「売れてない、儲からない、未来がない」
現在の電子書籍を取り巻く状況のうち、そんなネガティブな面を冷静かつイヤミに、
コンパクトにまとめた1冊。
さすが、雑貨に紙の束(雑誌?)をつけた商品をコンビニ・書店で売りまくるとい
うビジネスモデルを作り上げた宝島社。
電子書籍では、バッグのようなリアルな「モノ」で客を引っ張ることはできない。
電子書籍なんて普及してほしくないという思いがひしひしと伝わってくる。
とはいうものの、「イヤミ=間違っている」ということにはならない。
実際の電子書籍周りを見てみれば、斜に構えた本書の方が正しいのではないかという
気すらしてくる。
デバイス周りは「話題」という点では盛り上っているものの、実売ベースでの動向は
不透明だし、電子書籍の本質ともいうべきコンテンツの販売数にいたっては(従来か
らあるケータイコミックなどを除けば)、紙メディアの売上とは別に電子書籍単体で
考えたら、商売になっていないものがほとんどだろう。
そもそも紙の書籍や雑誌であれば、当たり前だが特別なデバイスは不要。
手軽かつ安価に本を読むことができる。
一方、電子書籍の場合、何かを読もうと思ったら、まず初めに決して安価とはいえな
いデバイスを購入しなければならない上、その規格も統一されておらず、結果、読め
るコンテンツもデバイスによってバラバラ。
しかも書籍・雑誌の販売点数の少ないことといったら!
1万冊、2万冊程度の品揃えでは、リアルでは街の小さな個人書店レベル。読みたい本
も、そうそう見つからない。
電子書籍をめぐる、巷での盛り上がりと厳しい現実との驚くべき落差。
本書のスタンスは別として、個々に提起されている課題は決して的外れなものばかり
ではない。
電子書籍に夢を見たい人たちが、その夢を現実の成功に変えるためにはどうしたらよ
いのか。それを冷静に考えるためには有用な一冊だと思う。
甘い言葉や未来を語るだけが、成功への道ではない。
ちなみに自分は、「持ち運ぶには重たいベストセラー」「欲しいのに、絶版になった
入手困難本」などが、軽くて安いデバイスで読めるようになる日を心待ちにしている。
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電子書籍の正体 (別冊宝島) (別冊宝島 ノンフィクション) 大型本 – 2010/11/13
「電子書籍は儲かる」は幻想だった!! iPadやキンドルは成功するメディアの例にあてはまらなかった!! 本書では、電子書籍がビジネスとして儲からない実情を伝え、アップル社に踊らされているマスコミ業界に警鐘をならしつつ、電子書籍ビジネスに興味あるビジネスマンが、「儲からないことを悟る」一冊。電子書籍ビジネスの業界地図やカラクリ、すでに著者として電子書籍を出した宮部みゆき氏や『もしドラ』の岩崎夏海氏による電子版の弱点も収録。既存メディアの優位性と電子書籍市場の魅力のなさを繙く一冊です。
- 本の長さ95ページ
- 出版社宝島社
- 発売日2010/11/13
- ISBN-104796679669
- ISBN-13978-4796679664
登録情報
- 出版社 : 宝島社 (2010/11/13)
- 発売日 : 2010/11/13
- 大型本 : 95ページ
- ISBN-10 : 4796679669
- ISBN-13 : 978-4796679664
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,808,232位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 481位出版・自費出版関連書籍
- - 209,314位ノンフィクション (本)
- カスタマーレビュー:
カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2011年1月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2010年11月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
安易な電子書籍ブームに警鐘を鳴らす本。
ブームを煽る言説が多い中で、このような本はバランスを保つためにも必要。
緊急出版というのも頷ける。
予約段階での題名は『日本版電子書籍ビジネスは成功しない!』だった。
しかし、無理やり電子書籍のマイナス面にだけ光を当てたという印象。
出版業界の視点から書かれており、その視点から見ると、電子書籍の世界はこのように見えるのか、というのがよくわかる。
電子書籍の時代では、従来の出版業界にいる人たちの中で、必ずはじき出される人が出てくる。
それにおびえて、時代の流れを押しとどめようとしているかのようだ。
「電子書籍の時代なんか簡単に実現してたまるか」という本音が垣間見える。
どうしたら電子書籍という新しいコンテンツの世界を作り上げることができるか、という発想はなく、「電子書籍なんか儲からないから、だめ、だめ」と否定しつくして終わりというのが、結論。
前向きな話や、将来へのわくわく感はなく、ただただ全否定に終始する。
電子書籍に期待する人たちに冷や水を浴びせ、新しい可能性の萌芽までも摘み取ろうとしているかのよう。
読後感は「じめっとしたもの」を感じる。
これは、身動きの取れない出版業界の手詰まり感を反映しているのか。
出版業界の怯えようを見ると、逆に今度こそ電子書籍時代の到来は本物かもしれないと思わせる。
と同時に、従来の印刷出版の延長線上に電子書籍を位置づけようとしても無理だということ、そして、出版業界の人たちに任せておいたら、日本の電子書籍市場は本当にガラパゴスになってしまうかも、という印象を深くした。
ブームを煽る言説が多い中で、このような本はバランスを保つためにも必要。
緊急出版というのも頷ける。
予約段階での題名は『日本版電子書籍ビジネスは成功しない!』だった。
しかし、無理やり電子書籍のマイナス面にだけ光を当てたという印象。
出版業界の視点から書かれており、その視点から見ると、電子書籍の世界はこのように見えるのか、というのがよくわかる。
電子書籍の時代では、従来の出版業界にいる人たちの中で、必ずはじき出される人が出てくる。
それにおびえて、時代の流れを押しとどめようとしているかのようだ。
「電子書籍の時代なんか簡単に実現してたまるか」という本音が垣間見える。
どうしたら電子書籍という新しいコンテンツの世界を作り上げることができるか、という発想はなく、「電子書籍なんか儲からないから、だめ、だめ」と否定しつくして終わりというのが、結論。
前向きな話や、将来へのわくわく感はなく、ただただ全否定に終始する。
電子書籍に期待する人たちに冷や水を浴びせ、新しい可能性の萌芽までも摘み取ろうとしているかのよう。
読後感は「じめっとしたもの」を感じる。
これは、身動きの取れない出版業界の手詰まり感を反映しているのか。
出版業界の怯えようを見ると、逆に今度こそ電子書籍時代の到来は本物かもしれないと思わせる。
と同時に、従来の印刷出版の延長線上に電子書籍を位置づけようとしても無理だということ、そして、出版業界の人たちに任せておいたら、日本の電子書籍市場は本当にガラパゴスになってしまうかも、という印象を深くした。
2011年2月10日に日本でレビュー済み
本書のテーマは「電子書籍は儲からない」。
正確には「出版側にとって、電子書籍は儲からない」。
配信側に利益の大部分を吸収されて苦境に立つ出版側による、電子書籍への問題提起です。
よって、バランスの取れた解説本とは言い難いでしょう。
しかし、宮部みゆき氏へのインタビューが、電子書籍と紙の本との棲み分け(共存共栄)への提言も含んでいて、読む価値のある内容です。
全96ページ中の7ページに及び、作者・出版業界・紙の本を愛する読者それぞれの視点で、「本」について聞かせてくれます。
基本的に「紙の本派」である宮部氏が、
小説『 あんじゅう―三島屋変調百物語事続 』の一部を、iPad用電子書籍『暗獣』で発売した経緯と理由
電子書籍『暗獣』をつくって、よかったと思うこと
今後、自作をさらに電子書籍化したいかどうか
作者・読者として感じる、電子書籍と紙の本との目に見えない違い
電子書籍にするなら、こんな本がいい・こんな本は電子書籍にしてほしい
こんな本は、紙であり続けてほしい
との思いを語っています。
宮部氏のお話からは、紙の本への愛着を強く感じます。
とくに、子供には紙の本をという理由には、強く共感してしまいました。
同時に、ご自身の体験から得た電子書籍への期待には、「紙の本」VS「電子書籍」ではなく、「紙の本」&「電子書籍」という、それぞれのよさを活かした、新しい「本」の姿を感じます。
本書の目的に合致しているのかは微妙ですが、このインタビューが最大の読み物です。
正確には「出版側にとって、電子書籍は儲からない」。
配信側に利益の大部分を吸収されて苦境に立つ出版側による、電子書籍への問題提起です。
よって、バランスの取れた解説本とは言い難いでしょう。
しかし、宮部みゆき氏へのインタビューが、電子書籍と紙の本との棲み分け(共存共栄)への提言も含んでいて、読む価値のある内容です。
全96ページ中の7ページに及び、作者・出版業界・紙の本を愛する読者それぞれの視点で、「本」について聞かせてくれます。
基本的に「紙の本派」である宮部氏が、
小説『 あんじゅう―三島屋変調百物語事続 』の一部を、iPad用電子書籍『暗獣』で発売した経緯と理由
電子書籍『暗獣』をつくって、よかったと思うこと
今後、自作をさらに電子書籍化したいかどうか
作者・読者として感じる、電子書籍と紙の本との目に見えない違い
電子書籍にするなら、こんな本がいい・こんな本は電子書籍にしてほしい
こんな本は、紙であり続けてほしい
との思いを語っています。
宮部氏のお話からは、紙の本への愛着を強く感じます。
とくに、子供には紙の本をという理由には、強く共感してしまいました。
同時に、ご自身の体験から得た電子書籍への期待には、「紙の本」VS「電子書籍」ではなく、「紙の本」&「電子書籍」という、それぞれのよさを活かした、新しい「本」の姿を感じます。
本書の目的に合致しているのかは微妙ですが、このインタビューが最大の読み物です。
2010年11月19日に日本でレビュー済み
電子本が騒がれている今、光と影の両面を知るという点で、この本の存在は重要と感じる。
ただ、いかにも「タイムリーな」''緊急出版'。ページ数は半端で、95ページ。その分、価格は抑えめ。
だから皮肉にもこんなことを考えてしまった。
---この本こそ、電子本に最適の条件を揃えているんじゃ?(笑)
ただ、いかにも「タイムリーな」''緊急出版'。ページ数は半端で、95ページ。その分、価格は抑えめ。
だから皮肉にもこんなことを考えてしまった。
---この本こそ、電子本に最適の条件を揃えているんじゃ?(笑)