本書は科学と社会を視野に入れた時評を集めたものだ．
著者は著名な天文学者で，朝日新聞にもコラムを連載していた時期があり，よく目にしていた．著者が地球温暖化問題などについてどのように考えているかを知りたくて読んでみた．
興味深かった時評は，「江戸の科学者」「地域自立のための技術」「医療の倫理を講義して」「地震は予知できない」「複雑系としての地球の環境問題」などである．
これらを読むと現代社会の問題がわかる．なぜ，ニセ科学に嵌るのか，なぜ，考えもせずに短絡的に信じるのか．
専門家が言っているから正しいと思考停止しがちな現代人．それから脱するには，科学をベースにするしかない．
本書は気楽に読めるエッセー集である．ただ，初出が2004年から2008年までのものであるので，ちょっと古い．しかし，内容的にはその古さはあまり感じない．
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