ライターの永江朗がインタビュアーとなって雑誌『噂の真相』に連載してきた人気コーナーの単行本化である。当初、その全てを再録するつもりでいたのだが、必ずしも全てのインタビュイーの同意を得られなかったという。昨年末の『出版ダイジェスト』紙上で単行本化を知ったぼくは出版を心待ちにしてしていた。ところが実際は2ヶ月ほど遅れての刊行となった。このことと同意の許諾問題とは無関係でないのではなどと勝手に推察した次第である。
本書の最大の魅力は、「メディア異人」とはどういった人々なのかという定義にあるのは言うまでもないが、その人を「メディア異人」たらしめた時代の感覚、つまり「旬」という捉えどころのなさそうな感覚に、法則(といったら大げさだが)のようなものがあるらしいということがわかってしまうところにあると言える。かつての「メディア異人」が現在でもそうあり続けるのは結構稀なことなのかもしれない。そういった意味では11年間の時間の隔たりは、始めのほうで俎上に上った人たちにより酷であると言えようか。積極的に再録を希望した人もいるだろうし、「まあいいか」といった調子で再録に同意した人もいるだろう。しかし再録に同意しなかった人たちには再録を拒否する強い意志が共通にある。それがどういったものなのか、俄然興味が湧いてくるのが人情というもので、むしろそのあたりを煽るかのような編集は巧みだ。つまり、各年度の始まりに1頁のとびらがあり、そこには本来雑誌には連載されていたインタビュイーの名前だけは12人分(月刊誌だったので)記されているのだが、再録に同意のなかった人名は薄墨で印刷されているという寸法なのだ。
永江朗である。そのインタビューは軽薄さを纏っているが執拗かつしたたかである。ブレヒトのコイナさんを連想したといったら褒めすぎか。
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メディア異人列伝 単行本 – 2005/3/25
永江 朗
(著)
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- 本の長さ408ページ
- 言語日本語
- 出版社晶文社
- 発売日2005/3/25
- ISBN-104794966415
- ISBN-13978-4794966414
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登録情報
- 出版社 : 晶文社 (2005/3/25)
- 発売日 : 2005/3/25
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 408ページ
- ISBN-10 : 4794966415
- ISBN-13 : 978-4794966414
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,265,960位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 8,275位倫理学入門
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- - 317,877位文学・評論 (本)
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2005年3月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2008年1月4日に日本でレビュー済み
『噂の真相』は時々本屋で立ち読みしたが、この連載には興味がなかった。相手の発言に大幅な編集を施し、寸評を加えてまとめるタイプのインタビュー記事は、屈折がかかりすぎて信頼性が低い。少なくとも私の好みではない。しかし足掛け11年、114人分のインタビュー(に基づく人物紹介)が並ぶと、また違った意味が出てくるようだ。人選は書き手や編集側の統制下にあったとは言え、存在しない人物を引っ張って来る訳ではないし、採り上げられて不思議じゃない人間の母集団は、やはり何らかの回路を通じて「時代」とつながっている。だから数が重要なのであって、数をこなすことで座標平面にぼんやりと「時代」が点描されるように思う。「継続は力なり」と言うか、「量は質に転化する」と言うか…
ただ、同形式の記事がこれだけ並ぶと著者のクセも目立つ。例えば導入部での人物描写で、仕事振りから××を予想したのに意外や○○だった、というパタンがかなり多い(気が付いた限りでは、原一男・宮嶋茂樹・山口みずか・枡野浩一・田口トモロヲ・松田美智子・青木理・魚住昭・黒木昭雄・山形浩生・田中宇・中山清美・森暢平・田中良紹)。で、××に入るのが概ね野獣系、肉体派、強面というような形容(森の場合のように、「物腰柔らかなノーブルな香り漂う人」ってのもあるが…)。対して○○には温和、腰が低い、礼儀正しい、丁寧、折り目正しい、控え目、朴訥、庶民的といった系列の形容表現が多い。
この辺りから著者の人物評価の基準も伺えるが、それがやや単調な点が気にかかる。ライター稼業を続ける中で身につけた(かもしれない)、クリシェで場を凌ぐテクニックが、頭の芯まで侵食していなければいいがと、余計な心配もしてしまった。
ただ、同形式の記事がこれだけ並ぶと著者のクセも目立つ。例えば導入部での人物描写で、仕事振りから××を予想したのに意外や○○だった、というパタンがかなり多い(気が付いた限りでは、原一男・宮嶋茂樹・山口みずか・枡野浩一・田口トモロヲ・松田美智子・青木理・魚住昭・黒木昭雄・山形浩生・田中宇・中山清美・森暢平・田中良紹)。で、××に入るのが概ね野獣系、肉体派、強面というような形容(森の場合のように、「物腰柔らかなノーブルな香り漂う人」ってのもあるが…)。対して○○には温和、腰が低い、礼儀正しい、丁寧、折り目正しい、控え目、朴訥、庶民的といった系列の形容表現が多い。
この辺りから著者の人物評価の基準も伺えるが、それがやや単調な点が気にかかる。ライター稼業を続ける中で身につけた(かもしれない)、クリシェで場を凌ぐテクニックが、頭の芯まで侵食していなければいいがと、余計な心配もしてしまった。
2005年8月14日に日本でレビュー済み
本書は今は無き「噂の真相」の連載企画をまとめたものである。刊行にあたって掲載を拒否したインタビュイーも少なからずいたようだがそれも頷ける。「噂の真相」というリスキーだが注目度も高い雑誌にフロー的に取材を受けるのと、永江朗の“作品”として、ストック的に収められてしまうのでは、明らかに意味が違ってくる。
ただでさえこの企画は、インタビューだけで構成されているものではなく、永江朗の後出しジャンケン&勝ち逃げ的な人物評がキモになっている。もちろん確信犯ではあるけれど、インタビュイー圧倒的不利で、インタビュアー永江朗に圧倒的アドバンテージがある企画なのだ。連載が始まった当初は永江朗も“どこの馬の骨”で影響力もなかったからいいようなものの、いまや一線級の物書きである。「永江の作品にされるのは御免」っていう掲載拒否者の気持ちもよくわかるのだ。
今回まとめ読みしてみて、この長期連載企画が永江朗を物書きとして大きく成長させる装置だったことがわかる。文章もそうだが、この企画によって得た人脈も大きな財産になっていることだろう。
また、まとめて読むと誘導尋問的なインタビュー術と、都合の良い部分だけを切り貼りして自分の解釈に嵌め込む編集術が、さらに透けて見えてしまい、単行本化の功罪のようにも思える。
もちろん、インタビュイーの人選だけでも90年代という時代を振り返る貴重なデータだし、噛み合ってる、噛み合ってない、突っ込まれる、切り返す、あるいは最終的にどう解釈・加工されるか、といった永江朗とのスタンスによって、その人物のポジショニングを手早く知ることが出来るのも良い点だ。
なにかシニカルな書き方になってしまったけど、永江朗の人物評が鋭いからこその掲載拒否でもある。永江朗の仕事には個人的に注目もしている。次作にも期待したい。
ただでさえこの企画は、インタビューだけで構成されているものではなく、永江朗の後出しジャンケン&勝ち逃げ的な人物評がキモになっている。もちろん確信犯ではあるけれど、インタビュイー圧倒的不利で、インタビュアー永江朗に圧倒的アドバンテージがある企画なのだ。連載が始まった当初は永江朗も“どこの馬の骨”で影響力もなかったからいいようなものの、いまや一線級の物書きである。「永江の作品にされるのは御免」っていう掲載拒否者の気持ちもよくわかるのだ。
今回まとめ読みしてみて、この長期連載企画が永江朗を物書きとして大きく成長させる装置だったことがわかる。文章もそうだが、この企画によって得た人脈も大きな財産になっていることだろう。
また、まとめて読むと誘導尋問的なインタビュー術と、都合の良い部分だけを切り貼りして自分の解釈に嵌め込む編集術が、さらに透けて見えてしまい、単行本化の功罪のようにも思える。
もちろん、インタビュイーの人選だけでも90年代という時代を振り返る貴重なデータだし、噛み合ってる、噛み合ってない、突っ込まれる、切り返す、あるいは最終的にどう解釈・加工されるか、といった永江朗とのスタンスによって、その人物のポジショニングを手早く知ることが出来るのも良い点だ。
なにかシニカルな書き方になってしまったけど、永江朗の人物評が鋭いからこその掲載拒否でもある。永江朗の仕事には個人的に注目もしている。次作にも期待したい。