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現代という時代の気質 単行本 – 2002/11/1
- 本の長さ152ページ
- 言語日本語
- 出版社晶文社
- 発売日2002/11/1
- ISBN-104794926588
- ISBN-13978-4794926586
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商品の説明
商品説明
ここにもひとりの日雇い労働者がいる。肉体労働で最低限の生活費をかせぎ、金と暇ができれば図書館で本を読む。工場には勤めない、結婚もしない、誰とでもいつでも苦悩なしに別れられることを自分のおきてにする。彼の名はホッファー。ニューヨーク生まれの哲学者だ。
本書は、ニューヨーク・タイムズ誌などに掲載されたファシズムや大衆運動、知識人批判をめぐるエッセイを集めたものだ。社会の不適合者(ミスフィット)の掃きだめから、ホッファーは独特の視点で「人間の本性」と「社会の問題」を関連づけていく。ホッファーによれば、現代社会がはらむ危機は「後進性から近代性への、従属から平等への、貧困から富裕へのドラスチックな変化」がもたらすものだ。20世紀にはロシア、ドイツ、日本など危険なスピードで近代化した国家が、革命、ファシズム、戦争という変化の副産物を生みだした。
その後、世界全体がアメリカ化するという急激な変化が、個人に不安をもたらし、新たな不適合者を生みだしている。「アメリカは大衆(マス)が社会全体に彼らの趣味や価値観を押しつけた唯一の国」だが、アメリカ以外では有史以来、社会は少数者や知識人によって形成されてきた。社会がアメリカ化していくと「知的エリート層に属している」という感情を持つ知識人こそが不適合者となり、平等で、単調で、刺激のないアメリカ的な世界に憎悪をつのらせる。現代の主役は国家間の対立ではなく、アメリカと知識人の対立の方なのだ。
ガチガチの政治学や哲学ではなく「人間のうちにある原始的でどろどろした」感情を根底に、現代社会のひずみを見きわめようとしたホッファー。本書の翻訳とあとがきを柄谷行人が担当していることについて、なるほど、と思わずうなづきたくなる人も多いのではないか。(金子 遊)
登録情報
- 出版社 : 晶文社 (2002/11/1)
- 発売日 : 2002/11/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 152ページ
- ISBN-10 : 4794926588
- ISBN-13 : 978-4794926586
- Amazon 売れ筋ランキング: - 918,559位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 178位イギリス・アメリカの思想
- - 230,238位文学・評論 (本)
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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しかし、この本のテーマとなる時代背景が古いので若い人には、難しいかもしれません。
*今でも、例えばオウム真理教のエリート幹部たちの暴走を、うまく説明できるように思います。
◆オートメーション、余暇、大衆
黒人変革
現代をどう名づけるか
自然の回復
現在についての考察
尚、III『黒人革命』、IV『現代をどう名づけるか』、V『自然の回復』、VI『現在についての考察』の四章は、翻訳ではなく原書を当たった方が理解しやすいと思われる。ホッファーの文章は英文としては読みやすいが、翻訳になると今ひとつあまりピンと来ないことがある。
そこでホッファーは失業が大衆の内部で創造の激流に至るのはアメリカの大衆が他の国の大衆に劣らぬ天賦の才に恵まれ文学や美術科学等の分野で機械工学の分野に匹敵する専門技術が普及されうる場合であると論じる。すなわち歴史には天才が至るところに出現したごく短い時代と凡庸と無気力の長い時代があると思い至る。
そこで過去に大衆が文化的創造に参加した例がひとつあると著者は指摘する。すなわちルネサンス時代のフィレンツェである。その時代芸術家の数の方が市民の数より多いと言われたのである。その要因としてホッファーは才能のスカウト制を指摘する。絵が少しでもうまければすぐに画家への誘いがきたのである。ホッファーも事実自身それを経験したのである。
そこで現代の自由企業社会は怠惰というものを重んじない倫理観を有しているが著者はあえてそれを否定せず代替的な価値観の社会を持てばよいと論じる。すなわち学校としての社会である。そこで試験州として失業者の州を作りそこに入ってきたものは皆学校に入学させる。そこでは生活必需品の生産はオートメーション化され、学区を小規模にすることによって毎日の能力開発を刺激的なものにするというのである。
現代の企業社会というもの自体にもダイナミズムが備わっているので私個人としてはそこに期待したいものだと思った。