世にあふれる書評には以下のようなものが結構多いものである。
(1)「あんた本当に読んだのか?」と思ってしまうほどに
出版社の宣伝文句に毛が生えた程度の、うっす~いもの。
(2)「付き合いで書いている(書かされてる)んだろな」と
本の内容以前に、作者周辺の人脈がぷんぷん鼻につくもの。
(3)評者の思い入れが強く、第三者からすれば意味不明、
または一番美味しいところをブチまけてしまっているもの。
今書いているこのレビューは私が作者の愛読者である以上、
所詮(3)のようなものに過ぎないのかもしれない。
しかし、念のために言っておくと私が初めて作者の文章に魅力を
感じたのは新聞の書評欄を読んでいた時、すなわち「愛読者以前」だ。
作者は読んでみたくなる「本の音の聴かち?方」を心得ていると思う。
また、既読の本の書評を読んでみても、なるほどこういう
「聴き方」があったのかー、と十分に楽しむことが出来る。
至るところで掲載される書評をフォローしきれなかった私は
「いつか本にしておくれよ」と願っていたので嬉しいかぎりである。
ところで作者は、雑誌などで「自分が~系である」と言い切るのを
拒んだり、「一番好きな作家は」という質問を退けていた気がする。
このようなやり方は時に反発を招き、相手につかみどころのない
印象を与えてしまうものだ。だが、そうせざるを得ないように思える。
一点集中型というより分散複合型の人なのではないだろうか。
あえて「部外者」のスタンスで、こつこつ書きため、84冊分。
実は全編通して堀江敏幸の音楽であったりする。ナイス。
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本の音 単行本 – 2002/3/31
堀江 敏幸
(著)
- 本の長さ256ページ
- 言語日本語
- 出版社晶文社
- 発売日2002/3/31
- ISBN-104794965273
- ISBN-13978-4794965271
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商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
恋に悩んだ時、孤独に苛まれた時、仕事に行き詰まった時・・・。解決のヒントが隠れている本84冊をテーマ別に紹介。芥川賞作家が本の声に耳を澄ませ、本音で語る初めての実践的書評集。
登録情報
- 出版社 : 晶文社 (2002/3/31)
- 発売日 : 2002/3/31
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 256ページ
- ISBN-10 : 4794965273
- ISBN-13 : 978-4794965271
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,085,034位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 737位図書館情報学
- - 975位読書法
- - 147,382位ノンフィクション (本)
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著者について
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1964(昭和39)年、岐阜県生れ。1999(平成11)年『おぱらばん』で三島由紀夫賞、2001年「熊の敷石」で芥川賞、2003年「スタンス・ドット」で川端康成文学賞、2004年、同作収録の『雪沼とその周辺』で谷崎潤一郎賞、木山捷平文学賞、2006年、『河岸忘日抄』で読売文学賞を受賞。おもな著書に、『郊外へ』『いつか王子駅で』『めぐらし屋』『バン・マリーへの手紙』『アイロンと朝の詩人―回送電車III―』『未見坂』ほか。