6年前の刊行で、当然、5本か10本のレビューで賑やかだろうと思っていたのに、評者が最初のレビューを記すことになるとは――。どことなく、残念。
内容が難しいとは思えないし、人為的な地球温暖化を世界的に阻むための第一歩と喧伝される「京都議定書」のさまざまな矛盾と不毛を突く、というスタンスも明快。自然科学の研究者らによる人為的温暖化論の欺瞞と偽善の追及がここ数年、徐々に受け入れられ始めているなか、もう少し読者がついてもいい、と思ったのだが。CO2の排出権取引だけでなく、CDMや共同実施も含めた、経済学的、または経済政策としての温暖化対策の無理を冷静・丁寧な筆致で解析する、という章建てで、自然科学と同様に重要な、社会科学的なアプローチから温暖化問題に迫った力作だと思う。
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