自作だけを語っているわけではない。ほかの作家、脚本家、映画監督とその作品について歯に衣着せぬ物言いもしている。原題は”Listen to the echoes”。もちろん、自身の失敗談や自慢話もたくさん出てくる。写真も16ページ。
『火星年代記』は、アンダーソンの『ワインズバーグ、オハイオ』からインスピレーションを得たと、ほかのところではそう書いていた(『火星年代記』新版のまえがき)。ところが、本書では、スタインベックの『怒りの葡萄』がヒントになったとも言っている。どちらがほんとうなのか、どちらもなのか。
ヘミングウェイの息子と知り合いになったことも話している。1949年、UCLAの図書館に通ううちにバス停でことばを交わすようになった。聞くと、22歳、キューバ育ちで、名前はヘミングウェイ。一度、奥さんと赤ちゃんを連れて家に遊びにきたという。……しかし、ヘミングウェイには3人の息子がいたが、私の調べたかぎりでは、だれもロスに住んだことはない。年齢の点で可能性の高いのは次男のパトリックだが、その頃に結婚はしていなかったし、もちろん子どももいなかった。ブラッドベリが知己になったのはだれなのか、記憶違いなのか、かつがれたのか、あるいは聞き手を楽しませるための作り話なのか。
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ブラッドベリ、自作を語る 単行本(ソフトカバー) – 2012/6/2
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「華氏451度」「火星年代記」「たんぽぽのお酒」などの傑作を生み出し、SFを文学の領域にまで高めた巨匠レイ・ブラッドベリ。政治家のゴルバチョフから映画監督のヒッチコック、ミュージシャンのデビッド・ボウイまで、愛読者は幅広く、現代の文化・社会に与えた影響ははかりしれない。
本書は、ブラッドベリとその研究の第一人者サム・ウェラーの、10年以上にわたる対話から生まれた。創作秘話、著名人との交遊、愛、信仰、未来予測……、ときに愉快で、熱くて、頑固で、人を驚かせ、愛にあふれる、ブラッドベリの生の姿が記録されている。
本書は、ブラッドベリとその研究の第一人者サム・ウェラーの、10年以上にわたる対話から生まれた。創作秘話、著名人との交遊、愛、信仰、未来予測……、ときに愉快で、熱くて、頑固で、人を驚かせ、愛にあふれる、ブラッドベリの生の姿が記録されている。
- 本の長さ404ページ
- 言語日本語
- 出版社晶文社
- 発売日2012/6/2
- ISBN-104794967810
- ISBN-13978-4794967817
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商品の説明
著者について
レイ・ブラッドベリ
1920年、アメリカ、イリノイ州生まれ。アメリカでもっとも名高い小説家のひとり。『火星年代記』『華氏451度』『たんぽぽのお酒』『何かが道をやってくる』など著作多数。米国ナショナル・ブック・アウォード(2000年)ほか数々の賞を受賞。ロサンゼルス在住。
サム・ウェラー
1967年生まれ。パブリッシャーズ・ウィークリーの通信員をつとめた後、パリス・レヴュー、シカゴ・トリビューン、Playboy.comなどで執筆するジャーナリスト。コロンビア・カレッジ・シカゴの創作科で教鞭をとる。レイ・ブラッドベリの作品と人生について、全米で講義をしている。
1920年、アメリカ、イリノイ州生まれ。アメリカでもっとも名高い小説家のひとり。『火星年代記』『華氏451度』『たんぽぽのお酒』『何かが道をやってくる』など著作多数。米国ナショナル・ブック・アウォード(2000年)ほか数々の賞を受賞。ロサンゼルス在住。
サム・ウェラー
1967年生まれ。パブリッシャーズ・ウィークリーの通信員をつとめた後、パリス・レヴュー、シカゴ・トリビューン、Playboy.comなどで執筆するジャーナリスト。コロンビア・カレッジ・シカゴの創作科で教鞭をとる。レイ・ブラッドベリの作品と人生について、全米で講義をしている。
登録情報
- 出版社 : 晶文社 (2012/6/2)
- 発売日 : 2012/6/2
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 404ページ
- ISBN-10 : 4794967810
- ISBN-13 : 978-4794967817
- Amazon 売れ筋ランキング: - 517,429位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
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2020年10月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
作家ブラッドぺリのインタビュー録
彼の創作の原点や理由まで語られるブラッドぺリファン必見の一冊
正しく人生が変わるような力に満ち溢れた本!
彼の創作の原点や理由まで語られるブラッドぺリファン必見の一冊
正しく人生が変わるような力に満ち溢れた本!
2017年12月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ブラッドベリの熱烈なファンを自認する者として、非常に嬉しい1冊❣️ いろいろなジャンルの質問に、率直に答えていて好感する。子供の頃から好奇心と行動力の旺盛なキャラクターがうかがえる。映画が大好きで、ポジティブな性格に納得した。若い頃のハンサムなブラッドベリの顔も新鮮な驚き。ただ通読して、SF、ファンタジーの巨匠でありながら、UFOや宇宙人の実在を信じていないようで、肩透かしを食らった。^_^
2013年10月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
こんなに小説家の魅力があふれているインタビュー集はあるでしょうか、というくらい面白いです。
ブラッドベリ作品をそんなに深く読み込んでいない者でも、
まるで著者を囲む会でお話を聴かせてもらっているかのような気持ちになりました。
買ってよかった本です。
ブラッドベリ作品をそんなに深く読み込んでいない者でも、
まるで著者を囲む会でお話を聴かせてもらっているかのような気持ちになりました。
買ってよかった本です。
2012年6月10日に日本でレビュー済み
レイ・ブラッドベリを偲んで、なにか一冊買おう・・・と思って書店に入ったら、本書が新刊本として平積みされていた。値段はややお高くはあったが、これも何かの縁だろうと、本書に決めた。そして、2日がかりで一気に読んでしまった。
本書は、ブラッドベリの伝記作家でもあるサム・ウェラーが、2000年から2010年にかけて行った膨大なインタビューをまとめたもので、400ページ近くにも及ぶ。
とにかく、多岐にわたるテーマで語られていて、今まで知らなかったブラッドベリの様々なエピソードを知ることができて、本当に面白い。かなり最近の話まで読めるのが嬉しい反面、これが最後なんだという寂しさもある。
幼年時代の記憶にはじまり、映画狂だった少年時代、名声を確立してからの著名人たちとの交友、もちろんSFや創作秘話、また政治や信仰についても。そして小説の中ではあまり描かれない性の話など、13のテーマに及ぶロング・インタビュー。
創作のルーツは、やっぱりカーニバルの芸人「ミスター・エレクトリコ」との出逢いだった!しかもブラッドベリが生まれる前に友人だったという、まるで物語のような不思議なエピソード。
映画オタクともいえるような青年時代、撮影所の近くをうろついて、スターたちのサインや、一緒の写真をせがんでせっせとコレクションを集めた話(ディートリッヒと若きレイの2ショット写真が掲載されている)。
ファンに支持されている名篇のひとつ「集会」は雑誌『マドモアゼル』に投稿したのだが、他の投稿原稿の中に埋もれかけていたブラッドベリの原稿を発掘したのは、何と当時編集者をしていたトゥルーマン・カポーティだったという話。
名前が売れ始め、映画やテレビの脚本を書き始めたころ、ロッド・サーリングとも仕事をするようになるが、サーリングは無断盗用の常習者で、『トワイライト・ゾーン』ではブラッドベリのみならず、ヘンリー・カットナーやジョン・コリアなどもたびたびネタの盗用を繰り返された・・・一方、『ヒッチコック劇場』ではとても良好な関係を築いたという話。ヒッチコックの『鳥』は、当初ブラッドベリに脚本依頼が来たのだが、そのとき別の仕事が入っていたため書けなかったらしい。しかもその「別の仕事」は、よりによって『ヒッチコック劇場』だったという笑い話も。
自作についての話などは、「作品は自分の子供のようなものだからこれが一番好きというえこひいきはできない」というブラッドベリを見事に誘導して、数々の名短篇誕生秘話をしっかり聞き出してしまうウェラー氏の手腕&事情通ぶりは、さすが伝記本を書くために何百時間もインタビューをしただけのことはあって読者を喜ばせてくれる。あまり他では読めないような、貴重なエピソードを読むことができるのだ。
ブラッドベリはメキシコの死者の祭りやガイコツの砂糖菓子などをよく好んで題材に取り上げているが、20代のころに住んでいたアパートに、メキシコ系の住人たちが多く、実話を元にして書かれた短篇もけっこう多いらしい。
しかし何よりも面白いのは、ブラッドベリがいかに著名人たちから愛されていたかを物語るエピソード。サミー・デイビス・Jr.は初めて会った時、いきなり足元にひざまづき、あわてたブラッドベリが「まずいですよ。まるで靴磨きみたいです」と言ったら「じゃあ、磨く、磨く!」とまで答えたという話や、ビバリーヒルズの街角に立っていたら、シドニー・ポワチエが車で通りかかって、突然停車し「ブラッドベリさん、私大ファンです!」と言うやいなや走り去っていった話、フェリーニとローマで会った時は「私たちはまるで双子だ!」(掲載されている写真がホントにそっくりで爆笑)と言ってブラッドベリを感激させた話、ロシアの巨匠、セルゲイ・ボルダンチュク(超大作『戦争と平和』の監督)がハリウッドに招待されたとき、ウィリアム・ワイラーやジョージ・キューカー、ビリー・ワイルダーといった巨匠たちの最後尾にブラッドベリが並んでいたら、「ああ、レイ・ブラッドベリ!レイ・ブラッドベリ!」と叫んで、居並ぶハリウッドの巨匠監督たちを差し置いて、ブラッドベリを自分のテーブルに連れて行ってしまい、他の監督たちは「なぜ監督でなく若造の作家を?」とキョトンとしてしまった、という話・・・。
そして、ブラッドベリの娘のボーイフレンドに至っては、
BF「お父さんの小説をどう思う?『何かが道をやってくる』は?」と聞くや、
娘 「え、なに?」
BF「それって読んだ方がいいぜ。読まないんなら、もう別れよう!」
・・・一体どんだけ愛されているのだろうか、ブラッドベリは(笑)。
しかし、こうしたエピソードを、いやみなく、少年のように嬉々として語るところが何より素敵なのだ。
他にも面白かったのは、雑誌社の友人からヘミングウェイの新作が掲載されると聞いて、真夜中に二人で印刷所に行き、刷りたての雑誌を手にしてわくわく読んだという話。そう、当時最新作だった「老人と海」を、読者として誰よりも先に読んだのがブラッドベリだったのだ!
また、巻末に『パリス・レヴュー』インタビュー'76 という、1976年に雑誌「Pars Review」のために受けたが、編集長の判断で掲載されなかった、30ページほどの幻のインタビュー記事が特別掲載されている。まだ若かった頃のものだけに中々とんがっていて、インテリ派の作家に対するかなり辛らつな発言をしていて、本編のインタビューとの口調の違いなどを比べるのも興味深い。
本書では、今まで知らなかった、あるいは伝説のようにはっきりしなかったエピソードが、本人の口から語られ、素顔のブラッドベリと出逢える。しかし悲しいかな、もうこれっきりなのだ。
2012年6月5日、永眠。享年91歳。
奇しくも、本書が日本で出版されたタイミングは、ブラッドベリへの追悼となってしまった。
「二百年後の火星で、僕の本が読まれるだろう。そう思うとうれしくなる。大気もない死んだ惑星に人がいてね。夜更かしの少年が、懐中電灯を用意して、ベッドにもぐり込んだまま、火星で『火星年代記』を読むんだ」
ブラッドベリはどこか遠くに往ってしまった。だけど、本を開けば、いつでもそこには10月の射光がさしこむ屋根裏部屋や、秋の森が黄金に輝き、たんぽぽが風にそよぐ草原では運動靴をはいた少年が月まで飛び上がり、カーニバルの木馬は逆回転し、お菓子の髑髏がさんざめき、閃くいかずちに浮かび上がった異形の者たちがそぞろ歩いてゆく。
歌おう、感電するほどの喜びを!ブラッドベリは永遠だ。
本書は、ブラッドベリの伝記作家でもあるサム・ウェラーが、2000年から2010年にかけて行った膨大なインタビューをまとめたもので、400ページ近くにも及ぶ。
とにかく、多岐にわたるテーマで語られていて、今まで知らなかったブラッドベリの様々なエピソードを知ることができて、本当に面白い。かなり最近の話まで読めるのが嬉しい反面、これが最後なんだという寂しさもある。
幼年時代の記憶にはじまり、映画狂だった少年時代、名声を確立してからの著名人たちとの交友、もちろんSFや創作秘話、また政治や信仰についても。そして小説の中ではあまり描かれない性の話など、13のテーマに及ぶロング・インタビュー。
創作のルーツは、やっぱりカーニバルの芸人「ミスター・エレクトリコ」との出逢いだった!しかもブラッドベリが生まれる前に友人だったという、まるで物語のような不思議なエピソード。
映画オタクともいえるような青年時代、撮影所の近くをうろついて、スターたちのサインや、一緒の写真をせがんでせっせとコレクションを集めた話(ディートリッヒと若きレイの2ショット写真が掲載されている)。
ファンに支持されている名篇のひとつ「集会」は雑誌『マドモアゼル』に投稿したのだが、他の投稿原稿の中に埋もれかけていたブラッドベリの原稿を発掘したのは、何と当時編集者をしていたトゥルーマン・カポーティだったという話。
名前が売れ始め、映画やテレビの脚本を書き始めたころ、ロッド・サーリングとも仕事をするようになるが、サーリングは無断盗用の常習者で、『トワイライト・ゾーン』ではブラッドベリのみならず、ヘンリー・カットナーやジョン・コリアなどもたびたびネタの盗用を繰り返された・・・一方、『ヒッチコック劇場』ではとても良好な関係を築いたという話。ヒッチコックの『鳥』は、当初ブラッドベリに脚本依頼が来たのだが、そのとき別の仕事が入っていたため書けなかったらしい。しかもその「別の仕事」は、よりによって『ヒッチコック劇場』だったという笑い話も。
自作についての話などは、「作品は自分の子供のようなものだからこれが一番好きというえこひいきはできない」というブラッドベリを見事に誘導して、数々の名短篇誕生秘話をしっかり聞き出してしまうウェラー氏の手腕&事情通ぶりは、さすが伝記本を書くために何百時間もインタビューをしただけのことはあって読者を喜ばせてくれる。あまり他では読めないような、貴重なエピソードを読むことができるのだ。
ブラッドベリはメキシコの死者の祭りやガイコツの砂糖菓子などをよく好んで題材に取り上げているが、20代のころに住んでいたアパートに、メキシコ系の住人たちが多く、実話を元にして書かれた短篇もけっこう多いらしい。
しかし何よりも面白いのは、ブラッドベリがいかに著名人たちから愛されていたかを物語るエピソード。サミー・デイビス・Jr.は初めて会った時、いきなり足元にひざまづき、あわてたブラッドベリが「まずいですよ。まるで靴磨きみたいです」と言ったら「じゃあ、磨く、磨く!」とまで答えたという話や、ビバリーヒルズの街角に立っていたら、シドニー・ポワチエが車で通りかかって、突然停車し「ブラッドベリさん、私大ファンです!」と言うやいなや走り去っていった話、フェリーニとローマで会った時は「私たちはまるで双子だ!」(掲載されている写真がホントにそっくりで爆笑)と言ってブラッドベリを感激させた話、ロシアの巨匠、セルゲイ・ボルダンチュク(超大作『戦争と平和』の監督)がハリウッドに招待されたとき、ウィリアム・ワイラーやジョージ・キューカー、ビリー・ワイルダーといった巨匠たちの最後尾にブラッドベリが並んでいたら、「ああ、レイ・ブラッドベリ!レイ・ブラッドベリ!」と叫んで、居並ぶハリウッドの巨匠監督たちを差し置いて、ブラッドベリを自分のテーブルに連れて行ってしまい、他の監督たちは「なぜ監督でなく若造の作家を?」とキョトンとしてしまった、という話・・・。
そして、ブラッドベリの娘のボーイフレンドに至っては、
BF「お父さんの小説をどう思う?『何かが道をやってくる』は?」と聞くや、
娘 「え、なに?」
BF「それって読んだ方がいいぜ。読まないんなら、もう別れよう!」
・・・一体どんだけ愛されているのだろうか、ブラッドベリは(笑)。
しかし、こうしたエピソードを、いやみなく、少年のように嬉々として語るところが何より素敵なのだ。
他にも面白かったのは、雑誌社の友人からヘミングウェイの新作が掲載されると聞いて、真夜中に二人で印刷所に行き、刷りたての雑誌を手にしてわくわく読んだという話。そう、当時最新作だった「老人と海」を、読者として誰よりも先に読んだのがブラッドベリだったのだ!
また、巻末に『パリス・レヴュー』インタビュー'76 という、1976年に雑誌「Pars Review」のために受けたが、編集長の判断で掲載されなかった、30ページほどの幻のインタビュー記事が特別掲載されている。まだ若かった頃のものだけに中々とんがっていて、インテリ派の作家に対するかなり辛らつな発言をしていて、本編のインタビューとの口調の違いなどを比べるのも興味深い。
本書では、今まで知らなかった、あるいは伝説のようにはっきりしなかったエピソードが、本人の口から語られ、素顔のブラッドベリと出逢える。しかし悲しいかな、もうこれっきりなのだ。
2012年6月5日、永眠。享年91歳。
奇しくも、本書が日本で出版されたタイミングは、ブラッドベリへの追悼となってしまった。
「二百年後の火星で、僕の本が読まれるだろう。そう思うとうれしくなる。大気もない死んだ惑星に人がいてね。夜更かしの少年が、懐中電灯を用意して、ベッドにもぐり込んだまま、火星で『火星年代記』を読むんだ」
ブラッドベリはどこか遠くに往ってしまった。だけど、本を開けば、いつでもそこには10月の射光がさしこむ屋根裏部屋や、秋の森が黄金に輝き、たんぽぽが風にそよぐ草原では運動靴をはいた少年が月まで飛び上がり、カーニバルの木馬は逆回転し、お菓子の髑髏がさんざめき、閃くいかずちに浮かび上がった異形の者たちがそぞろ歩いてゆく。
歌おう、感電するほどの喜びを!ブラッドベリは永遠だ。
2012年6月27日に日本でレビュー済み
オモロイ
創作の秘密
著名人とのつきあい
幼年期の記憶
自作について
政治とセックスについて
など、興味深く読める
自分の浮気の話も隠さずしゃべっている
ブラッドベリは禅にひかれていたらしく、
彼の哲学をせんじつめると、
「考えるな、行え」
となる
あと、何に関しても好き嫌いがハッキリしていてすがすがしい
あと、ブラッドベリは本当に人生を楽しんだようだ
アメリカの最良の部分だったのかもしれない
創作の秘密
著名人とのつきあい
幼年期の記憶
自作について
政治とセックスについて
など、興味深く読める
自分の浮気の話も隠さずしゃべっている
ブラッドベリは禅にひかれていたらしく、
彼の哲学をせんじつめると、
「考えるな、行え」
となる
あと、何に関しても好き嫌いがハッキリしていてすがすがしい
あと、ブラッドベリは本当に人生を楽しんだようだ
アメリカの最良の部分だったのかもしれない
2012年6月21日に日本でレビュー済み
こちらのレビューを読んで購入しました。
ブラッドベリ・ファンはもちろん、ブラッドベリの著作を読んだことがない読者でも楽しめる内容だと思います。
作品もさることながら、人物が素晴らしい。いくつになっても、おもちゃが大好き、ユーモアと茶目っ気たっぷり、心優しく、どこか頑固で、可愛らしい人物像が透けて見えます。
カバーの写真は自室なのでしょうか。おもちゃだらけで、幸せそうです。
「人が前に進むように手助けをする。・・(略)・・その人が次の日もしっかり生きられて、前の日よりよくなる、というように手を貸すのが僕の仕事。」
「このところ何年か、あれこれのストーリーを書きながら、ずっと生きてるかぎり人を幸せにしていたいという気持ちが強くなった。だからファンタジーはすばらしいんだ。現実ばかりじゃ気が滅入るだろ。ひどい気分で何もできなくなる。」
「どんな芸術もすばらしいよ。どれか一つとは言えない。もし生まれ変わったような気にさせてくれて、朝にはベッドから起きようというような気にさせてくれるなら、何であれ、もう立派な芸術じゃないかな。」
12歳のとき、ブラッドベリ少年は、サーカスの巡業で「ミスター・エレクトリコ」という芸人に出会う。翌日は叔父さんのお葬式。墓地から車で帰る途中、テントにいる「ミスター・エレクトリコ」を発見、「親父はかんかんに怒っていた」けれどむりやり車を停めてもらって、少年は駆け出す。
「僕は死から逃げようとしたんじゃないかな。つまり、生に向けて走り出した。」
この日から、自分は変わった、と感じたブラッドベリ、そこから小説を書き始め、「以来、書き続けてる。」
名誉な賞を与えられたり、ハリウッドの歩道に名前を刻むよりも、あなたの作品を読んで人生が変わりました、とファンから声をかけられることをこそ光栄に思う、そんな言葉が繰り返される。
「ミスター・エレクトリコ」に救われた少年が、著作によって世界の人々を救う。
「永遠に生きよ!」と云われた少年が、その著作によって永遠に生きる。
追悼のニュースでブラッドベリに初めて触れる方もいらっしゃると思いますが、そのうちの何割かが、人生を変えていく・・・と想像するだけで、幸福な気持ちになります。
お墓は火星に。献花はたんぽぽに限る。
そう書いてあるので、火星にたんぽぽをお供えしたいです。
ブラッドベリ・ファンはもちろん、ブラッドベリの著作を読んだことがない読者でも楽しめる内容だと思います。
作品もさることながら、人物が素晴らしい。いくつになっても、おもちゃが大好き、ユーモアと茶目っ気たっぷり、心優しく、どこか頑固で、可愛らしい人物像が透けて見えます。
カバーの写真は自室なのでしょうか。おもちゃだらけで、幸せそうです。
「人が前に進むように手助けをする。・・(略)・・その人が次の日もしっかり生きられて、前の日よりよくなる、というように手を貸すのが僕の仕事。」
「このところ何年か、あれこれのストーリーを書きながら、ずっと生きてるかぎり人を幸せにしていたいという気持ちが強くなった。だからファンタジーはすばらしいんだ。現実ばかりじゃ気が滅入るだろ。ひどい気分で何もできなくなる。」
「どんな芸術もすばらしいよ。どれか一つとは言えない。もし生まれ変わったような気にさせてくれて、朝にはベッドから起きようというような気にさせてくれるなら、何であれ、もう立派な芸術じゃないかな。」
12歳のとき、ブラッドベリ少年は、サーカスの巡業で「ミスター・エレクトリコ」という芸人に出会う。翌日は叔父さんのお葬式。墓地から車で帰る途中、テントにいる「ミスター・エレクトリコ」を発見、「親父はかんかんに怒っていた」けれどむりやり車を停めてもらって、少年は駆け出す。
「僕は死から逃げようとしたんじゃないかな。つまり、生に向けて走り出した。」
この日から、自分は変わった、と感じたブラッドベリ、そこから小説を書き始め、「以来、書き続けてる。」
名誉な賞を与えられたり、ハリウッドの歩道に名前を刻むよりも、あなたの作品を読んで人生が変わりました、とファンから声をかけられることをこそ光栄に思う、そんな言葉が繰り返される。
「ミスター・エレクトリコ」に救われた少年が、著作によって世界の人々を救う。
「永遠に生きよ!」と云われた少年が、その著作によって永遠に生きる。
追悼のニュースでブラッドベリに初めて触れる方もいらっしゃると思いますが、そのうちの何割かが、人生を変えていく・・・と想像するだけで、幸福な気持ちになります。
お墓は火星に。献花はたんぽぽに限る。
そう書いてあるので、火星にたんぽぽをお供えしたいです。
2012年6月30日に日本でレビュー済み
本書の著者は、ブラッドベリ研究の第一人者のS・ウェラー。
本のタイトルは「ブラッドベリ、自作を語る」となっているが、本書内のインタビューはブラッドベリの著作についてのみではなく、彼の思想、映画評、携わった映像作品の脚本、大監督、著名人とのエピソード、政治、性にいたるまで、テーマは広範囲にわたり、約10年間にわたってインタビューしたもので、すごく面白い。
まえがきに書かれた、晩年訪れたプレイボーイハウスを気に入ってしまった子供のようなブラッドベリ、ホワイトハウスでのブラッドベリへのブッシュ大統領の行動など、光景を想像するだけで微笑ましくなった。
幼年時代の記憶と想像力を育んだ絵本、ブラッドベリに多大な影響を与えたハリウッド、偶然遭遇したG・ガルボのエピソード、J・ヒューストン監督の「白鯨」における確執と後日談、N・レイ監督の「キング・オブ・キングス」のナレーションの件、依頼を受けながら断った映画脚本、各映画評(「華氏451」「2001年宇宙の旅」「スター・ウォーズ」「スター・トレック」「L.Aコンフィデンシャル」etc)や俳優談等、ブラッドベリの視点で語られている。
特に、ブラッドベリの言葉「映画の秘密は脚本」には、含蓄があると思う。
プライベートに関わる「性」の章では、不実なブラッドベリに対する妻からの赦しの言葉に思わず笑ってしまったが、天才作家・大作家という面ではなく、人間味あふれる一面がのぞいて親近感をおぼえたエピソードの一つ。
ブラッドベリ同様、少年のような心を持ち続けたフェリーニ監督とローマで会って意気投合した際、フェリーニからの言葉にブラッドベリが感動したくだりに、思わず胸が熱くなってしまった。
宇宙開発の意義、インターネット批判、「本」の魅力、建築に関する興味〜私が大好きなF・ロイド・ライト設計の「マリン郡庁舎」に関わる部分も、興味深く読めた箇所。
ブラッドベリの著作を多く読んでいる方はもちろん、そうでない方も楽しめる良書だと思う。本書を読んでから、ブラッドベリの著作、関わった映像作品に興味を抱いて触れたくなるような書。
ブラッドベリが語った「埋葬されたい場所・遺灰を入れてほしい器・墓石に刻まれたい文字」などは、ファンタジックでユーモアにあふれていた。
モノクロの貴重な写真も多く掲載されている。
本のタイトルは「ブラッドベリ、自作を語る」となっているが、本書内のインタビューはブラッドベリの著作についてのみではなく、彼の思想、映画評、携わった映像作品の脚本、大監督、著名人とのエピソード、政治、性にいたるまで、テーマは広範囲にわたり、約10年間にわたってインタビューしたもので、すごく面白い。
まえがきに書かれた、晩年訪れたプレイボーイハウスを気に入ってしまった子供のようなブラッドベリ、ホワイトハウスでのブラッドベリへのブッシュ大統領の行動など、光景を想像するだけで微笑ましくなった。
幼年時代の記憶と想像力を育んだ絵本、ブラッドベリに多大な影響を与えたハリウッド、偶然遭遇したG・ガルボのエピソード、J・ヒューストン監督の「白鯨」における確執と後日談、N・レイ監督の「キング・オブ・キングス」のナレーションの件、依頼を受けながら断った映画脚本、各映画評(「華氏451」「2001年宇宙の旅」「スター・ウォーズ」「スター・トレック」「L.Aコンフィデンシャル」etc)や俳優談等、ブラッドベリの視点で語られている。
特に、ブラッドベリの言葉「映画の秘密は脚本」には、含蓄があると思う。
プライベートに関わる「性」の章では、不実なブラッドベリに対する妻からの赦しの言葉に思わず笑ってしまったが、天才作家・大作家という面ではなく、人間味あふれる一面がのぞいて親近感をおぼえたエピソードの一つ。
ブラッドベリ同様、少年のような心を持ち続けたフェリーニ監督とローマで会って意気投合した際、フェリーニからの言葉にブラッドベリが感動したくだりに、思わず胸が熱くなってしまった。
宇宙開発の意義、インターネット批判、「本」の魅力、建築に関する興味〜私が大好きなF・ロイド・ライト設計の「マリン郡庁舎」に関わる部分も、興味深く読めた箇所。
ブラッドベリの著作を多く読んでいる方はもちろん、そうでない方も楽しめる良書だと思う。本書を読んでから、ブラッドベリの著作、関わった映像作品に興味を抱いて触れたくなるような書。
ブラッドベリが語った「埋葬されたい場所・遺灰を入れてほしい器・墓石に刻まれたい文字」などは、ファンタジックでユーモアにあふれていた。
モノクロの貴重な写真も多く掲載されている。