渋滞の先頭は次々と入れ替わっているらしい。それを実験とデータとで示している。道路の渋滞については、緩い登り坂、カーブ、トンネルなどの原因別に解説。ここまででも十分に目から鱗である。
しかし、この本は、道路の渋滞だけではなく、著者が提唱する「渋滞学」を広く紹介している。駅での混雑、人の行列、成田の入国審査など、様々な領域へ渋滞学を適用し、「なぜ」を説明している。ただ、後半になって、経済や社会問題にまで適用するというのは、かなり無理がある印象である。また、話題を広げすぎて一つ一つの説明も短い。もちろん学術書ではなく新書なので、著者の思いを書けばいいのだが、思いの部分が少し多すぎるように思える。後半の部分をもう少し縮小して、渋滞学の考え方で切れ味良く説明できる内容をもう少し丁寧に解説してもらえればよかったのに、と思う。
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「渋滞」の先頭は何をしているのか? (宝島社新書 291) 新書 – 2009/6/10
西成 活裕
(著)
車間距離を40m以上空ければ、渋滞は発生しない?年間12兆円ともいわれる渋滞による経済損失を総裁するための鍵は、人の心にあった。本書の著者、東京大学教授の西成活裕は、渋滞のメカニズムを物理学や数学の見地から総合的に解析し、解消法を導き出す「渋滞学」を生み出しました。高速道路の渋滞、電車の遅延、運動会の場所取り、インターネット、流行や噂・・・社会にはびこる様々な「渋滞」にメスをいれます。
- 本の長さ221ページ
- 言語日本語
- 出版社宝島社
- 発売日2009/6/10
- 寸法10.8 x 1 x 17.3 cm
- ISBN-104796658432
- ISBN-13978-4796658430
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商品の説明
著者について
西成 活裕 (にしなり かつひろ) プロフィール 1967年東京都生まれ。東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。博士(工学)。山形大学、龍谷大学、ケルン大学理論物理学研究所(ドイツ)を経て現在、東京大学大学院工学系研究科教授。NPO法人日本国際ムダどり学会会長。専門は数理物理学。様々な渋滞を分野横断的に研究する「渋滞学」を提唱し、著書『渋滞学』(新潮選書)は講談社科学出版賞などを受賞。国際学会誌に論文多数。多くのテレビ、ラジオ、新聞などのメディアでも活躍している。
登録情報
- 出版社 : 宝島社 (2009/6/10)
- 発売日 : 2009/6/10
- 言語 : 日本語
- 新書 : 221ページ
- ISBN-10 : 4796658432
- ISBN-13 : 978-4796658430
- 寸法 : 10.8 x 1 x 17.3 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 567,178位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 304位宝島社新書
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2012年7月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ドライバーなら誰もが知りたい「なぜ渋滞が起きるのか」から始まり、
実際に役立つ走行法が、理論と共に解説されています。
冗談抜きでこの本に出会ってから、渋滞が辛くなくなりました。
実際、この本に書いてあることを実践したら「50kmの渋滞」が、自車を中心に「前方15km、後方20km」の2つの渋滞表示に別れた事があります。(自車周辺15kmは渋滞が無くなった!)
本当に魔法のようなは言いすぎかも知れませんが、目からうろこな話が詰まった良書です。
すべてのPA/SAで販売して欲しいと願っています。
実際に役立つ走行法が、理論と共に解説されています。
冗談抜きでこの本に出会ってから、渋滞が辛くなくなりました。
実際、この本に書いてあることを実践したら「50kmの渋滞」が、自車を中心に「前方15km、後方20km」の2つの渋滞表示に別れた事があります。(自車周辺15kmは渋滞が無くなった!)
本当に魔法のようなは言いすぎかも知れませんが、目からうろこな話が詰まった良書です。
すべてのPA/SAで販売して欲しいと願っています。
2009年8月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
GWやお盆の風物詩、長距離渋滞。
渋滞がどうして発生するのか、以外に知らない事実。
その原因と解消方法に関する知識が得られます。
非常に読みやすく、理解しやすい本です。
この本を読むと「渋滞学」について知りたくなるでしょう。
渋滞がどうして発生するのか、以外に知らない事実。
その原因と解消方法に関する知識が得られます。
非常に読みやすく、理解しやすい本です。
この本を読むと「渋滞学」について知りたくなるでしょう。
2011年1月16日に日本でレビュー済み
「人がそこに立っていれば進めない。車でも、前の車が止まっていれば動けない。
これこそ最も当たり前で、しかも集団の動きの特徴を表わす立派な『法則』の一つなのだ。
このように集団行動における確固たる法則を探し、それを基盤にして科学的に集団の
行動を考えよう、というのが本書で述べたい『渋滞学』だ」。
旧来、交通渋滞の原因として見做され、種々の対策が処方されてきた問題と言えば、
料金所や事故などの「ボトルネック型」の渋滞。しかし、今日における渋滞をめぐる
最大のテーマは「自然渋滞」である、と筆者は言う。「『渋滞はこういうメカニズムで
起こるので、事前にみんなで対処しましょう』というボトムアップの考え」の有効性が
本書では強調される。
「自己駆動粒子」だ、「メタ安定状態」だ、と言われれば、一見したところでは非常に
難解な印象を受けるが、本書を読む限り、筆者は一般への啓発のためにテレビ出演等も
頻繁にこなされているらしく平易に語ることには慣れているようで、そもそも渋滞とは
何を指しているのか、観察データに従っていかにして渋滞は引き起こされているのか、
それを改善するために個人にできることは何か、といったテーマが実に分かりやすく
解説されている。
別に本書の読者が運転免許保持者のみに限定される必要などなくて、ラッシュ時の
歩行や電車のチョイスなどに活きる指摘はいろいろと盛り込まれているし、未成年への
将来に向けての刷り込みにも効果的。単純に、集団の行動に見出される「法則」の
観察記録としても面白いし、筆者はどちらかというとそうした見方には懐疑的で
あるらしいのだが、人間工学としてとにかく刺激的。
諸学問のタコツボ化へのひとつの解決可能性として自身の「渋滞学」に期待を寄せたい
その思いは分かるが、本書における他の分野との関連の言及は、何か共通のものが
ありそうだ、くらいで具体性に欠けてはいる。物事にはそれぞれ適切な速度や密度が
ある、なんて渋滞を持ち出すまでもなく、当然と言えば当然なわけで。
ただ、渋滞をいかに克服し得るかという実践的な知識としても本書は一定の処方箋を
与えることができているようには思えるし、理論的な知識としても実にスリリング。
そんな知的嗜みとしての「渋滞学」の面白さや複雑さを十二分に伝えた一冊。
星5つに限りなく近い4つ、おすすめです。
これこそ最も当たり前で、しかも集団の動きの特徴を表わす立派な『法則』の一つなのだ。
このように集団行動における確固たる法則を探し、それを基盤にして科学的に集団の
行動を考えよう、というのが本書で述べたい『渋滞学』だ」。
旧来、交通渋滞の原因として見做され、種々の対策が処方されてきた問題と言えば、
料金所や事故などの「ボトルネック型」の渋滞。しかし、今日における渋滞をめぐる
最大のテーマは「自然渋滞」である、と筆者は言う。「『渋滞はこういうメカニズムで
起こるので、事前にみんなで対処しましょう』というボトムアップの考え」の有効性が
本書では強調される。
「自己駆動粒子」だ、「メタ安定状態」だ、と言われれば、一見したところでは非常に
難解な印象を受けるが、本書を読む限り、筆者は一般への啓発のためにテレビ出演等も
頻繁にこなされているらしく平易に語ることには慣れているようで、そもそも渋滞とは
何を指しているのか、観察データに従っていかにして渋滞は引き起こされているのか、
それを改善するために個人にできることは何か、といったテーマが実に分かりやすく
解説されている。
別に本書の読者が運転免許保持者のみに限定される必要などなくて、ラッシュ時の
歩行や電車のチョイスなどに活きる指摘はいろいろと盛り込まれているし、未成年への
将来に向けての刷り込みにも効果的。単純に、集団の行動に見出される「法則」の
観察記録としても面白いし、筆者はどちらかというとそうした見方には懐疑的で
あるらしいのだが、人間工学としてとにかく刺激的。
諸学問のタコツボ化へのひとつの解決可能性として自身の「渋滞学」に期待を寄せたい
その思いは分かるが、本書における他の分野との関連の言及は、何か共通のものが
ありそうだ、くらいで具体性に欠けてはいる。物事にはそれぞれ適切な速度や密度が
ある、なんて渋滞を持ち出すまでもなく、当然と言えば当然なわけで。
ただ、渋滞をいかに克服し得るかという実践的な知識としても本書は一定の処方箋を
与えることができているようには思えるし、理論的な知識としても実にスリリング。
そんな知的嗜みとしての「渋滞学」の面白さや複雑さを十二分に伝えた一冊。
星5つに限りなく近い4つ、おすすめです。
2010年4月10日に日本でレビュー済み
おそらく本当に書きたかったことは、第1章と第2章に集約されている。
高速道路などで採った膨大な統計データから、渋滞が起こりはじめる状況、しきい値となる速度などを導き出している。前後に並んだ車が徐々に動きだす速度の差を「膨張波」として見立てて、その波の挙動に一定のルールがあるという発見。おもしろい。「メタ安定」「臨界密度」など、物理学の考え方がわかりやすく適用されている。こんなフィールドワーク+データ分析に一度はどっぷり浸かってみたい。
第3章以降は、書籍向けなのか、世の中いろんなところに「渋滞」があるよという哲学論。ボトルネック、パーコレーション、集団心理などがキーワード。人事組織やSCM、社会問題などにまで言及している。「問題はこう考えてもみられますが、その解決は私(または渋滞学)の役目ではありません」というスタンス。セミナーでさらっと聴くとおもしろいと思うけど、書籍として読むと「So what?」がいくつか。
高速道路などで採った膨大な統計データから、渋滞が起こりはじめる状況、しきい値となる速度などを導き出している。前後に並んだ車が徐々に動きだす速度の差を「膨張波」として見立てて、その波の挙動に一定のルールがあるという発見。おもしろい。「メタ安定」「臨界密度」など、物理学の考え方がわかりやすく適用されている。こんなフィールドワーク+データ分析に一度はどっぷり浸かってみたい。
第3章以降は、書籍向けなのか、世の中いろんなところに「渋滞」があるよという哲学論。ボトルネック、パーコレーション、集団心理などがキーワード。人事組織やSCM、社会問題などにまで言及している。「問題はこう考えてもみられますが、その解決は私(または渋滞学)の役目ではありません」というスタンス。セミナーでさらっと聴くとおもしろいと思うけど、書籍として読むと「So what?」がいくつか。
2010年4月15日に日本でレビュー済み
渋滞学のガイダンスといったところだと思います。数式などは出てこず、図表や簡単な文章で説明してある。渋滞学は、物理学や数学だけでなく経済学などにも応用分野は広いということを第3章で紹介してある。
渋滞とは、「渋滞とは、密度の増加と共に流量が減少する状態」のことである。渋滞は、出入り口や車線の減少などのボトルネックで起きるものだけでなく、車で流れている状態でも、一歩間違えれば自然に起きる現象(自然渋滞)なんだということだ。渋滞を起こすのもなくすのも人間なんだということだ。つまり、人間の心がけ次第では、渋滞がなくなることもあるということだ。自動車教習所でも渋滞させないテクニックについて教えた方がいいのかなと思う。
渋滞とは、「渋滞とは、密度の増加と共に流量が減少する状態」のことである。渋滞は、出入り口や車線の減少などのボトルネックで起きるものだけでなく、車で流れている状態でも、一歩間違えれば自然に起きる現象(自然渋滞)なんだということだ。渋滞を起こすのもなくすのも人間なんだということだ。つまり、人間の心がけ次第では、渋滞がなくなることもあるということだ。自動車教習所でも渋滞させないテクニックについて教えた方がいいのかなと思う。
2009年7月16日に日本でレビュー済み
高速道路で渋滞を抜けたときに「今の渋滞はなんだったのだろうか?」と不思議に思う経験はきっと誰にでもあるだろう。自然渋滞。その原因は、緩やかな上り坂やトンネルによる減速の積み重ねであることは有名な話だが、筆者は自然渋滞の発生メカニズムを科学的に分析し、その結果から自然渋滞発生の抑制方法を提言する。
1km当り25台(車間距離40m)以上の密度になると交通量は逆に減少するらしい。つまり、我先にと車間距離を詰めて走るよりも充分な車間距離を取って走ることによって渋滞はなくなり、結局のところ、みんなが快適に走ることができるようになるというのだ。また、渋滞エリアまでの到着時刻を遅らせることは渋滞の拡大を抑制することになるという。
これからのお盆休みに高速道路を使う予定のドライバーにはぜひ読んでもらいたい。
1km当り25台(車間距離40m)以上の密度になると交通量は逆に減少するらしい。つまり、我先にと車間距離を詰めて走るよりも充分な車間距離を取って走ることによって渋滞はなくなり、結局のところ、みんなが快適に走ることができるようになるというのだ。また、渋滞エリアまでの到着時刻を遅らせることは渋滞の拡大を抑制することになるという。
これからのお盆休みに高速道路を使う予定のドライバーにはぜひ読んでもらいたい。