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存在の大いなる連鎖 (晶文全書) 単行本 – 1975/1/1

4.3 5つ星のうち4.3 11個の評価

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 晶文社 (1975/1/1)
  • 発売日 ‏ : ‎ 1975/1/1
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本 ‏ : ‎ 400ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4794923406
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4794923400
  • カスタマーレビュー:
    4.3 5つ星のうち4.3 11個の評価

カスタマーレビュー

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上位レビュー、対象国: 日本

2024年3月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
著者ラヴジョイは20世紀前半から半ばに活躍したアメリカの哲学者。彼の業績は特に「觀念史」という観点か見た、哲学用語または観念の意味の変遷である。例えば「理性」などの語は時代により人により、さまざまに解釈されるだろう。本書で著者が中心としているのは、古代から現代にいたる「万物の連鎖」という観念である。これは古来、地上に存在する無生物から生物、そして人間にいたる森羅万象を一つの階級的な連鎖として、天で創造され鎖のような連鎖をなして吊り下げられているものと考えられた。しかし16世紀ごろから、地球と天界との位置関係が逆転され、世界観が変化するに従って、地球上の生物と無生物も、人間が最初に創造されたのではなく、原生物が進化して人間という頂点に至ったのだという、生成の逆転が行われることになる。19世紀のダーウィンの進化論はその考えを理論的にまとめた一例である。
 神によって造られ、吊り下げられたと考えられた存在の連鎖は、こうして内的な発生力によって変化成長するものと考えられることになる。地球中心の天界の構造が逆転されたように、地球上の生物の生成の順序も逆転されることになったのである。本書はこの歴史を中心テーマとして、詳細にその学識を披露している。学識の多さから、一般的読み物としては軽く通読するというタイプのものではないが、全体の脈絡を見た上で読むことは、現代の自然観の変化の問題と関連しても、意義深い論説であると思う。
2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2013年6月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
 知る人ぞ知る観念史の古典。「哲学、科学、文学、芸術、宗教または政治」の諸領域に亘って、「存在の大いなる連鎖」、平たく言えば、この世界に存在するあらゆるものが持つヒエラルキー構造について論じた名著。様々なジャンルを縦断して目眩めく壮大な世界観の歴史的変遷を辿っているので、読み込むにはそれなりにスタミナが要るが、労力に見合ったものは得られる。思想史や科学史、文学史等に興味を持つ読者であれば必読文献と言える。

 私自身は昔晶文社から出ていた頃に手を出してみたものの、ハードルが高くて途中で放り出してしまっていたのだが、今回文庫で安くなったのを機に再トライしてみた。やはり或る程度思想史等の予備知識が有る無しで格段に理解度が違う。全くの初心者にはちとお薦め出来ない。1930年代と結構古い著書なので、今風に言えばエクリチュール偏重主義、取り上げている題材の(幅広さに見合わない)皮相さ、言い換えれば生々しい生活の臭いの欠如が欠点として目に付くが、しかしこれだけの労作は仲々お目に掛かれるものではない。著作そのものの評価はこの分野の基礎文献として揺るぎないものと言えるだろう。

 が、それにしても思ったのは、訳の酷さ。原文が関係代名詞を多用した些か堅苦しい文章だと云うのもあるけれども、昔風(晶文社版が出たのは1975年)の直訳体の文体は、今の視点から見ればどうにも古臭い。適当に選んでみると、例えば「(1)第一に個人または世代の思考の中の作用するものであるが暗黙のまたは充分に明示されない「仮定」または多かれ少なかれ「無意識の精神の習慣」がある。」などと云う文章が頻出する。読めないことはないが、二度三度と読み返してやっと先に進めるレベル。元々は1932-33年の「ウィリアム・ジェイムズ哲学・心理学講義」で行われた講義を基にしているのだが、元々名文家のジェイムズの著書が読み易い邦訳に恵まれているのに比べて、実に読み難い。若しこんな文章を口頭で聞かされたら、多分居眠りする聴衆が続出することだろう。内容自体は素晴らしいのに、訳文で敬遠してしまう人が結構居るのではなかろうか。まぁ原書に当たると云う手も有るだろうが、出来れば何処かから読み易い新訳を出して頂きたいものである。
25人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2016年2月14日に日本でレビュー済み
原書は1936年アメリカで出版され、日本では1975年に訳されたものの文庫版である。

「存在の連鎖」とは、解説の高山宏氏が紹介するフォルミガリによれば、「最下位にあって最も取るに足らない存在から、……最も完全なるものにいたる、一個のヒエラルヒーの形に被造物を整序(して)……宇宙を有機的に捉えようとする観念」(633~634頁)のことである。

古代ギリシャから中世ヨーロッパ、近世へとその「存在の連鎖」の観念の歴史を追って紹介、分析している。これは「観念史」であるゆえ、何か戦争などの歴史的事実に反応して思想が発生したことを分析するのではなく、扱う内容は観念そのもののみである。

「殆どすべての西洋の哲学者が千年以上にわたり同意したこと」は「人間にとって最終的な善は、神の性質に同化すること、または近似することにあった」(129頁)

「十七世紀の偉大な哲学体系の中では『存在の連鎖』の観念が最も顕著で決定的で浸透しているのはライプニッツの哲学である」(222頁)

しかし、この考え方はやがて揺らぎ始める。

「プラトン主義的な宇宙の構造はさかさまにされた。始めから完全で不動である(はずの)存在の連鎖は、……『生成』に変換されてしまったのみならず、今や神自身がこの『生成』の中に置かれたり、これと同一視」されるにいたった。(513頁)

筆者は「存在の連鎖という観念の歴史は―その観念が宇宙の……合理的な理解可能性を前提にした限りにおいて―失敗の歴史である」(517頁)と結論づけている。

現代西洋哲学には、ニーチェ、ウィトゲンシュタインなど、これまでの西洋哲学全体に反省を促す思想がある。ラヴジョイも大きくくくれば、それらに類するのではないかと評者は思った。
6人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2014年11月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
西洋の思想がいかに神概念を巡って悪戦苦闘してきたか、
本当に西洋の信仰の執念はすごいな、執拗だなとおもう。
所謂、弁神論に端的に主題化するが、神や善、要は完全性に対
する西洋人のあくなき思弁の執拗さに感嘆してしまう。
合理的/科学的思考と神への信仰は決して矛盾はしない。
合理性への執着だけみれば、スコラ哲学はもちろん、中世の
思想家達のほうがよっぽと身をけずって苦闘している気がした。
本質的な矛盾は抱えてはいるものの。

形而上学には「宇宙の秩序や合理性という前提を疑わないので
あれば」という暗黙の公理が必ずまずあって、次に本書でも
キー概念になっている「充満の原理」「連続の原理」という
本質的には矛盾をきたす二つの観念が導出され、悪戦苦闘と
いうか、時には矛盾に目をつむりながら、二千年近くあざなえ
る縄のように連綿と西洋思想史の中をからみあう様が跡付け
られています。
シェリングてその矛盾が先鋭化、転換し、先に述べた
合理性や超越的神概念はエンディングをようやく迎える。
静的な凛とした完全性と時間の中で刻一刻変化する生成の活動力
の間に揺れ動いてきた西洋思想史。

本書はハーバードでの講演をもとに1933年に出版されたもの。
同時期にハーバードにはホワイトヘッドがいて、1933年は
彼の「観念の冒険」が出版された年(ラヴジョイは同校教員ではな
いらしいが)。
ホワイトヘッドの有機体の哲学の超越的かつ内在的な一種独特
な神概念も(どなたかが「万有在神論」といっていた)、本書を読
むときわめて本書が描く観念史の伝統の延長線上にあるものである
ことがよくわかる。

下手な西洋哲学史などを読むよりは、本書を熟読するほうが得るも
のは格段に多いと思う。
大著だが比較的読みやすいし、もしあなたが文系の大学生なら、
これは読んでほしいし読むべきだと思う。
15人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2013年5月19日に日本でレビュー済み
 アメリカ研究大学の嚆矢ジョンズ ホプキンスで最初の哲学教授に就任したラブジョイの観念史を具体的に描き出した名著『存在の大いなる連鎖』。彼以前にはウイリアム ジェイムズやジョン デューイも候補になっているが 初代学長ギルマンの目には適わなかった。ギルマンの研究大学における哲学の位置づけの厳しさを証明したような人選である。
 ヨーロッパの知的伝統を受け継ぎながらも、アメリカ独自の学問を創成する研究大学を理念として展開された教員人選の実践は哲学教員のそれにも適用され、2代目の学長がやっと実現する。そのようにして選ばれた哲学の業績を象徴する本書は、浩瀚であり、読者を圧倒する威圧感があった。
 今回文庫サイズにダウンサイズされて、読みやすくなった。だが内容的には、高山宏の解説と翻訳を付して、単行本を補正する構成であり、云わば、完訳に相当する。索引と訳注も詳細であり、欧米の思想における観念が2千年に渡って継承し続ける諸観念の推移を哲学史や科学史から漏れる部分に焦点を当てて、文学作品などで人口に膾炙し、実績に引き継がれ、学問的にも維持される現実との交差点で観念を分析する壮大な実績である。
 この偉大な知的作業は学術雑誌Journal of history of ideasで現在も継承され、一部は専門百科事典として6巻の大著として維持され、すでに邦訳があるが、その第2版も現在翻訳中である。
 それらの起源を詳細に語っているのが本書である。
30人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2013年6月2日に日本でレビュー済み
 久々に哲学書が読みたくなったので購入。
 とはいえ、つまんない本だといけないので冒頭を立ち読みした後、まあこれならよさそうだと購入。
 ところが、内容は冒頭の紹介文から受ける印象とはかなり違った内容でした。
 値段が1,785円と文庫本にしてはお高い値段ですので、それに見合う内容を期待しましたが、内容の8割方以上は過去の哲学者がこういっているという内容の連続です。
 玄人は別ですが、素人が哲学本への興味から購入を検討する場合は、序文、第一章〜この辺でこの本で何が述べられるのかが著者自ら紹介している〜、それと、最終章11章を速読することを強く勧めます。
最終章を読むということはまとめを読むということになり、本を読む価値が半減すると思われるかもしれませんが、タイトルや、序文だけ読んで、内容を勘違いしたまま本を購入したくないとお考えの方は一考してもいいかと思います。
 レビューを不特定多数の人が見てらっしゃるのでネタバレは割愛しますが、購入前の立ち読みで内容を検討する際にかなめとなるキーワードだけ挙げておきます:「神」「宇宙」「あの世的」「この世的」「存在の連鎖」。キーワードは重要度順です。後者3つがぼやけた言葉なのでこれを序文を読んだだけで先入観から別の意味に勘違いしたり期待を抱いたりすると危険です。前者2つのキーワードの歴史(西洋文化圏での)を思い浮かべてください。この本では我々が学校や見聞で学んできた(西洋文化、技術の)宇宙や神についての認識の知らない部分や大きな勘違いが書かれています。そういう本です。たとえば、コペルニクスの地動説はいい意味でも悪い意味でもその観念の反転の事実に対して、主役的な役割をした理論ではない、という話等。
6人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2020年3月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
  人文科学系の学徒の書棚には必ず架蔵されなければならない基本的な文献のもうひとつの優れた翻訳である。新訳には、ちくま学芸文庫の内藤氏のものがあり、これが入手しやすいが、それよりも前に出版された本書も優れた訳文で分かりやすい。しかもハードカヴァーの大判で読みやすい。
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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