東城大学医学部病院の誇る心臓手術「左心室縮小形成術」通称創始者R.バスチタ博士の冠した俗称「バスチタ手術」。
アメリカの心臓専門病院から心臓移植の権威、桐生を臓器制御外科助教授として招聘し構築された「チーム・バスチタ」。
桐生助教授率いる7名の心臓移植の代替手術は100%の成功率で栄光に輝く中、立て続けに3例の術中死が起こってしまう。
この内部調査を院長が依頼する不定愁訴外来の「田口公平」。
田口にとっては何故自分が調査の依頼を引き受けなければならないのか困惑の色を隠し切れない中、院長の言葉が続く。
「術死には3つの可能性がる。たまたま連続した不運。医療事故。悪意によって事態が引き起こされた可能性。・・・」
調査開始からチーム全員の聞き取り調査。この会話がまたさらに田口らしく愉快にも思える。鋭い洞察力をもち備えながら個々の言葉の深層心理まで読み取る力量は素晴らしい。
しかし調査は難航。
国境なき医師団から日本に来日した南アフリカ国籍のアガピ君7歳。
手術室の臨場感溢れる描写は素晴らしく繊細に鮮に手際よくまるで音楽の無駄のない旋律に奏でられるように手術は進んでいき成功。メスさばきに魅了されるほど桐生助教授の手腕は輝かしい。
院長に報告書を上げるや否や院長が未然に内密に調査を依頼しておいた厚生労働省大臣官房秘書課付技「白鳥啓輔」が調査に加わる。
この田口と白鳥の何ともいえないコンビの愉快さに重々しい医療術死の中本書はユーモラス性を含みまた個々のキャラを細部に渡る描写で際立たせ語りの巧妙さが読者の脳幹を妙に最期までくすぐり最終場面まで一気に読み上げさせてしう。
専門知識を駆使した細部の確かさ リアリティなどがしっかり織り込まれている。その点でも医学ミステリーとしては評価したい。
主人公の田口と白鳥のコンビ物はシリーズ化を懇願したい。
著者の才能を評価し今後の作品に注目!
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チーム・バチスタの栄光 単行本 – 2006/2/4
海堂 尊
(著)
東城大学医学部付属病院では、心臓移植の代替手術であるバチスタ手術の専門チーム「チーム・バチスタ」を作り、次々に成功を収めていた。ところが今、三例続けて術中死が発生している。しかも次は、海外からのゲリラ少年兵士が患者ということもあり、マスコミの注目を集めている。そこで内部調査の役目を押し付けられたのが、神経内科教室の万年講師で、不定愁訴外来責任者・田口と、厚生労働省の変人役人・白鳥だった……。
(バチスタ手術とは)
バチスタ手術は、学術的な正式名称を「左心室縮小形成術」という。一般的には、正式名称より創始者R・バチスタ博士の名を冠した俗称の方が通りがよい。拡張型心筋症に対する手術術式である。肥大した心臓を切り取り小さく作り直すという、単純な発想による大胆な手術。(本書より)
(バチスタ手術とは)
バチスタ手術は、学術的な正式名称を「左心室縮小形成術」という。一般的には、正式名称より創始者R・バチスタ博士の名を冠した俗称の方が通りがよい。拡張型心筋症に対する手術術式である。肥大した心臓を切り取り小さく作り直すという、単純な発想による大胆な手術。(本書より)
- 本の長さ375ページ
- 言語日本語
- 出版社宝島社
- 発売日2006/2/4
- ISBN-104796650792
- ISBN-13978-4796650793
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商品の説明
著者からのコメント
組織は安寧だという盲信が崩壊した現代。それは医療の世界も同じこと。悪意は加重増幅され、カタストロフへなだれこむ。善意や向上を目指す意志は砕かれる。それでも何かを守るため、見えない敵と闘い続けるヤツがいる。大学病院という密室の壁を破るのは、蜘蛛の糸より細い意志を紡ぎ合わせた“何か”なのだった、という話です。とは言うものの、白状すれば理屈は後付け、執筆中も読み返した今も、物語に対する自分自身の感想は“ああ面白かった”なのでした。
出版社からのコメント
第4回「このミステリーがすごい!」大賞 大賞受賞作がついに登場。
現役医師だからこそ描きうる、医療現場のリアリティ。
最終選考委員が全員一致で即座に大賞に決定!
ER」はだしのリアリティと、爆笑キャラのミスマッチが最高に面白い! (大森 望)
医療小説界に伊良部一郎(奥田英朗 著)以上の変人キャラが登場した! (香山二三郎)
ロビン・クック+『白い巨塔』+阿部寛――医学ミステリーに超大型新人登場! (茶木則雄)
医療過誤をめぐる、リアルでコミカルでユニークな傑作 (吉野 仁)
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医療過誤をめぐる、リアルでコミカルでユニークな傑作 (吉野 仁)
登録情報
- 出版社 : 宝島社 (2006/2/4)
- 発売日 : 2006/2/4
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 375ページ
- ISBN-10 : 4796650792
- ISBN-13 : 978-4796650793
- Amazon 売れ筋ランキング: - 358,624位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 8,611位日本文学
- カスタマーレビュー:
著者について
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1961年千葉県生まれ。医学博士。
第4回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作『チーム・バチスタの栄光』(宝島社)にて2006年デビュー。
著書に『ナイチンゲールの沈黙』『ジェネラル・ルージュの凱旋』『ジェネラル・ルージュの伝説』『イノセント・ゲリラの祝祭』、医師の立場から書いた『トリセツ・カラダ カラダ地図を描こう』(以上宝島社)、『極北クレイマー』(朝日新聞出版)、『マドンナ・ヴェルデ』(新潮社)他、多数。『死因不明社会』(講談社)で、第3回科学ジャーナリスト賞受賞。
カスタマーレビュー
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トップレビュー
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2006年4月26日に日本でレビュー済み
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2023年12月1日に日本でレビュー済み
このミスといえば、今や実写映像化前提の原作かキャラ文芸という印象だが、初期は小説(読み物)として面白いものが多かった印象。本作も主人公の語り口が面白かったし、『四日間の奇跡』とか『果てしなき渇き』も(結局映画化してるけど)原作は講談社っぽい質感だった覚えがある。
のめり込むように読み、最後まで面白かった一方、下巻になるとよくある奇人変人ホームズ&ワトソンもの&なろう系(時代に即して言うなら「島耕作系」と言うべきか)の類型に収束してしまったから、個人的には、主人公の設定や事件現場がとにかく斬新だった上巻部の方が楽しかったかな。
のめり込むように読み、最後まで面白かった一方、下巻になるとよくある奇人変人ホームズ&ワトソンもの&なろう系(時代に即して言うなら「島耕作系」と言うべきか)の類型に収束してしまったから、個人的には、主人公の設定や事件現場がとにかく斬新だった上巻部の方が楽しかったかな。
2015年2月8日に日本でレビュー済み
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中学1年生の子供に買ったのですが、漫画ばかり読んでいて、なんとか単行本を読む習慣を付けさしたかったのですが。悩んでいるとき、子供からテーム・バチスタの栄光シリーズ3冊買ってと頼まれました。友達に勧められたのだと思います。凄く面白かったと1月で2冊読んでしまいました。読書の面白さが分かって将来の役に立つと思います。
2008年11月29日に日本でレビュー済み
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田口先生と厚労省の白鳥のコンビが、事件を解決していくの
ですが、映画は観ていないけど、ドラマのほうが断然面白かった
ですね。容疑にあがる先生たちの心情などがあまり伝わって
こない。ドラマで見ているので、既に犯人はわかっているのだが、
それにつながる伏線がなかったりして…。
この作品は『田口先生と白鳥の誕生秘話』作品なのかな?
という気もしないではないです。
ただし、田口先生が一人称で語る部分はユーモアがあって面白い。
白鳥の存在もいい。
ただ、医学ものの小説としたらちょっと印象が薄い気がします。
一般人にはなじみにくいかなぁ。
ですが、映画は観ていないけど、ドラマのほうが断然面白かった
ですね。容疑にあがる先生たちの心情などがあまり伝わって
こない。ドラマで見ているので、既に犯人はわかっているのだが、
それにつながる伏線がなかったりして…。
この作品は『田口先生と白鳥の誕生秘話』作品なのかな?
という気もしないではないです。
ただし、田口先生が一人称で語る部分はユーモアがあって面白い。
白鳥の存在もいい。
ただ、医学ものの小説としたらちょっと印象が薄い気がします。
一般人にはなじみにくいかなぁ。
2007年2月7日に日本でレビュー済み
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内容説明を見るとシリアスなんですが。
シリアスの中に存分にちりばめられた、コメディがまた。
厚生労働省の変人役人・白鳥が、いろんな意味ですばらしいんですよ。
精神科医伊良部のファンの方なら、絶対に嵌ります。
現役のドクターが執筆したということで、細部がとてもリアルなんです。
で、登場人物がまた全員個性的で、いい味出してます。
犯人は、なるほどなぁって感じで、あまりどんでん返しじゃないところが、
かえってリアルでした。
とにかく一気に読めます。おもしろいです。
続編の「ナイチンゲールの沈黙」も、ぜひ読もうと思ってます。
シリアスの中に存分にちりばめられた、コメディがまた。
厚生労働省の変人役人・白鳥が、いろんな意味ですばらしいんですよ。
精神科医伊良部のファンの方なら、絶対に嵌ります。
現役のドクターが執筆したということで、細部がとてもリアルなんです。
で、登場人物がまた全員個性的で、いい味出してます。
犯人は、なるほどなぁって感じで、あまりどんでん返しじゃないところが、
かえってリアルでした。
とにかく一気に読めます。おもしろいです。
続編の「ナイチンゲールの沈黙」も、ぜひ読もうと思ってます。
2023年12月17日に日本でレビュー済み
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商品に全く問題はなかったのですが、到着までに時間がかかりすぎるように感じた。
2010年5月3日に日本でレビュー済み
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連戦連勝だったバチスタチームに突如として術中死が続きます.これは単なる不運か,医療事故か,はたまた殺人か.前半では田口の調査を通して,登場人物の人間関係を描き,後半は白鳥の調査を通して一気に話を展開します.話の展開もはやく,思わずどんどん読み進んでいってしまいます.
著者は病院の勤務医ですので,さすがに手術の様子などはリアルです.ただ,肝心のミステリー部分はかなり専門的な話ですので,素人が謎解きできるようなものではなかったのが残念です.ミステリーはやはり自分なりの仮説を立てながら読みたいものです.
エンターテイメントとしてはよいできだと思います.シリーズものとして続いていますので,今後の展開が楽しみです.
著者は病院の勤務医ですので,さすがに手術の様子などはリアルです.ただ,肝心のミステリー部分はかなり専門的な話ですので,素人が謎解きできるようなものではなかったのが残念です.ミステリーはやはり自分なりの仮説を立てながら読みたいものです.
エンターテイメントとしてはよいできだと思います.シリーズものとして続いていますので,今後の展開が楽しみです.
2006年4月9日に日本でレビュー済み
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難易度の高いバチスタ手術中に起こった「事件」が題材だが、医学的専門知識が無くとも、読みこなすことは難しくない。「生命」をもテーマにしているが、所々にくだけた表現を織り交ぜることにより、重くなり過ぎることを防いでいる。エピローグに至る展開も含め、この辺の著者のテクニックはすばらしい。
ただ、巻末に『このミステリーがすごい!』大賞選考委員たちの選評が収録されていて、そこでは重要な登場人物のひとりである厚生労働省の白鳥のキャラクターを高く評価しているが、私は逆である。彼のキャラクターが強すぎたために、この「事件」の輪郭が薄れてしまったような気がする。故に☆は4つとする。
ただ、巻末に『このミステリーがすごい!』大賞選考委員たちの選評が収録されていて、そこでは重要な登場人物のひとりである厚生労働省の白鳥のキャラクターを高く評価しているが、私は逆である。彼のキャラクターが強すぎたために、この「事件」の輪郭が薄れてしまったような気がする。故に☆は4つとする。