フランクリン・デラノ・ルーズベルト(FDR) と言えば、米国の第32代大統領(民主党)で、四選(1933 〜1945) を果たし、第二次世界大戦( 欧州戦争と大東亜戦争) に対する開戦責任者の最も重要な人物であることは、誰もが知っている。
FDR は、終戦の年(1945)4 月12日に )に、脳溢血で突然死しているが、本当は、皮膚癌の脳転移であり、史上初の三選を果たした年である1941年の日米交渉、大東亜戦争開戦の頃には、既に、健康を害し、そのことが健全な判断をすることに影響を与えていたのではないかというのが、本書のテーマである。
近現代史研究家の本書の訳者である渡辺氏は、開戦について次のように述べている。
「日中の争いはあくまでも局地戦であった。その戦いにアメリカが参入しない限り、戦争にはならなかった。アメリカは在米資産凍結(1941 年7 月25日) 、石油全面禁輸( 同年8 月1 日) 、そして中国からの全面撤退を要求したハル・ノート手交( 同年11月25日) と日本を執拗に追い詰める外交攻勢をかけた。これらの施策はもはや外交と呼べるものではなく、どれ一つとっても戦争行為そのものであった。
真珠湾攻撃は、戦争の始まりではなく、アメリカの対日外交政策の結果であって、日米戦争の原因ではない。ヨーロッパと極東における局地戦争を世界大戦に拡大させたのは、あくまでもFDR であった。彼の外交は平和を模索するふりをするが、決して平和を求めていない。ヒットラー政権との交渉のテーブルにポーランドをつかせない様に圧力をかけたのはFDR であった。対日交渉も同様であり、FDR は、中国問題を日米首脳会談で解決しようとした近衛文麿の会談懇請を拒否し続けた。FDR が本当に戦争回避を願っていれば、首脳会談に応じたであろうが、交渉で解決しようとする気配を感じさせる行動は一切とっていない。そうでありながら、突然、真珠湾攻撃の直前(開戦16時間前) に天皇宛に平和を願うメッセージを発した。もはや引き返しのつかない時期に平和を探るかのようなアクションをとる工作が対日外交でも使われていた。あの大戦の原因を探るにはFDR の外交は如何なるものであったのかを知る必要がある。」
と言うのが訳者の主張である。
FDRは1921年、39才で小児麻痺に罹患し下肢の自由を失い、以降、FDR は2 本の杖を使っても、介助がなければ立つことも歩くこともできなかったとある。その後、1933年3 月に大統領に就任した時には、左眉上のシミが誰もが気づく大きさになっており、これが皮膚癌( メラノーマ) の初期ではなかったかという。1939年1 月には、これが大きくなったが、マスコミに皮膚癌を知られれば、政治生命を完全に断たれる。1940年2 月に2 週間の休養にかこつけて巡洋艦上で、これを目立たなくする手術が行われたのではないかという。1940年はFDR にとっては決して有利ではなかった三選の年である。同年には赤血球が減少する症状があり、三選された時の健康不安が周囲にはあったという。
問題は、戦争が終局に近づき、枢軸国に対する無条件降伏の要求方針を決めた1943年1 月のFDR とチャーチルとのカサブランカ会談、同年11月22の日本領土の剥奪を決めたFDR 、チャーチル、蒋介石とのカイロ会談、同年11月28のナチスドイツに対する西部戦線( ソ連支援) やドイツ降伏後のソ連の対日参戦を決定したFDR 、チャーチル、スターリンによるテヘラン会談が開催されたが、このときFDR の健康状態は相当に悪化していた。この健康悪化の状態で、次の4 年の任期は全うできないことが明らかであったが、FDR の強い意思により、1944年末、四選を果たす。
最大の問題点は、FDR の死亡の2 月前である1945年2 月4 日のFDR 、チャーチル、スターリンによるヤルタ会談でのヤルタ密約である。ヤルタ密約では、ドイツの分割統治、東欧諸国の処理、日本に対しては、ソ連の対日参戦と交換に南樺太、千島列島のソ連への割譲を密約している。ヤルタ会談では、FDR は気力がなく、スターリンにいいように仕切られていた。
FDR 政権は、開戦前から共産主義容認であり、ソ連に無警戒、ナイーブにも蒋介石を軍事、人事及び資金面で支援している。戦後の共産圏の拡大とそれに対抗する戦争、及び継続した冷戦を生み出したのはFDR 政権にある。
このような現状に至ったのは、FDR の性格と健康状態も一因していたというのが本書の結論である。
最後に訳者の渡辺氏は、次のように結論している。
FDRは米国にとっては英雄であり、現在においても批判することにはためらいがある。FDR は病気をねじ伏せるという強烈な自信を持つ特異な性格のため、周囲は振り回され、外交にも影響を与えた。本書を読んだアメリカ人は、このような人物に政治と外交を4 期も任せた歴史があったことに愕然としたであろう。しかし、現実にはFDR 批判は許されず、FDR を批判する歴史家には歴史修正主義者というレッテルが貼られた。これは、FDR が米国の伝統的非介入主義を採用しておれば、世界大戦には至らなかったところ、FDR が余りにも愚かな拙劣外交を展開したことが明らかな故に、米国民の名誉を保持するためではないかという。
日本国内の太平洋戦争( 大東亜戦争) の分析は、国内事情を語り、日中戦争の原因を語ることがほとんどである。しかし、それだけでは、井戸の中から天気予報するようなもので、戦争に至った全体像は把握することは不可能である。本書だけでは、その把握は無理である。しかし、「あの戦争はフランクリン・ルーズベルトというアメリカ歴史上でも極めて特異な政治家によって起こされた側面が強い」とい解釈に対して、それに同意できないとしても、聞く耳をもてるのではないかと結んでいる。
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ルーズベルトの死の秘密: 日本が戦った男の死に方 単行本 – 2015/3/19
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神経学の権威とベテラン・ジャーナリストが未発表資料を含む数々の資料を医学的見地から読み解き、ヤルタ会談後まもなく死去したルーズベルト大統領の死因を追究。それは定説となっている脳溢血ではなく、皮膚癌の脳と腹部への転移によるものであったとし、大統領と側近らがいかにメディアを操作してこの〝死に至る病〟をひた隠しにし、歴史の重大局面に臨んでいたかを明らかにする。
- 本の長さ350ページ
- 言語日本語
- 出版社草思社
- 発売日2015/3/19
- ISBN-104794221169
- ISBN-13978-4794221162
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商品の説明
著者について
米国専門医師会認定の神経科医。マウント・サイナイ医科大学助教授(神経学)。ニュージャージー州神経科学会会長。
ニューヨーク・ポスト紙論説担当編集委員、政治コラムニスト。ネーション誌、USAトゥデイ紙に寄稿。BBC、PBSドキュメント番組の歴史コンサルタント。
日米近現代史研究家。著書に『日米衝突の根源1858―1908』『日米衝突の萌芽 1898―1918』(山本七平賞奨励賞)『朝鮮開国と日清戦争』、訳書に『ルーズベルトの開戦責任』他がある。
ニューヨーク・ポスト紙論説担当編集委員、政治コラムニスト。ネーション誌、USAトゥデイ紙に寄稿。BBC、PBSドキュメント番組の歴史コンサルタント。
日米近現代史研究家。著書に『日米衝突の根源1858―1908』『日米衝突の萌芽 1898―1918』(山本七平賞奨励賞)『朝鮮開国と日清戦争』、訳書に『ルーズベルトの開戦責任』他がある。
登録情報
- 出版社 : 草思社 (2015/3/19)
- 発売日 : 2015/3/19
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 350ページ
- ISBN-10 : 4794221169
- ISBN-13 : 978-4794221162
- Amazon 売れ筋ランキング: - 632,947位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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上位レビュー、対象国: 日本
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2015年6月7日に日本でレビュー済み
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2018年11月4日に日本でレビュー済み
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ハミルトン・フィッシュ著 渡辺惣樹訳の「ルーズベルトの開戦責任」を読み、FDRという人物に興味を持ち、この本を購入しました。
FDRの生い立ちから死ぬまでに、どんな病にかかっていたのかが書かれています。
読むと幼少期から病弱であらゆる病気にかかっていたことがわかりました。私の拙い認識では、ルーズベルトは下半身が不自由とだけは知っていましたが、それだけではありませんでした。
幼少期から両親に箱入り娘のように大事に育てられ、公教育もドイツで数年というだけです。これはあの時代だからなんでしょうね(エジソンも学校を退学させられ母親に勉学を教わっていますし)。そのせいか元々の病弱だからか鼻や気管支などの粘膜が弱く、しょっちゅう風邪をひいては肺炎などになり死にかけています。
それで病気などに対して、精神的に強い抵抗力を身に着ける。あくまでも精神的にです。
FDRは一般的に、ヤルタ会談(1945年4月)前後に体調が悪化したというのが定説ですが、その前、かなり前の三期目を狙う大統領選さえ怪しかったんじゃないかと思われます。それでも自分なら病を克服し大統領職を全うできると、過去の自分の経験から考えたのでしょう。
ここからは私の想像ですが、彼は、自分が神に愛されていると思っていたのでしょう。数々の病も神が我に与えたもうた試練だと。その試練にうち勝ち自分は大統領になった、大統領になるべくしてなった、と。
「ルーズベルトの開戦責任」を読み、なぜそれほどまでに戦争がしたかったのかの答えを知りたくてこの本を購入しましたが、FDRの特異性はわかりましたが、やはりなぜ戦争したかったのかは書いてありませんでした。その代り、訳者あとがきではありますが、FDR批判がなぜタブー視されるのかはわかりました。FDR批判はFDR外交の批判になり、ひいては大戦に勝利した自分たちの正義まで批判することになるからだと。戦うべきなのはスターリンとであったのに、そのスターリンと手を組んで日本とドイツを叩いてしまったがために東ヨーロッパと中国と一部アジアは共産化し、長い冷戦に突入した、と。FDRの失策のツケをいまだに払い続けていることは認めたくないでしょうね。
FDRの生い立ちから死ぬまでに、どんな病にかかっていたのかが書かれています。
読むと幼少期から病弱であらゆる病気にかかっていたことがわかりました。私の拙い認識では、ルーズベルトは下半身が不自由とだけは知っていましたが、それだけではありませんでした。
幼少期から両親に箱入り娘のように大事に育てられ、公教育もドイツで数年というだけです。これはあの時代だからなんでしょうね(エジソンも学校を退学させられ母親に勉学を教わっていますし)。そのせいか元々の病弱だからか鼻や気管支などの粘膜が弱く、しょっちゅう風邪をひいては肺炎などになり死にかけています。
それで病気などに対して、精神的に強い抵抗力を身に着ける。あくまでも精神的にです。
FDRは一般的に、ヤルタ会談(1945年4月)前後に体調が悪化したというのが定説ですが、その前、かなり前の三期目を狙う大統領選さえ怪しかったんじゃないかと思われます。それでも自分なら病を克服し大統領職を全うできると、過去の自分の経験から考えたのでしょう。
ここからは私の想像ですが、彼は、自分が神に愛されていると思っていたのでしょう。数々の病も神が我に与えたもうた試練だと。その試練にうち勝ち自分は大統領になった、大統領になるべくしてなった、と。
「ルーズベルトの開戦責任」を読み、なぜそれほどまでに戦争がしたかったのかの答えを知りたくてこの本を購入しましたが、FDRの特異性はわかりましたが、やはりなぜ戦争したかったのかは書いてありませんでした。その代り、訳者あとがきではありますが、FDR批判がなぜタブー視されるのかはわかりました。FDR批判はFDR外交の批判になり、ひいては大戦に勝利した自分たちの正義まで批判することになるからだと。戦うべきなのはスターリンとであったのに、そのスターリンと手を組んで日本とドイツを叩いてしまったがために東ヨーロッパと中国と一部アジアは共産化し、長い冷戦に突入した、と。FDRの失策のツケをいまだに払い続けていることは認めたくないでしょうね。
2015年4月15日に日本でレビュー済み
渡辺惣樹氏の著作や翻訳本は、日米史や東亜細亜史について、従来の日本人の著作には無かった内容が充満しており、読むたびに、「なるほど、そうだったのか!」と、小膝を打たせてくれるので、本当に勉強になる。日本の著作家の書く、明治以降の我が国の歴史、殊に戦争に関与した本を読むと、日本内部の事情ばかりアレコレトと詮索しており、不満が残るというより、所謂自虐史観を生み出す原因となっていると思わせるのである。その例が、文芸春秋社御用達の、半藤&保阪・本の数々であろう。戦争は相手があって、起こるものなのである。自分達がいかに譲歩しても、いかに「話し合おう」としても、相手が戦争に持ち込もうと思っておれば、戦争は起こるのである。相手の事情に踏み込む能力の無い、半藤氏や保阪氏の著作は、きわめて狭い部分からしか物事の事情を見ていないので、著作としては、レベルの極めて低いものにしかならぬのである。お二人は、こう言われて悔しければ、外国・相手国の事情も精査した上で、本を書いてもらいたいものである。日本を第二次世界大戦に引きずり込んだのは、フランクリン・デラノ・ルーズベルト(FDR)とウインストン・チャーチルである。殊に、FDRが、日本と戦争して、「この小生意気な黄色い奴らに、白人が世界を仕切っているのだということを、知らしめてやろう。」と考えていたのが、日本にとっての大厄災となったのである。FDRの病気による体力と精神力の低下が、あの不可解な、ヤルタ会談における、無限と言ってよいスターリンに対する譲歩の原因であったとは、色々な著作で述べられてきた。しかしこの本は、FDRの病状を、従来のレベルとは全く違った次元にまで、教えてくれる。左眉の下の染みが、悪性黒色腫であったとは、残念ながら今まで全く知らなかった。悪性黒色腫なら、全身に転移を起こし、予後は極めて不良である。その脳転移に伴った出血がFDRの息の根を止めたということであれば、そうだったのかと、心底納得できる。その上、重症の高血圧や虚血性心疾患、繰り返す下部消化管出血(重症の痔あるいは大腸憩室炎であったらしいが、、、)のために、ヘモグロビン値が5を切る極度の貧血となって、繰り返し輸血を受けて生き延びていたとは!FDRという人間は、一部有能であるが、得意なキャラクターと性癖を持っており、人生の終末期には、重篤な疾患で判断力が極度に低下していて、とても政治家として働くことのできる状態ではなかったのだ。そんな一個人に世界の命運が握られていたとは、何とも無念残念としか、言いようが無い。国家を焼け野が原とされ、二発の原爆を落とされ、戦後70年経過しても、謂れの無い非難を浴びせられる日本人は、これをどう受け取ればよいのであろうか。スターリンに対して、痴呆的とも言うべき譲歩をし、その冷酷無残な共産主義者の本質を見抜けず、第二次世界大戦後の社会主義・共産主義の跳梁跋扈を許した責任の大半は、FDRにあると言わねばならない。共産主義者のために、辛酸を嘗め尽くした東ヨーロッパの人々、亜細亜の人々は、この無念さをどう処理すればよいのであろうか。日本とドイツがすべて悪いとした、FDRの子孫である米国人は、この悲惨な結果をどう考えるのであろうか。そして著者は、その「訳者あとがき」で、米国にとっては、大統領という立場は、日本の内閣総理大臣とはとても比較できる地位ではなく、国家元首・国家そのもの、であり、FDRの責任を米国としては受け入れることができない。というより、その様なことを言う人間には、「Revisionist」というレッテルを貼って、抹殺しようとするのであると、教えてくれる。安倍総理の苦難はまだまだ続くのである。医療人の立場からすれば、医療用語の翻訳や使用の仕方について、若干気になる部分はあるが、これは本質的なものでは全くない。よくぞこの本を翻訳して下さったと、お礼を言いたい。
2017年12月20日に日本でレビュー済み
FDRの行動は、アルバート・パイクの記した計画を忠実に遂行したものに見える。背後から、彼にそのような行動をさせた存在が気になる。
2016年1月21日に日本でレビュー済み
リーダーの病気を自国民にさえ隠し続けていたなんて、ソ連、中国と同じくらいひどい。
戦後70年以上経っているのに秘密にしているなんて。呆れる。
戦後70年以上経っているのに秘密にしているなんて。呆れる。
2015年5月1日に日本でレビュー済み
大恐慌からアメリカ経済を復活させ、第二次世界大戦を終結に導いたあのルーズベルト大統領が、実は重篤な病(メラノーマの脳への転移)に侵されていた、という謎解きの物語である。といっても、丹念な資料調査と医学的見地に裏打ちされたもので説得力は高い。
とくに注目されるのは、ルーズベルトの死の2ヶ月前に開催されたその後の世界情勢を決定づける重要な会議、ヤルタ会談での彼の状態である。
この会議におけるスターリンの主張で東ヨーロッパを共産主義の国家へと組み入れてしまったのだが、その時のルーズベルトは何とすでに癌の末期(それも脳腫瘍)にあり、正常な判断ができる状態ではなかったと推論している。
なお、訳者である渡辺氏によれば、そもそもヨーロッパと極東における局地戦争を世界大戦に拡大させたのはルーズベルトであるとし、戦後の冷戦体制のきっかけを作ったのもルーズベルトということにもなるという。
歴史にIFはつきものだが、本書に書かれたことが事実だとすれば、色々と想像を巡らせてしまう。
いずれにせよ、情報の透明性が進んだ現代では不可能ではある。
事実は、フィクションよりも面白い。
本書は、ルーズベルトという大統領の人物と歴史に迫る秀作である。
とくに注目されるのは、ルーズベルトの死の2ヶ月前に開催されたその後の世界情勢を決定づける重要な会議、ヤルタ会談での彼の状態である。
この会議におけるスターリンの主張で東ヨーロッパを共産主義の国家へと組み入れてしまったのだが、その時のルーズベルトは何とすでに癌の末期(それも脳腫瘍)にあり、正常な判断ができる状態ではなかったと推論している。
なお、訳者である渡辺氏によれば、そもそもヨーロッパと極東における局地戦争を世界大戦に拡大させたのはルーズベルトであるとし、戦後の冷戦体制のきっかけを作ったのもルーズベルトということにもなるという。
歴史にIFはつきものだが、本書に書かれたことが事実だとすれば、色々と想像を巡らせてしまう。
いずれにせよ、情報の透明性が進んだ現代では不可能ではある。
事実は、フィクションよりも面白い。
本書は、ルーズベルトという大統領の人物と歴史に迫る秀作である。