年たたないうちに中国南部から5000マイル(約8000キロ)以上離れたポリネシアの島々にまで伝わった。
【第11章】家畜がくれた死の贈り物
・非ヨーロッパ人を征服したヨーロッパ人が、より優れた武器を持っていたことは事実である。より進歩した技術や、より発達した政治機構を持っていたことも間違いない。しかし、このことだけでは、少数のヨーロッパ人が、圧倒的な数の先住民が暮らしていた南北アメリカ大陸やその他の地域に進出していき、彼らにとってかわった事実は説明できない。そのような結果になったのは、ヨーロッパ人が、家畜との長い親交から免疫を持つようになった病原菌を、とんでもない贈り物として、進出地域の先住民に渡したからだった。
2022年6月14日に日本でレビュー済み
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翻訳がまずすぎて、著者の意図が分かりにくい部分が多々ある。例えば
「中央アジアのムフロンと同属の北米産のビッグホーンも家畜化されていない。ビッグホーンは、ムフロンと同様、家畜にはうってつけの条件をひとつだけ除いてすべて備えている。ビッグホーンは、ムフロンとちがい、自分より序列が上と認識したメンバーに服従するという習性を、種全体として持っていないのである」
こんな調子の文章が多くて、読み下すのに無駄な時間がかかるのが残念。
「中央アジアのムフロンと同属の北米産のビッグホーンも家畜化されていない。ビッグホーンは、ムフロンと同様、家畜にはうってつけの条件をひとつだけ除いてすべて備えている。ビッグホーンは、ムフロンとちがい、自分より序列が上と認識したメンバーに服従するという習性を、種全体として持っていないのである」
こんな調子の文章が多くて、読み下すのに無駄な時間がかかるのが残念。
2023年9月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
重々しいタイトルですが読みやすいです。
内容もすんなり頭に入ります。
学生さん、高校生くらいから楽しめますよ。
お勧めですね売れてるはずだ。
内容もすんなり頭に入ります。
学生さん、高校生くらいから楽しめますよ。
お勧めですね売れてるはずだ。
2023年11月23日に日本でレビュー済み
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環境・場所など周囲の状況で結果とした起きた事象のつながりが歴史になっている。
なぜユーラシアの文明が今日主流になったのか、アフリカの人類史、広範な人類史を俯瞰してよくまとめられている。
なぜユーラシアの文明が今日主流になったのか、アフリカの人類史、広範な人類史を俯瞰してよくまとめられている。
2023年8月18日に日本でレビュー済み
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商品通りでした。最初はよくわからないまま読んでいましたが、だんだんと分かっていって面白い本だと思いました
2023年7月24日に日本でレビュー済み
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今日では当たり前の世界の状況は、如何にして成り立ったのか?発展途上国とか言っていただけに、「遅れている」と思い込んでいた。地理・生物環境から確かな論理で大きな疑問を紐解いてくれる。下巻も楽しみです。