本書は北欧の福祉大国デンマークの介護の現場を、著者が見習いの看護師として体験したその日記を編集して、紹介したものです。
本書の何よりの特徴は、著者が介護の現場で働いている見習いスタッフだということです。デンマークの介護の現場で起きている日常のできごとが、当事者の視点でありのままに伝えられています。著者が見聞きし、体験した現場は、県営ナーシングホーム、市営ナーシングホーム、在宅訪問看護・介護ステーションです。その他にもヘルパーの教習施設や補助器具センターなどを見学しています。
本書にはさまざまな障害を持った人が登場し、様々なサービスを受けて生活をしている様がありありと描かれています。また、サービスを供給している看護師や介護士の姿も丁寧に描かれています。そこには生と死に向き合う真摯な姿勢が伺えます。そして何より、余裕のある、落ち着いた人間関係、社会関係が垣間見えます。
本書は著者の日記を編集したものなので、あたかも自分がその現場にいるかのようにリアルに現場を追体験します。失敗談もいくつか掲載されており、慣れない土地での著者の苦労と、それ以上の熱意が伝わってきます。デンマークの介護の現場に迫る、まさに最前線を知るのに最適な一冊です。
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