画家 Ｏ・ヘンリ短編集の中から８編の代表作が収められたこの本には、付録として
1953年公開の映画「人生模様」のＤＶＤが付いてくる。
トールケースＤＶＤは高価なので、映画好きにとってはこの付録だけでもお買い得だ。
短編小説から一つ、「シャムロック・ジョーンズの冒険」
コナン・ドイル作ご存知「シャーロック・ホームズ・シリーズ」のパロディ。
ロンドンからニューヨークに舞台を移し、名探偵シャムロックの推理が冴えまくる・・・？。
茶目っ気一杯の短編だ。
ＤＶＤは五話構成のオムニバス映画、公開時の原題は「フルハウス」、邦題は「人生模様」
どちらもうまくつけられたタイトルだ。
Ｊ・スタインベックが登場、彼のコメントが各編の冒頭を飾るというまさにお宝映像付き。
第一話「警官と讃美歌」
クリスマス・シーズンにふさわしい内容だ。
微罪を犯してわざと捕まり、寒い冬を暖かい刑務所で過ごそうと画策する老いた放浪紳士を
「情婦」「スペンサーの山」ほかの名優チャールズ・ロートンが演じる。
マリリン・モンローが端役で出演、泣かせるセリフを、、、。
第二話「クラリオン・コール新聞」
苦労人の刑事が突き止めた殺人事件の犯人は幼馴染の男、彼はその男に借りがあるので逮捕に踏み切れない。
借りを返すために考え出した妙案とは、、、。
原作と少し異なるエンディング、Ｒ・ウィドマークの悪党振りが堂に入っている。
第三話「最後の一葉」
失恋し生きる気力を失った若い娘が、木枯らしの中で一枚また一枚と散ってゆく枯葉に自分の命を重ね、、、
「イヴの総て」でベティ・デイビスを向こうに回して大熱演したアン・バクスター、儚げな演技が秀逸。
第四話「酋長の身代金」
食い詰めて少年誘拐に手を染めた二人組の男、ところがこの少年がタダ者ではなかった。
Ｊ・ガーシュウィンと仲が良く、彼の死後ミュージカル映画「パリのアメリカ人」などにも出演し、
「ポスト・ガーシュウィン」を目指したピアニスト、Ｏ・レヴァントが軽妙な演技を見せる。
第五話「賢者の贈り物」
クリスマス・シーズンを飾るにふさわしい珠玉の小品。
若く貧しい夫婦、なんとか相手に素敵なクリスマス・プレゼントを渡そうとする必死の思いが行き違い、、、。
出来すぎた話なのに心を打たれるのは、愛の「典型」を描いているからか。
作品順にヘンリー・コスター、ヘンリー・ハサウェイ、ジーン・ネグレスコ、ハワード・ホークス、ヘンリー・キング、
当時トップクラスの監督たちが、それぞれ巧みな語り口で原作をカバーしている。
寒い冬、心がじんわり温まるウォームビズＤＶＤだ。
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