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絵画の政治学 (フェミニズム・アート) 単行本 – 1996/11/1

4.3 5つ星のうち4.3 21個の評価

商品の説明

内容(「MARC」データベースより)

美術における政治性、特にフェミニズムの視点からとらえた鋭い論評で美術史界の流れを変えた美術評論家の、19世紀絵画についての論文9編。美術史を「他者性」の視点から考える試みに含まれる様々な問題を扱う。

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 彩樹社 (1996/11/1)
  • 発売日 ‏ : ‎ 1996/11/1
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本 ‏ : ‎ 267ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4795239312
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4795239319
  • カスタマーレビュー:
    4.3 5つ星のうち4.3 21個の評価

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リンダ・ノックリン
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美術における政治的なものを、どのように考えるべきか
5 星
美術における政治的なものを、どのように考えるべきか
『絵画の政治学』(リンダ・ノックリン著、坂上桂子訳、ちくま学芸文庫)は、美術における政治的なものを、どのように考えるべきかを論じています。19世紀の絵画を、ヨーロッパvsオリエント、純粋芸術vs大衆芸術、男性vs女性といった、作品を取り巻く社会的・政治的関係性から読み解いていこうという意欲的な著作です。例えば、世界の中心としてのヨーロッパvs辺境としてのオリエントは、ジャン・レオン・ジェロームの「奴隷市場」を巡って、このように解説されています。「このようなオリエンタリズムの性を主題とした絵画が創造される動機づけと、こうした主題への欲望は、純粋に民族学的な意味とはほとんど関係ない。ジェロームのような画家たちは、裸の力ない女性と洋服を着た力強い男性を提示するという似たようなテーマを、いろいろな設定の中に、つくろって描くことができた。このような、舌鼓を打たせるような人気のある刺激的な主題の作品が制作される背後には、もちろん、美しい奴隷の女性の甘味な屈辱が、道徳的な覗き趣味の人々に満足感を与えるという事情がある。彼女たちは、どこか遠くで自分たちの意志に反して捕えられた無垢の女性として描かれており、その裸体は、非難ではなくむしろ同情される対象となっている。彼女たちはまた、誘惑的な肉体をおおうよりはむしろ、目をそらすという迎合的な態度をとっている。ところで、女性の裸に対する男性の力を、オリエンタリズムによって主張したジェロームの絵には人気があり、19世紀のサロンでもしばしば見られた」。「彼(ジェローム)は実際次のように語っている。『私やそのほか正しい考えのフランス人たちが、このような出来事に関わっているとは、思わないように。私は単に、私たちほど教養のない民族が、裸の女性の売買をほしいままにしているという事実――しかしながら、なんと、挑発的なことだろう――を、注意深く描きとめているだけである』。同時代の多くの絵画作品のように、ジェロームのオリエンタリズムの絵は、力について2つのタイプのイデオロギー上の前提を何とか具体化しようとしている。そのひとつは、女性を支配する男性の力である。もうひとつは、白人男性の、より肌の濃い色の民族への、正確に言うなら、このような悲しくも淫らな商売にはげむ人々に対する優位性であり、すなわち、彼らに対する正当な支配である」。いささか学術的な解説であるが、それはそれとして、掲載されている絵画そのものを、先ずはじっくり鑑賞することにいたしましょう。
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上位レビュー、対象国: 日本

2022年3月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
私達は常に芸術には理想を求めてしまう所為であろうか…ともすれば芸術は俗世間とは切り離され、ましてや政治等の汚い世界とは無縁であるかのように勘違いしがちである。
だが、実際には芸術は常に権力者に利用され、政治を反映し、世間に影響を与え続けて来た。
そこで、私達にとっても馴染み深い近代の絵画に目を向けて、芸術と政治の相互関係を考察したのが本書である。
但し、付け加えるならば、後書きにもあるように、本書で言う所の「politics」には「政治」のみならず「政策」や「戦略」等の幅広い意味を含むと言う…否、実際に読んでみると「政治学」と言うよりも寧ろ「社会学」に近いものがあり、歴史背景や思想史等をもカバーしているので、謂わば「芸術の時代性」を読み解いていると考えて頂ければ間違いないだろう。

さて、本書で最も工夫が凝らされているのは漠然とした抽象論ではなく、特定の芸術家にスポットを当てて具体的に解説している所であろうか。
先ずは「アヴァンギャルド」に着目し、この前衛芸術が時代に必要とされた背景を導き出し、序論と併せて”近代絵画に見られる政治色”に目を向けさせる…そして、クールベと”ピクチャレスク”との意外な関係、ジェロームに代表されるオリエンタリズム、アナーキストとしてのピサロ、マネに見られる俗社会的エロティシズム、ゴッホ、並びに彼が称賛したルヌアールに依る「産業」の価値、レオン・フレデリックが描き出した「労働」、ドガと反ユダヤ主義、そしてスーラの反ユートピア等々、多くの作品を紹介しているばかりか図版掲載も適宜あるので、新たな魅力を再発見する事が出来るであろう。

因みに、個人的に興味深かったのはスーラ《グランド・ジャッド島の日曜日の午後》を考察した最終章だ。
この作品については常にその社会性…具体的に言えば、階級社会について語ったものが多いが、本書では特にその“倦怠感”に着目し、スーラの他の作品、或いはマネ、アングル、パプティ、シャヴァンヌ等と比較しながら、その「反ユートピア」精神を読み解いて行く。
勿論、賛否両論あるであろうが、その鋭い着眼点には誰しも興味を惹かれるに違いない。

若干学術的ではあるものの扱っているのは全て著名な作品ばかりなので、美術に関心のある方ならば誰もが楽しめると思う。
特に、現代の私達にとっては普通に見える作品が、何故センセーショナルだったのか…或いは、一見大した事が無いように見える表現に対して何故当時の人々が過剰反応したのか…そして、何故、何処に、如何にしてその芸術が生まれたのかという事を考えれば、その作品は「時代に即して生まれるべくして生まれた」事を突き付けられるし、本書を読めば、芸術は常に「必然」である事が良く解る。

芸術は「理想的であるべき」事を強要される。
然しながら、実はとても「現実的」で「俗社会」とも切り離せない運命にあるのだ。
そんな芸術作品から読み解けるメッセージを冷静に捉えて分析した本書は、芸術が生まれた背景を考える上での良き手引書となってくれるであろう。
7人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2022年1月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
著者は女性なのでもっとフェミニズム的観点が強いかと予想したがそうでもなかった。執筆時代が古い文章であるからかもしれない。著者の慎重な姿勢は、ドガと反ユダヤ主義を扱った論に顕著である。ドガはドレフュス事件で反ユダヤ主義に回った結果、印象派創建時代からの盟友であるユダヤ人画家ピサロと縁をたち、あるいは親友で何度もモデルを務めた人物とも断交した。しかし彼の反ユダヤ主義は作品への明瞭な影響としては現れなかった。時代に迎合した反ユダヤ主義的描写はいくらかはあったが、ドレフュス事件の前後で大きな差はなかった。また、当のユダヤ人であるピサロは事件以前から資本家を嫌い、彼らをユダヤ的特徴を持った典型として描いた。だから、作品と思想は直結するわけではないのだ。

クールベの"画家のアトリエ"をエポックメイキングな傑作として論じていて、実見した時は単に大きな絵でいかにもクールベらしい、と思っただけなのだったが、やはり作品は背景知識を持たないと見るべきポイントを外してしまうし、何度もじっくり見るべきなのだと思った。ただし、そんな時間はあまりないのだ、重要作が多すぎる有名美術館を訪問した時は。

また、ベルギー象徴派作家として知られるレオン・フレデリックを論じた章で彼に興味を抱いた。なんとフランドル伝統の3連祭壇画形式で労働者の群像を描いているのだ。そしてその細密描写も気に入った。彼の作品は大原美術館と姫路の美術館に所蔵されているらしい。

スーラの”グランドジャット”分析は非常に興味深かった。あの絵は資本主義に非人格化された幽鬼を描いたものだったのだ、ただし、そこから逃れている一人のダイナミックに躍動する少女に希望はかけられている。この分析の発想源は希望の原理のブロッホだと冒頭に書いてあり、さすがの慧眼と思った。
12人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2022年1月29日に日本でレビュー済み
『絵画の政治学』(リンダ・ノックリン著、坂上桂子訳、ちくま学芸文庫)は、美術における政治的なものを、どのように考えるべきかを論じています。

19世紀の絵画を、ヨーロッパvsオリエント、純粋芸術vs大衆芸術、男性vs女性といった、作品を取り巻く社会的・政治的関係性から読み解いていこうという意欲的な著作です。

例えば、世界の中心としてのヨーロッパvs辺境としてのオリエントは、ジャン・レオン・ジェロームの「奴隷市場」を巡って、このように解説されています。「このようなオリエンタリズムの性を主題とした絵画が創造される動機づけと、こうした主題への欲望は、純粋に民族学的な意味とはほとんど関係ない。ジェロームのような画家たちは、裸の力ない女性と洋服を着た力強い男性を提示するという似たようなテーマを、いろいろな設定の中に、つくろって描くことができた。このような、舌鼓を打たせるような人気のある刺激的な主題の作品が制作される背後には、もちろん、美しい奴隷の女性の甘味な屈辱が、道徳的な覗き趣味の人々に満足感を与えるという事情がある。彼女たちは、どこか遠くで自分たちの意志に反して捕えられた無垢の女性として描かれており、その裸体は、非難ではなくむしろ同情される対象となっている。彼女たちはまた、誘惑的な肉体をおおうよりはむしろ、目をそらすという迎合的な態度をとっている。ところで、女性の裸に対する男性の力を、オリエンタリズムによって主張したジェロームの絵には人気があり、19世紀のサロンでもしばしば見られた」。

「彼(ジェローム)は実際次のように語っている。『私やそのほか正しい考えのフランス人たちが、このような出来事に関わっているとは、思わないように。私は単に、私たちほど教養のない民族が、裸の女性の売買をほしいままにしているという事実――しかしながら、なんと、挑発的なことだろう――を、注意深く描きとめているだけである』。同時代の多くの絵画作品のように、ジェロームのオリエンタリズムの絵は、力について2つのタイプのイデオロギー上の前提を何とか具体化しようとしている。そのひとつは、女性を支配する男性の力である。もうひとつは、白人男性の、より肌の濃い色の民族への、正確に言うなら、このような悲しくも淫らな商売にはげむ人々に対する優位性であり、すなわち、彼らに対する正当な支配である」。

いささか学術的な解説であるが、それはそれとして、掲載されている絵画そのものを、先ずはじっくり鑑賞することにいたしましょう。
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5つ星のうち5.0 美術における政治的なものを、どのように考えるべきか
2022年1月29日に日本でレビュー済み
『絵画の政治学』(リンダ・ノックリン著、坂上桂子訳、ちくま学芸文庫)は、美術における政治的なものを、どのように考えるべきかを論じています。

19世紀の絵画を、ヨーロッパvsオリエント、純粋芸術vs大衆芸術、男性vs女性といった、作品を取り巻く社会的・政治的関係性から読み解いていこうという意欲的な著作です。

例えば、世界の中心としてのヨーロッパvs辺境としてのオリエントは、ジャン・レオン・ジェロームの「奴隷市場」を巡って、このように解説されています。「このようなオリエンタリズムの性を主題とした絵画が創造される動機づけと、こうした主題への欲望は、純粋に民族学的な意味とはほとんど関係ない。ジェロームのような画家たちは、裸の力ない女性と洋服を着た力強い男性を提示するという似たようなテーマを、いろいろな設定の中に、つくろって描くことができた。このような、舌鼓を打たせるような人気のある刺激的な主題の作品が制作される背後には、もちろん、美しい奴隷の女性の甘味な屈辱が、道徳的な覗き趣味の人々に満足感を与えるという事情がある。彼女たちは、どこか遠くで自分たちの意志に反して捕えられた無垢の女性として描かれており、その裸体は、非難ではなくむしろ同情される対象となっている。彼女たちはまた、誘惑的な肉体をおおうよりはむしろ、目をそらすという迎合的な態度をとっている。ところで、女性の裸に対する男性の力を、オリエンタリズムによって主張したジェロームの絵には人気があり、19世紀のサロンでもしばしば見られた」。

「彼(ジェローム)は実際次のように語っている。『私やそのほか正しい考えのフランス人たちが、このような出来事に関わっているとは、思わないように。私は単に、私たちほど教養のない民族が、裸の女性の売買をほしいままにしているという事実――しかしながら、なんと、挑発的なことだろう――を、注意深く描きとめているだけである』。同時代の多くの絵画作品のように、ジェロームのオリエンタリズムの絵は、力について2つのタイプのイデオロギー上の前提を何とか具体化しようとしている。そのひとつは、女性を支配する男性の力である。もうひとつは、白人男性の、より肌の濃い色の民族への、正確に言うなら、このような悲しくも淫らな商売にはげむ人々に対する優位性であり、すなわち、彼らに対する正当な支配である」。

いささか学術的な解説であるが、それはそれとして、掲載されている絵画そのものを、先ずはじっくり鑑賞することにいたしましょう。
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12人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2004年3月8日に日本でレビュー済み
ジェンダー/セクシュアリティの問題を考える際、
視覚文化も切り離せない要因のひとつだと思うのですが、
この本は、政治性、特にジェンダーの観点から美術をとらえている、
画期的な本だと思います。
特にその個性的な技法と、淡い色使いや構成で評価されている
スーラの『グランド・ジャット島の日曜の午後』に関する批評は
とても斬新で、今までの観念を覆されました。
フェミニズム、美術史専攻者は必読の一冊だと思います。
13人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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