サブプライム問題を考えるカギとなる「国富ファンド」「レバレッジ・バブル」「モノライン保険会社」「格付け」「再証券化」などが丁寧に解説されています。
金融機関で現役の著者が、一般人でも金融のプロと対等に話せるように、手ほどきをしてくれているような感じです。
これまで、金融機関が窮地に陥った時は、金融機関同士の寄付で救済していました。ところが、今回はどの金融機関も余裕資金はないという異例の事態となり、アジアや中東の国富ファンドに助けを求めざるを得なくなりました。
その辺りを説明する時でも、著者は「欧米の金融機関は『ビジネスを維持するための資金は欲しいが、自分たちよりも格下の新興国に頭を下げて自分たちの金融王国の一部を牛耳られるのは嫌だ。しかし、背に腹はかえられない。今は我慢して資金をもらっておこう』と考えたわけだ」と、実に分かりやすい解説で納得させてくれます。
再証券化の仕組みもよく分かりました。
たくさんのローンを集めて、ファンドを作るわけですが、ローンの支払いを優先的に受け取れる証券と最後の方に支払ってもらえる証券、その中間の証券があり、優先的に支払ってもらえる証券にはトリプルAがもらえ、最後に支払われる証券は格付けは低いものの利回りが高くなります。
トリプルAはよく売れて、利回りが高い証券もそれなりに需要がありますが、売れ残った中間のローンを集めて、その中で、また優先的に支払ってもらえる証券をトリプルAとして売り出していたというのです。
これはサギですね。
著者は、イスラム金融にも詳しいようで、リスクとリターンは両方受け取らなければならず、「もしもの時のリスクは私が負担するから、あなたはこの低いリターンで良いですね」という債券や固定金利の制度は、金融商品の購入者を丸め込む良くない制度と考えられているのだそうです。
まだ馴染みのないイスラム金融の世界を垣間見ることができました。
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サブプライム後に何が起きているのか (宝島社新書 270) 新書 – 2008/4/9
春山 昇華
(著)
春山昇華・著/7刷・10万部を記録したベストセラー『サブプライム問題とは何か アメリカ帝国の終焉』の続編です。サブプライム問題が表面化し、世界経済を牽引するアメリカが不景気になる可能性が出てきています。そうなれば、世界不況になるかもしれないという憶測も飛び交っています。しかし、なぜ世界不況になるのか?そのカラクリを、金融業界で常に一線を張ってきたプロが、わかりやすい語り口で説明します。見やすい大きな文字と豊富な図版でその仕組みを解き明かします。
- 本の長さ223ページ
- 言語日本語
- 出版社宝島社
- 発売日2008/4/9
- ISBN-104796663096
- ISBN-13978-4796663090
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登録情報
- 出版社 : 宝島社 (2008/4/9)
- 発売日 : 2008/4/9
- 言語 : 日本語
- 新書 : 223ページ
- ISBN-10 : 4796663096
- ISBN-13 : 978-4796663090
- Amazon 売れ筋ランキング: - 266,620位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 141位宝島社新書
- - 720位一般・投資読み物 (本)
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2016年4月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
まず、前作サブプライム問題とは何か、を読んでいること前提で
話がすすみます。この本だけ単独でという人は一定のサブプライム問題についての
基礎知識を頭に叩き込んでないと辛いかもしれません。
前作は分かりやすく解説されていましたが、今作はやや難しい、というか前作より
切り込んで書かれているので分かりやすく説明的な続編ではなかったです。
タイトル通りサブプライム後をテーマに淡々と情勢について知ることができます。
話がすすみます。この本だけ単独でという人は一定のサブプライム問題についての
基礎知識を頭に叩き込んでないと辛いかもしれません。
前作は分かりやすく解説されていましたが、今作はやや難しい、というか前作より
切り込んで書かれているので分かりやすく説明的な続編ではなかったです。
タイトル通りサブプライム後をテーマに淡々と情勢について知ることができます。
2013年9月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
記録としても秀逸。手元に保管してあります。数年後に読み返してみても学ぶべきところが多い。
2008年4月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
現在進行形のサブプライム問題を、実況中継しながら、大事な所は年代を遡り、また時には将来を予測したり、丁寧に解説してくれている貴重な本である。実況的であるがゆえに、出版時が一番の旬であり、徐々に価値は逓減していく。学生も社会人もただちに読むべきである。私の場合、前著を読むのが1ヵ月遅れたために、悔しい思いをしたので、今回はすぐに読んだ。サブプライム問題は良く知っていると勘違いしている方には強くお薦めしたい。前著を読んでいなくても、本書単体で成立し、充分に理解できる内容である。著者は、この問題はまだ、道半ばに達していないという。世界経済の牽引車たるアメリカがこのまま弱体化してしまうとすれば、今後の覇権はどこに移っていくのか(オイルマネーor中国・アジア?)、また日本人はどう対処すべきか、日本のバブル後のような停滞が、全世界におとずれるのか、こうした興味深い考察が沢山あって、そこらへんの小説より、ずっと面白くてためになる。ただ一つだけ確かなことは、誰も正確に未来を予知できないが、誰もがサブプライム問題の影響から逃れられないということだ。日本は失われた13年を過ごしたが、アメリカと世界経済はどれだけのリセッションに見舞われるのか、気になるところです。
最後に、卒論にサブプライムをとりあげようという経済学部生には、調度良い入門編だと思います。新書という枠組みにおいて、やれることは可能な限り詰め込んだ本書を最初の足がかりにして、より深くより広く研究を進めていけば、効率がいいと思います。
最後に、卒論にサブプライムをとりあげようという経済学部生には、調度良い入門編だと思います。新書という枠組みにおいて、やれることは可能な限り詰め込んだ本書を最初の足がかりにして、より深くより広く研究を進めていけば、効率がいいと思います。
2008年6月30日に日本でレビュー済み
著者の本はこの続編から読んでだせいか、他の方の指摘に反して、サブプライム問題を理解するには不十分ではないかと思います。
著者も不正確を恐れず書いたとあるように説明を簡略化省略しすぎてる。もっと正確なことを知りたいなら他の本にあたるべき。
出典もほとんど明らかにしていないのである部分が著者の感想・思いなのか展望なのか客観的な取材の結果なのか、なんなのかよくわからない。
後半は覇権国がどうなるかとか、、予想みたいなことにならざるをえないし、日本がこれからどうあるべきかとか、手を広げすぎ!と思ってしまった。
著者の見立て、展望大いに語るという本
多数の方の評価が高かったので期待しすぎてたのもあるかも。
著者も不正確を恐れず書いたとあるように説明を簡略化省略しすぎてる。もっと正確なことを知りたいなら他の本にあたるべき。
出典もほとんど明らかにしていないのである部分が著者の感想・思いなのか展望なのか客観的な取材の結果なのか、なんなのかよくわからない。
後半は覇権国がどうなるかとか、、予想みたいなことにならざるをえないし、日本がこれからどうあるべきかとか、手を広げすぎ!と思ってしまった。
著者の見立て、展望大いに語るという本
多数の方の評価が高かったので期待しすぎてたのもあるかも。
2010年7月23日に日本でレビュー済み
春山さんのシリーズは概略本として解りやすく全体を網羅している。しかし、これが本当に全てであろうはずがない。概略故に彼の考えに都合の良いデータを並べているにすぎないとも取れる。資本がこの世から消えたわけではなく、誰かが大損すれば他方では大儲けした人がいる。サブプライムで破綻が増えたが、巨万の富が劣後債のシャッフル再証券化のパイプを通って合衆国に集積したのも事実である。世界の金融機関は、デリバティブの専門家を相変わらず高給で処遇している。リーマンは潰れても高給とりの社員は生きてゾンビのごとく姿形を変えて活動している。取締が厳しくなればより巧妙になるのが歴史の必然である。
こうした経済理論の基礎を学ぶには野口悠紀雄さんのファイナンス理論、金融危機の本質は何か、などが解りやすくて良いのではないでしょうか。また、繰り返される世界恐慌のパターンはすでに19世紀から明らかにされている。サブプライムにしてもCDSにしても、所詮は英産業革命時代の恐慌とおなじ「架空需要の創出」である。その意味で何も本質は変わっていない。庶民の懐から消え去った資本がどこに集積したかを知ることのがダマされないためにはより重要な情報ではないでしょうか。損した庶民を納得させるのは容易だが、損しない、あるいは恐慌で得する情報を得なければ教訓にはならない。つまり、本書は敗者を泣き寝入りさせるための本ではなでしょうか。
こうした経済理論の基礎を学ぶには野口悠紀雄さんのファイナンス理論、金融危機の本質は何か、などが解りやすくて良いのではないでしょうか。また、繰り返される世界恐慌のパターンはすでに19世紀から明らかにされている。サブプライムにしてもCDSにしても、所詮は英産業革命時代の恐慌とおなじ「架空需要の創出」である。その意味で何も本質は変わっていない。庶民の懐から消え去った資本がどこに集積したかを知ることのがダマされないためにはより重要な情報ではないでしょうか。損した庶民を納得させるのは容易だが、損しない、あるいは恐慌で得する情報を得なければ教訓にはならない。つまり、本書は敗者を泣き寝入りさせるための本ではなでしょうか。
2008年5月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
第一弾の読みやすさを踏襲しながら、ややレベルアップか?それでいてネタのかぶりもなく新鮮。なぜ読みやすくて面白いのか考えた。
1)新聞記事、Webを中心とした徹底的な事実の収集。理論、理屈の抽象的な話でなく、新聞ネタが多いので、読みやすい。また表・グラフ・チャートも多く、読んでいてあきない。また春山さんが自ら収集したデータに基づき、ご自分で図表をわかりやすく作成していることも読みやすくしています。
2)足でかせいだ実体験に基づく事実・データ収集。金融・経済関係の評論家によくあることだが、お話を直接お伺いするとよくわかるのだが、メディアにでてくると、とくに新聞など発言が残るものになると言葉遣いが慎重で、なにを言っているか聞いていてよくわからない、退屈だということがありますよね。春山さんはWebや新聞、雑誌などで情報を集めながら、実際にアラビン・トフラー氏の講演会に行ったり、とあるセミナーで隣の携帯電話の会話(証券化商品の売買の実態)など臨場感あふれるエピソードがあり、わかりやすいです。春山さんとは一度Web2.0のセミナーでもお会いしましたが、ご多忙にもかかわらず直接会場に足を運ばれ、相手の話をきちんと聞かれる姿勢には頭が下がります。新聞記者顔負けです。
3)実際のサラリーマンとしての裏情報が入っている。みずほファイナンシャルグループがサブプライムの被害が大きかったのは「カリヨン証券から証券化ビジネスをチームごとヘッドハンティングしていたからだ。」とか、サブプライムとは関係ない優秀なモルガンスタンレーの知人の方が解雇された、とか業界の人にしかわからないネタが入っていて、得した気分になれる。
ともかく、第4章モノラインの説明のわかりやすさは感動ですよ。
1)新聞記事、Webを中心とした徹底的な事実の収集。理論、理屈の抽象的な話でなく、新聞ネタが多いので、読みやすい。また表・グラフ・チャートも多く、読んでいてあきない。また春山さんが自ら収集したデータに基づき、ご自分で図表をわかりやすく作成していることも読みやすくしています。
2)足でかせいだ実体験に基づく事実・データ収集。金融・経済関係の評論家によくあることだが、お話を直接お伺いするとよくわかるのだが、メディアにでてくると、とくに新聞など発言が残るものになると言葉遣いが慎重で、なにを言っているか聞いていてよくわからない、退屈だということがありますよね。春山さんはWebや新聞、雑誌などで情報を集めながら、実際にアラビン・トフラー氏の講演会に行ったり、とあるセミナーで隣の携帯電話の会話(証券化商品の売買の実態)など臨場感あふれるエピソードがあり、わかりやすいです。春山さんとは一度Web2.0のセミナーでもお会いしましたが、ご多忙にもかかわらず直接会場に足を運ばれ、相手の話をきちんと聞かれる姿勢には頭が下がります。新聞記者顔負けです。
3)実際のサラリーマンとしての裏情報が入っている。みずほファイナンシャルグループがサブプライムの被害が大きかったのは「カリヨン証券から証券化ビジネスをチームごとヘッドハンティングしていたからだ。」とか、サブプライムとは関係ない優秀なモルガンスタンレーの知人の方が解雇された、とか業界の人にしかわからないネタが入っていて、得した気分になれる。
ともかく、第4章モノラインの説明のわかりやすさは感動ですよ。
2008年4月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
サブプライム問題の直近の趨勢と、今後の金融界の展開を分かり易く解説。前半は事実関係の記述主体であり、やや単調ながら、後半は、中国やイスラムの動向等今後の金融界を占うトレンドにも触れられており、興味深く読み進めることができる。サブプライム問題関連の論点を手早く概観するに適した書である。